HARRISON 問題集18 | 生命医科学雑記帳

生命医科学雑記帳

evernoteのバックアップ、twitterに投下した内容のまとめとして使います。
細心の注意は払っているつもりですが、未だ専門分野を持たない研修医であるため、正確性に欠けることがあります。悪しからず。

Ⅳ-123

18歳男性が肛門周囲の硬く、圧痛のない病変を主訴に受診した。病変は直径約1.5 cmで、触診にて軟骨のような手触りであった。患者は小さな丘疹から今のような状態に進行したと訴える。無防備な肛門性交はしていないという。病変部位の最近培養は陰性である。迅速レアギンテストも陰性である。治療介入は次のうちどれをすべきか?

A. アシクロビル 200 mgを経口で1日5回

B. セフトリアキソン 1 gを筋肉内注射

C. 経過観察

D. ペニシリンGベンザチン 2,400,000 Uを筋肉内注射

E. 切除と生検

 

 

 

 

 

患者の診察は、第1期梅毒が示唆され、適切な治療を受けているはずである。第1期梅毒において25%の患者では梅毒に対するnon-Treponemal tests である迅速レアギンテストやVDRLテストが陰性になる。長期作用型ベンザチンペニシリンの単回投与は第1期、第2期、早期不顕性梅毒に対する治療として推奨される。セフトリアキソンは淋病の治療選択となるが、患者の病変は淋病に一致しない。7日から10日間毎日のセフトリアキソン投与は第1期、第2期梅毒の選択肢となる。アシクロビルは性器ヘルペスに対する治療薬である。ヘルペスの病変は古典的には、複数で有痛性である。経過観察は選択となりえない。治療をしなければ下疳は自然に消失するが、患者自身は感染したままであり、他人に感染させる可能性があるためである。所見と病歴を考慮すると、組織生検や外科的切除は必要ない。

答. D