植物の妖怪とも称されるウツログサ

多くは無害だが人についたものは宿主の欲望を読んで成長することもある。

 

 

主人公は6歳のとき火事で両親を失い記憶がなく、祓い師の仕事をしている年齢不詳の男に引き取られ『笹目(ササメ)』と名付けられ弟子になりました。

 

祓い師の能力とはウツログサ<虚ろの生き物>が見えること、祓えること。

やがて男は老いて消えてしまう。笹目は団地に住み祓い師の仕事をします。

 

ダイヤグリーン“わたし”は離婚して「ひかり台」の団地でひとり暮らし。祖母や中学の同級生が亡くなったのはウツログサが見える話をしたせいかと後悔している。団地の中の庭園に咲く梅の花を見に行くと『笹目』から祓うこともできますよと声をかけられた‥

 

ダイヤグリーン小学生のとき爪から草の芽が出てきた“わたし”は、ぼんやりと「ひかり台」の梅で有名な庭園に入ると『笹目』からウツログサが憑いていますねと話しかけられる‥

 

ダイヤグリーン全身に文字が浮かび上がり、耳なし芳一状態になった“わたし”は、近くの梅の花でにぎわう庭園で『笹目』からウツログサですねと言われる‥

 

ダイヤグリーン首の後ろに瓢箪のような瓜がぶらさがっている“わたし”は、「ひかり台」の梅の庭園を散歩していると、ウツログサですねと『笹目』から声がかかる‥

 

ダイヤグリーン幼稚園の頃からふわふわして光るやつが見える女子高生は、高齢の祖母と働く母と三人暮らしで共倒れ寸前。「ひかり台」の梅の庭園にふわふわが入っていくウツログサに気づいた『笹目』が話しかける‥

 

見える人は珍しいという植物の妖怪ウツログサいろいろ。ウツログサに囚われた人たちの自分は見えるのに、他の人は見えないという孤立感と無力感。

 

登場人物たちは皆「ひかり台」の団地内に住んでいて、梅の花が咲くころにぎわうという庭園を訪れた時に『笹目』から話しかけられ、自分だけが見えていたものの正体がわかり、ほっとします。

 

ウツログサと共に生きていくのか、祓って退治したいのか、それぞれ自分で選びます。祓い代は団地の家賃の半分くらいの値段というところにこそっと笑いましたが、

寂しく物悲しく少しせつない物語集です。