シュポ  シュポ  シュポ 

 

「こんにちは!」

 

水風船に空気を入れながら

その子は絵画教室にやってきた。

 

 

それからずっと

帰るまで

それを続けていた。

 

 

 

たまに空気入れから水風船が外れて

トリッキーな飛び方をする。

 

それを嬉々として拾いに行く。

 

 

 

シュポ シュポ シュポ こっち細い

 

シュポ シュポ シュポ こっち長い

 

シュポ シュポ シュポ これ ひようたん みたい。

 

 

 

空気入れから外した水風船の口をくるりとひねるだけで机の上に転がす。

 

 

 

シュポ シュポ シュポ

 

シュポ シュポ シュポ

 

送り込まれた空気によって変容していく水風船

そのさまを追いかけるように見つめ続けながら。

 

口元は発していた。

 

「16秒」

 

シュポ シュポ シュポ

 

「これは30秒」

 

 

 

 

 

 

彼女の性質

物質の変容する特性

 

その傍らに

 

数字の概念

時間の概念 

 

 

やさしく存在を露にする。

 

 

 

 

その感じ。

 

 

 

美しい世界にわたしは居た。

 

構造は 和して 美しく やさしい。

 

 

 

自ら発しては 受け取る。

 

取りこぼし無く

 

それをひたすらやってのける。

 

 

 

 

疑いが無いその総体に

 

万象をみる。

 

 

 

彼女という万象。