色素細胞性母斑 | 生命医科学雑記帳

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evernoteのバックアップ、twitterに投下した内容のまとめとして使います。
細心の注意は払っているつもりですが、未だ専門分野を持たない研修医であるため、正確性に欠けることがあります。悪しからず。

色素細胞性母斑は母斑細胞として知られるメラノサイトの一種が増殖する良性疾患である。基底層に存在する一般的なメラノサイトと母斑細胞の違いは

・母斑細胞は表皮下部や真皮に巣状になって存在するが、メラノサイトは単一の単位として均等に分布する

・母斑細胞は樹状突起形成をしない(例外. 青色母斑内)

メラノサイトも母斑細胞どちらもメラニン色素を産生する。色素細胞性母斑は先天性のこともあれば後天性のこともある。後天性母斑はcommonとatypicalに分類される。暈状母斑、青色母斑、Spitz母斑など様々な変種がある。

 

用語

増殖している母斑細胞の存在位置から境界、真皮内、複合に分けられる。表皮-真皮境界からメラノサイトが遊走すると色素は薄くなる。

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境界母斑:メラニン産生能が高く、表皮細胞に類似

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複合母斑

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真皮内母斑:メラニン産生能を失い、schwann細胞に類似

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素因

遺伝、小児期の日光暴露期間、人種

 

common neviは通常、直径6 mm以下、左右対称で表面均一、均質な色、(卵)円形、境界明瞭である。詳細に観察すると点画のような、毛包周囲は低色素のときもある。体幹の日光暴露部位か、特に女子における下肢にしばしば密集する。頻度は高くないが、手掌、踵、爪床のような肢端部位にできることもある。小児や成人の3分の1もが頭皮に後天性母斑を有し、これは母斑の総数のマーカーになりうる。

・手掌や踵の母斑

すべての人種で起こりえるが、皮膚の色が暗い人や母斑の数が多い人により多く見られる。境界型か複合型であることが多く、色は典型的には茶色から茶褐色である。これらの部位の著明な皮膚の境界を反映して、しばしば暗い色の線状の筋を認めることがある。左右非対称、まだらな色素沈着、6 mmを超える大きさを有する場合は皮膚科医に紹介する。

・爪床の母斑

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爪甲への増加したメラニンの沈着による黄色〜茶色〜黒色の線状である黒爪症として現れる。

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皮膚の色が暗い人では正常の爪床メラノサイトによる増加したメラニン産生により複数の爪において黒爪症がよく見られる。

小児期にできる線状は大抵良性である。しかしながら、色が暗い/不規則 or 4 mm以上の幅がある1本の線状や、時間が経つにつれ色が濃くなるor幅が広くなる1本の線状、爪ジストロフィーに関連するもの、爪郭を超えて色素沈着が伸展するものはメラノーマを除外するために、爪床の生検を考慮する。

【自然経過】

生後6ヶ月で出現し始め、小児や青年期に数は増加する。20代に数はピークに達し、年齢とともに徐々に減退する。かなりの母斑が10代にターンオーバーする。例えば、青年期の3-4年の間に