このブログは当時の日記をたどりながら

ダウン症をもった希(マレ)を妊娠、出産、現在までを

詩と物語で綴っています



【56話】夫への電話


『理解するのに時間はかからなかった。』



NICUを出て
心と体を引きずりながら歩いた



病棟の前に電話器のある場所があって
椅子が1つ置いてある



その椅子に静かに腰を下ろした
携帯電話を持つ手が震えていた



夫に電話をかけた



「もしもし…」



その先の言葉が見つからなかった



涙があふれて止まらなかった



「どうしたの?」



受話器の向こうで夫の心配する声が
聞こえたけれど
言葉にならなかった



それでも



声を振り絞って



声にならない声で夫に伝えた



「ダウン症の可能性があるから血液検査をしたいって言われた」



つづく



うつむいた椿

うつむいた椿の横で

春の花たちが咲きはじめてた


春がくるね


桜



マイサニールーム

まだまだあったよ


ニコニコ





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