家族は覚悟が出来ていた。
100%の覚悟かはわからない。
そもそも100%なんてないと思っている。
用意周到な父は遺影さえ、数年前から準備していた。
しかも、三脚を立てての自撮り。
葬儀会場やその詳細までを決めていた。
残されたものがあれこれ考えなくてもいいように。
そして、それは最小限に。
葬儀当日は、早めに集合して食事をした。
精進料理だ。
とても穏やかだった。
そして、その会話は父がいた時と何ら変わらない楽しいものだった。
ただ、父がそこに座っていないだけ。
葬儀は、父の姉、弟、妹、その家族が参列。
今ではこんな時にしか会うことがなくなった。
昔、父が長男なので、皆さんの実家ということでお盆と正月は集まってとても賑やかだった。
8人兄弟の父は3番目。
先に亡くなっている兄弟もいる。
思えば、父の兄弟のおじさん、おばさんに良くしてもらった。
呼び方もその頃のままで「万里ちゃん」だ。
私は小さい頃に戻る。
お坊さんがお教を読みあげると皆は静かに目を閉じた。
私も念珠を手に目を閉じた。
瞑想していた。
父の行く先が視えた。
白く光る道が続いた。
暗闇に白い光が拡がっていた。
白い光しか視えない。
最期に父の周りに花を手向ける。
息子に父が好きだった、中日スポーツと最近好きだった塩ラーメンを買ってきてもらい、それも入れた。
中日スポーツの一面は「竜四連敗」





父は怒っているだろう

しかし、それが父のリクレーションだった

ボヤキも楽しみの一つだ

難しいオトコ心だ





父の頬を触った。
もう固かったが、少し皮膚は柔らかさを感じた。
けれども、氷のように冷たかった。
【続く】

