スズメのくりちゃんの話① | watercolour space PAPIER

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大阪北摂のアトリエにて、水彩教室『パピエ』を開催。暮らしの中で、水彩を楽しんでいます。
雑貨イラスト等の作成依頼も、お受けしています。日々のこと、旅の話、、、などなど。

 

 著書『暮らしの時短スケッチ』の中で、時短スケッチで作る“ペットアルバム”なるものを紹介させていただきました。

 

 ただ、結構時間をかけてペットアルバムを作ったのですが、本の中でそれを紹介できるのが4ページしかなく、内容をすべて載せきれませんでした。ずっと、いつかブログで内容をご紹介したいなぁと思っていたので、この機会に載せさせていただきますね。

 

 

 実は私自身は、昔からペットを飼ったことがありません。でも、一度だけ、息子が小学生の時、道端で拾ってきたスズメのヒナを保護し、成鳥まで育てたことがあります。子供たちと“くりちゃん”と名付け、とても可愛がっていました。私のことを母親だと思って、ずっと後追いしていたくりちゃん。残念ながら、何かをのどに詰めたことが原因で、長生きさせてあげられませんでしたが、今でもこの子は家族の一員だったと思っています。(くりちゃんが天国に行った日は、私も子供たちも、めちゃくちゃ泣きました。10年以上も前のお話です。)

 

 

 “ペットアルバム”の中では、可愛がっていたくりちゃんの姿を描きました。ただ、スズメは野鳥でペットとして飼うことができないので、マメルリハインコのくりりんに姿を変えて描いています。

 

 

 

 この子が、息子が拾ってきた当時のくりちゃんです。巣から落ちたわりに元気で、食欲も旺盛でした。育て方もさっぱりわからなかったので、同じようにスズメのヒナを保護された方のサイトを見ながら、とにかく必死で育てました。冷えて弱らないように小さな電気カーペットの上に蓋つきの空き箱を置き、そこにティッシュを敷き詰めてヒナを入れました。小さな虫を探してきては与え、ヒナ用の餌も買ってきて2時間ごとに食べさせました。ミルワーム(餌用の白い幼虫)に小松菜を食べさせて、それらもくりちゃんに与えました。

 

 

 

 最初は焼き鳥みたいだった(正直、ちょっと気持ち悪かった)くりちゃんですが、数日で、少しずつ羽毛も生え、だんだん鳥らしくなってきました。箱の中で、小さな羽をばたつかせるようになり、目もぼんやり開いてきました。

 

 そんなある日のこと、いつものように蓋を開けると、箱からピョンっと飛び出してきて、羽をバタバタさせながら私の身体をのぼってきたのです。まるでお母さんに甘えるように。

 

 (かっ、かわいいラブラブ) 

 

 その瞬間、私の母性に火がついてしまいました。

 

 

 

 とにかく人懐こい子で、いつも「遊んで遊んで」と私たちに寄ってきました。飛行も少しずつできるようになり、最初はモヒカンのようだった頭の毛もだんだん生えそろってきて、私も子供たちも、くりちゃんが可愛くてたまりませんでした。

 

 

 娘の頭の上に乗っているくりちゃん。普段は私の肩の上にいて、おトイレに行くからねと肩から降ろしても、パタパタパタと飛んできてまた肩にのり、どこまでも付いてきました。

 

 

 結局、目を開けたときに居たのが私たちだったので、人間を全く怖がらないスズメになってしまい、最後まで保護し続けるしかありませんでした。でも、くりちゃんと過ごした日々は、今でも切ないくらい懐かしい思い出となっています。

 

 

 “ペットアルバム”の中では、くりちゃんの実際の姿を時短スケッチで描いています。本当に、スズメがこんなに感情豊かなのだと、初めて知りました。

 懐いてくれる子は、本当に可愛いですね。でも、それ故に、別れの時は本当に辛い。ほんの数か月一緒に暮らしただけでも辛くて大泣きしたのに、これが何年も一緒に暮らしたペットちゃんだったらと思うと、もう考えたくないくらい悲しい気持ちになってしまいます。

 

 どうか、どこのお家のペットちゃんも、少しでも長く家族として、元気に一緒に過ごせますように。

 

 

 そんなわけで、ペットアルバムの後半は、大人になったくりちゃんをくりりんに見立てて、ちょっとした絵本風の物語にしてみました。次回、ご紹介しますね。 切り抜きスケッチを使って、ちょっとした仕掛け絵本風にしているので、どうかお楽しみに音譜

 

 

 今夜は少し冷えますね。皆さんも、どうか暖かくしてお休みくださいね。