木のおうち | スケッチブックと旅をして

スケッチブックと旅をして

シンガポール、フィンランド、ドイツ、スペインのマヨルカ島などに住み、現在ギリシャのロドス島に住んでいます。スケッチブック、色鉛筆、水彩絵の具を持って、日々目に留まったものや旅先で心に残った風景を書き留めています。

友人のおうちにおじゃますることになった。

私とほぼ同い年、外国人であり、7歳の男の子のお母さんであるところは同じ。

でも、ギリシャ語がペラペラなところ、シングルマザーであること、そしてお子さんが発達障害を持っているところは私と違うところ。

 

イギリス生活の窮屈さに耐えられなくなって、イギリスの家を売ったお金でロドスに家を建てたという彼女。ロドスは以前旅行に来たことがあり、美しい島だなと思っていたから住むことを決めたのだそうだ。BREXIT後にイギリス人がヨーロッパ内に家を買うことは困難になったので、すべてのタイミングが良かったという。BREXITを機にギリシャに移住してきたイギリス人を結構知っているのだが、こういう移動の感覚、やっぱりヨーロッパの人たちと日本人は違うなあと思う。

 

昔から新しいものを買うよりも廃材を再利用することに興味があったという彼女。なんと廃材を使って子どものために木のおうちを作ったという。「コロナのロックダウンの時、暇だったからね!高校時代、美術や家庭科なんかの中から何か選択しなくちゃいけなかったけど、絵も描けないし、お裁縫は向かないし、木工の授業を選択したの。だからこういうことは好きなの。」とさらりと言うけれど、私と同じ158センチ、ヨーロッパの女性にしてはかなり小柄な(しかも私より全然痩せている)彼女が廃材を担いで自宅に持ち帰り、工具片手に一人で仕上げたというのだから驚いてしまう。木のおうちにかかっている階段は壊れていたものを人から譲り受けたそう。ロープは漁師さんがおそらく海辺に捨てて行ったもの、周りに置いてあるソファも隣人がいらないものをもらってきたのだそうだ。

 

 

一時帰国していた日本で、かっこよくて新しいものが次々と生み出されることに違和感を覚えた。便利になることを否定はしないけれど、いずれすべてがゴミになっていくんだよな、と。長年住んでいたフィンランドには至る所にリサイクルショップがあり、新しい家具や洋服を買う前に、リサイクルショップに行くことが一般的だった。初めは中古の子ども服を買うことにいささか抵抗があった私も、次第にそういう生活に慣れていった。不要な家具をリサイクルショップに持ち込んだり、欲しいものがあったらまずはリサイクルショップを覗くようになっていた。日本に住んでいた頃は、ヤフオクで古い服を買ってから新しい服を買うようにしていた。けれど、ゴミになるのは服だけではない。家具、電化製品、なんでもいずれはゴミになる。特に電化製品の新製品がどんどん開発される日本、様々な流行の移り変わりが激しい日本の生活は、ゴミを大量生産しているように見えてしまった。ギリシャの離島に住む今、新製品は日本ほどないものの(1980年代のトヨタがいまだに走っているのを見て、まだ走れるのか!と感動を覚えてしまうほど)、リサイクルという点ではかなり遅れている。私だって素敵な家具やおしゃれなものに囲まれた生活に憧れるけれど、こんなにみんなが消費ばかりしていていいのか?と温暖化が深刻になる昨今、たまに考え込んでしまうのだ。

 

しかし、そんな私の悩みを一蹴する彼女のおうち。彼女がたまにお金を使うとしたら、床に適する木材を買う時。そして最近自作したバルコニーの土台を作るためにセメントを買ったのだそう。子どもの遊具も、捨てられていた車のタイヤを担いできて好きな色に塗って作る。

 

ロドスの田舎に住む彼女の庭の広さは半端ではない。他人から譲り受けたり、ガーデンショップが捨てたような木を拾ってきて植えている。ウチワサボテンの実もたくさんなっていた。ほかにもオレンジやらレモンやらカボチャを植えて収穫している。

 

 

そんな彼女の家に行って、少し気持ちが明るくなった。そして私も庭で飼っている猫たちのおうちを作ってみようかなと思い始め、ゴミ集積所にいい廃材が落ちていないかをチェックするようになったり爆  笑 廃材を使って新しいものを作り出すことや、作り出したものをアップサイクルという。アップサイクルの天才の彼女の家に行って、いろいろなことを感じ、考えさせられた。

そんな一日の絵日記。