王道の少女小説

親をなくした小さい迷い鳥、紅雀(べにすずめ)

 

 

1930年初出本が新字・新仮名遣いに改められ刊行されてます。

 

蔦村純子(ツタムラスミコ)23歳は東京行きの列車で、いわくありげな姉弟と乗り合わせます。姉・まゆみと弟・章一は母親が眠っていると思ったら心臓麻痺で絶命していた。いきなり死体が現れますがミステリではなくレトロな少女小説です。

 

身寄りのないまゆみ・章一姉弟を、純子は家庭教師として働いている男爵家の未亡人に引き取ってもらえるよう取り計らう。男爵家には若き青年当主とその妹・綾子がいて、綾子が通うカトリック女学院にまゆみも通うようになります。

 

学校でも毅然とした態度のまゆみは、フランス語もピアノも歌も乗馬も完璧すぎて妬まれ、少女小説テッパンのイジメが華麗に繰り広げられます。綾子のクラスメイトで成り上がり金持ち娘・利栄子が、まゆみを孤児のくせにつけあがってと軽蔑し罵ります。綾子がまゆみをかばうのですが、利栄子の攻撃はエスカレートするばかり。

 

利栄子は、綾子の兄で男爵家の跡取り息子との結婚を狙っていて、まゆみが邪魔でしかたない。さまざまな嫌がらせで蹴落とそうとしますが‥

 

 

勧善懲悪なハッピーエンドでめでたしめでたしとなり、王道な結末に満足感がひろがります。少女小説はこうでなくちゃというお手本のようなストーリー。

 

華やかで欧米風な上流社会、数奇な運命をたどるみなしごの少女。馬齢を重ねても少女の気持ちを忘れられない黄昏世代に響きます。

 

巻末の解説を柚木麻子さんが書かれていて『ジェーン・エア』を引き合いにされています。うん、そうそうそうそんな感じかも。どちらも家庭教師が中心になって話が進むところとか、孤児の少女は実は!‥というところとか。

 

解説が添えられていると、うれしくなります。こういうふうに読みとけばいいのかと目からうろこですね。解説を読むのも好きです。