柿渋
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未熟な渋柿の果実を粉砕、圧搾して得られた汁液を発酵させたもの。柿タンニンを多量に含み、発酵によって生じた酢酸や酪酸の臭気を有する赤褐色半透明の液である。その独特の悪臭が敬遠されていたが、臭気を取り除いた無臭タイプ(無臭柿渋カキタフ)も誕生している。
[編集] 歴史
文献で最初に記載されているのは10世紀頃であり、漆の下塗りに使用された記録が残っている。また、衣類に使用したのは、平安時代の下級の侍が着ていた「柿衣」がその始まりだとされる。また民間薬として、火傷や霜焼、血圧降下や解毒などに効くとして盛んに利用された。
[編集] 製法
原料となるカキの果実は柿タンニンの多い品種を用いる。未熟な果実は甘柿でも渋柿でも渋を多く含むが、原料として用いられる渋含有量の多い果実は、通常渋柿品種のものである。収穫したまだ青い未熟果実を突き臼で砕き、樽の中で2昼夜ほど発酵させる。これを圧搾して「生渋」を得る。生渋を静置して上澄みを採取したものを「一番渋」と呼ぶ。また、生渋を搾ったときの絞りかすにはまだ多くの渋成分が残っているため、これに水を加えてさらに発酵させ、圧搾して得られたものを「二番渋」と呼ぶ。
[編集] 用途
カキタンニンに防腐作用があるため、即身仏(ミイラ)に塗布したり、水中で用いる魚網や釣り糸の防腐と、強度を増すために古くから用いられてきた。又木工品や木材建築の塗装のした地塗りにも用いる。縄灰と混ぜて外壁の塗装にも使用された。更に紙に塗って乾燥させると硬く頑丈になるため、かつてはうちわや傘の材料として用いられ、また現在でも染色の型紙などの紙工芸の素材としても重要である。タンニンが水溶性タンパク質と結合して沈殿を生じる性質は清酒の清澄剤として利用されており、今日ではこの用途で最も多く用いられている。塗料としての用途は近年は利用が少なくなっているが、シックハウス症状を起こさない塗料として再評価されつつある。