コッドピース | 是日々神経衰弱なり

コッドピース。

これを聞いてすぐに何か分かった人は相当に西洋中世の数奇者とみた。

先日とあるディープな気に入りの書店で見つけたある一冊の本。まずそのタイトルが
「お股の袋の本」とあるではないか。

珍妙な題名に眉を顰めつつも、しかし、表紙に名を連ねるのは錚々たるメンバーだ。その中でも会田誠先生の名前を見つけてしまってはいけない。こういうサブカル系の雑誌って好きなんだよねー。
とかなんとか、会田大先生がお股の袋についてどんな考察をもって述べていらっしゃるのかしごく興味が沸き、つい手に取ってしまった。

西洋で男の股間を強調するための袋、コッドピース。そんな役割のものが存在したとはつゆぞ知らなかった。アジアにも似たものが存在したのだろうか。機会があれば調べてみたいな。

話が逸れたが、コッドピースが活躍したのは15~16世紀のいわゆる中世のルネッサンスといわれた頃で、主にお貴族様たちが活用した装飾用品だったということだ。もともと西洋の男性用ズボンとは、右、左と別々に穿いていたものらしいが、一体になり、騎士道が栄え、それに伴って武具が発達するにしたがい生まれたものであったらしい。

ものすごく露骨に大きく見せたい!

我々の感覚には縁遠く、また、あまりに理解に遠いこの代物について、現代日本の一流美術家や、現代のファッション界の第一人者たちがこの西洋の股間のモッコリをかっこ良くわかりやすくかつシンプルにデザインしろといわれて苦心に苦心を重ねて試み制作したり、各界の文化人が男のファッションとコッドピースに関する男の夢や妄想を膨らませて語っている。


さらさらっとしか読んでいないが(購入を迷ったが、買えばよかった)、あたしの記憶では、この本の中で誰一人として、このコッドピースなるものに関しての権威が出て来ないのである。
唯一、ヴィヴィアンウエストウッド氏のチーフデザイナー女史のパートナーがイギリス人男性であるため、今回のこのコッドピースの制作にあたり少々の意見を表明しているだけだったと思う。


そう。西洋の文化であるのに、現代日本人がただその違和感というかファッション性というか、男の股間というか、沽券というか、見栄というか武士道とか騎士道とかそういうものの洋の東西についてただ話す、変な本である。


コッドピース。


そういえば、スタンリー・キューブリック監督作品の「時計仕掛けのオレンジ」の主人公の扮装にもそういうのがついていたな。

アフリカには現在もペニスケースなるものもれっきとして存在するもんね。
見たときは笑っちゃうけど。


あれはとどのつまり、強さを誇示したり、守ったりってことかね。




コッドピースだって我々が今見たら充分に珍妙なモノだが、16世紀のルネッサンスには大真面目で流行っていたのである!

現在のモノが、200年後の人たちからすれば珍妙な代物に指摘されないとは言い難いし。




ファッションとは社会とその時代を映す風俗。

西洋中世ルネッサンスのファッションの歴史あり、教科書には載っていない風俗歴史あり、現代日本の一癖も二癖もある著名な一流文化人の所見や感想ありーの。想像で話すから面白いのであって…

ああ、やっぱ買っときゃよかったわね。失敗!



そんな盛りだくさんな本でした。




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