Marc のぷーたろー日記 -40ページ目

「弟は僕のヒーロー」('19)

 

5分のYouTube動画をきっかけに執筆されたベストセラー小説を原作とし、ダウン症の弟を持つ悩める少年の心の葛藤と人間的成長を描いた青春ドラマコメディ映画です。主演はフランチェスコ・ゲギ、共演はロレンツォ・シスト、アレッサンドロ・ガスマン、イザベラ・ラゴネーゼ、アリアンナ・ベケローニ他。

 

絵本のような世界観やキャストのハマりぶりもあって、何となく「いい話」っぽくまとまっているけれど、中盤以降はずっと違和感。

 

面倒くさがりながらも、ダウン症の弟を可愛がり、ちゃんと面倒も見ている少年が、何故あんな酷い嘘をついたのか、それを全て主人公の問題としてしまっている両親や姉たちに納得が行かず。

 

主人公の少年だってまだ子供ですよ?

 

そんな子供にダウン症の弟の世話を押し付けてきたあなたたちの責任は?

 

両親や姉たちを「悪役」として描いているならともかく、むしろ一貫して家族思いの優しいキャラクターとして描いていながら、少年の気持ちに無頓着だった自分たちの責任や問題には一切触れず、少年に謝りもせず、問題を起こした少年をただ「赦して」受け入れるだけって、そりゃないでしょ。

 

そしてYouTube動画がバズって一躍有名人にという展開も唐突すぎ。

 

とにかく、実話をもとにしているはずなのに、物語の構成があまりにぎこちなく、しっくり来ないストーリー展開に最後はすっかりシラけてしまいました。

「梟-フクロウ-」('22)

 

朝鮮王朝史上悪名高い怪死事件の謎に迫ったミステリ映画です。主演はリュ・ジュンヨルさん、共演はユ・ヘジンさん、キム・ソンチョルさん、チェ・ムソンさん、チョ・ソンハさん他。

 

輝国山人の韓国映画「梟ーフクロウー」

 

娯楽映画としては充分に楽しめたのですが、あまりに都合が良すぎる話にちょっとシラけちゃったのは事実。

 

主人公の特異な能力(?) にしろ、結末にしろ、ありえないとまでは思わないし、娯楽映画としてはこれくらいの「ファンタジー」があってもいいとは思うんですが、ちょっと無理があるよなぁ…。

 

このあたりは「好み」の問題ではありますけど。

「ヒッチコックの映画術」('22)

 

サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の映画術を紹介したドキュメンタリー映画です。出演はアリステア・マッゴーワン他。

 

Wikipedia「アルフレッド・ヒッチコック」

 

イギリスのコメディアン、アリステア・マッゴーワンによるヒッチコックのモノマネのナレーションでヒッチコック作品を解説するアイデアは面白く、ヒッチコック本人による「オンライン講義」のような趣。

 

あまりに中身が濃く、1回観ただけでは理解し切れないところも多いので、何度か繰り返し観た方が良さそう。まさに「映画の教科書」という感じ。

 

ただ、アリステア・マッゴーワンによるナレーションは確かにヒッチコックに似ているのだけれど、大柄な人特有の呼吸の仕方まで再現しているので、それが鬱陶しく感じられて、かなりノイズになっていたのは残念。そこはリアリティよりも聞き取りやすさを優先して欲しかったなぁという気も。

「唄う六人の女」('23)

 

交通事故をきっかけに深い森に迷い込み、奇妙な女6人に監禁された男性2人の不思議な体験を描いたサスペンススリラーです。主演は竹野内豊さん、山田孝之さん、共演は水川あさみさん、アオイヤマダさん、服部樹咲さん、萩原みのりさん、桃果さん、武田玲奈さん他。

 

Wikipedia「唄う六人の女」

 

ほとんど予備知識のない状態で観たので、完全に「サイコスリラー」だと思って観ていたら、最終的に全然違う話になっていてビックリ (@o@)

 

石橋義正監督なので映像はとにかく綺麗。6人の女優たちを見事なまでに美しく撮っていて、それ自体は本当に素晴らしいけれど、そもそも「美しい女性たち」で表現するセンスが完全に男目線で古臭く感じちゃう。このあたりは分かっていて敢えてやってるんでしょうけど。

 

また、「寓話」としてはメッセージがはっきりしているし、その表現の仕方も理解できるのですが、ストーリーテリングが雑。

 

物語の組み立て方が下手すぎて、展開がぎこちなく、説教臭くて折角のメッセージが空回りしちゃって心に響かないんですよ…。もうちょっと上手い脚本家と組んで、構成をしっかり練っていれば傑作になり得たのに…。本当にもったいない…。

「コンクリート・ユートピア」('23)

 

謎の大災害で唯一倒壊を免れた1棟のマンションを舞台に、生き残ろうとする住人たちの混乱と争いを描いたパニックサスペンスです。主演はイ・ビョンホンさん、共演はパク・ソジュンさん、パク・ボヨンさん、キム・ソニョンさん、キム・ドユンさん、パク・ジフさん他。

 

輝国山人の韓国映画「コンクリート・ユートピア」

 

観る前は一貫してシリアスでヘビーな内容だと思っていたのですが、予想以上にブラックユーモアに溢れていて、「狂気」の滑稽さがうまく表現されているように感じました。

 

ごく普通の、本来は善良な人たちが、文字通り「あっという間に」おかしくなっていくあたりのリアルさは本当に恐ろしいし、その一方で、希望のある終わり方は、ちょっと美化し過ぎなところはありますが、娯楽映画の終わり方としてはグッド!

 

同じ世界観を共有し、同じマンションの3年後を舞台にしたマ・ドンソクさん主演の映画「バッドランド・ハンターズ」('24) もあるらしいので、それも機会があれば観ようと思います (^^)v

「ゴールデンカムイ」('24)

 

野田サトルさんの同名人気コミックを実写化した作品で、明治末期の北海道を舞台に、アイヌの埋蔵金の謎を巡る冒険サバイバルアクションです。主演は山崎賢人さん、共演は山田杏奈さん、眞栄田郷敦さん、矢本悠馬さん、玉木宏さん、舘ひろしさん他。

 

Wikipedia「ゴールデンカムイ」

 

原作も未読、テレビアニメも未視聴、アイヌを題材とした原作が大ヒットというくらいの知識だけで観てみたのですが、かなり楽しめました (^^)v

 

原作漫画のイメージを再現した登場人物たちの特殊メイクはちょっとやり過ぎに見えるところもありますが、むしろそれが一種の「異世界ファンタジー」風の世界観に説得力を与えているように感じました。

 

原作の最初の1割にも満たない部分の映像化なので、「登場人物たちの紹介」で終わってしまっていますが、それでも充分に楽しめたので、この続きとなるテレビシリーズも楽しみです♪

「トラフィック」('00)

 

1989年に英国で放映された全6話のテレビドラマ「Traffik」をもとに、米国とメキシコが抱える深刻な麻薬汚染の現実を、2国間を結ぶ麻薬ルート「トラフィック」を巡る3つの物語を通して描いた社会派の群像サスペンスです。出演はマイケル・ダグラス、ベニチオ・デル・トロ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ドン・チードル、デニス・クエイド、ルイス・ガスマン、スティーヴン・バウアー、ジェーコブ・ヴァルガス、エリカ・クリステンセン、ミゲル・フェラー他。

 

Wikipedia「トラフィック (映画)」

 

充実したキャストによる群像劇で観応えはありましたが、今の時代に観ると、かなり「虚しい」気持ちになります…。

 

この映画自体は、様々な悲劇が起きつつも、将来に希望が持てる前向きな終わり方をしていて、それは映画公開当時の多くの人々の「希望」だったんだと思います。

 

ところが、それから四半世紀近くが過ぎた今、インターネットの普及に伴って、薬物汚染は悪化の一途。

 

この映画の中のセリフにもあるように、「米国は既に麻薬戦争に負けている」んでしょうし、それは米国に限らず、世界中、そして日本ですら同じ状況なのかもしれません。

 

そのため、どうしてもこの映画を観終わった後には「虚しさ」しか残らないのです…。

「ネイビーシールズ 空港占拠」('24)

 

特殊部隊とテロリストたちの死闘を「ワンカット」で描いたミリタリーアクション「ネイビーシールズ ローグ・ネイション」('21) の続編で、空港を占拠した謎の傭兵部隊とネイビーシールズの戦いを描いたアクションスリラーです。主演はスコット・アドキンス、共演はマイケル・ジェイ・ホワイト、アレクシス・ナップ、トム・ベレンジャー、ワリード・エルガディ他。

 

Wikipedia「ネイビーシールズ 空港占拠」

 

この手のアクション映画の場合、「続編」とは言っても主人公が同じだけで別のストーリーにすることが多いと思うのですが、本作は完全に前作の続き。確かに前作ではいろいろと謎な部分が残されたままでしたが、それをちゃんと回収してる。これはちょっと意外。

 

が、基本的に前作同様に、ストーリーはないも同然だし、アクションそのものも、悪くはないですが、主人公が不死身すぎてリアリティはないし、特に新鮮味はないです (^^;;;

 

とにかく、観るべきところは、前作同様に「ワンカット」で撮っている、その1点のみ。前作よりもはるかに広い範囲を移動しながらの撮影は相当に過酷だったはず。どれだけのリハーサルを繰り返したのか、想像するだけで頭が下がります。

 

第3弾があるらしい終わり方をしたので、次はどれだけ過酷な「ワンカット」映像を見せてくれるのか、それを楽しみにしています (^^)v

 

関連記事

「Autopsy」('07)

 

ある猟奇殺人事件をきっかけに出会ったベテラン刑事と監察医の2人の男性の運命を描いたフランスのテレビ映画です。主演はステファーヌ・フレス、ティエリー・ヌーヴィック、共演はサラ・マーティンス、クロード・ペロン、フランソワ・シヴィル、フィリップ・デュクロ、パスカル・レネリック他。

 

観る前は主人公2人が協力して事件解決に挑む、2時間サスペンス的ミステリかと思っていたら、そちらの面はかなりしょぼい。事件自体も主人公とはほとんど無関係に解決しちゃうし。

 

物語の中心は、同性愛嫌悪的「有害な男らしさ」に捉われている妻子持ちの中年男性が、仕事で出会った年下の男性に恋愛感情を抱いてしまい、その事実をどうしても受け入れられずに煩悶する姿。それだけなら、殺人事件を背景にしなくても充分に成立する話。

 

ただ、主人公を刑事に設定することで「有害な男らしさ」に捉われたキャラクターに説得力を与えているのは(少なくとも2007年当時であれば)確か。

 

それでも、ラストの急展開が謎。

 

全く理解できないわけではないし、物語の流れとしてありえなくはないのだけれど、とてつもなく古臭くて陳腐な悲恋物語に強引に落とし込もうとしている不自然さが感じられてダウン

 

また、同性愛者の描き方にも偏りがあり、少なくとも2020年代の今の時代にはNGなストーリーだと思います。

 

とにかく、題材としては悪くないし、ベテラン刑事を演じたステファーヌ・フレスも、ミステリアスな監察医を演じたティエリー・ヌーヴィックも好演していただけにもったいない。

「メーテルレジェンド」('00-'01)

 

 

松本零士さんの人気漫画「銀河鉄道999」と「1000年女王」をつなぐ全2話のOVAシリーズです。声の出演は雪乃五月さん、池田昌子さん、榎本温子さん、松山鷹志さん、岸祐二さん、秋元羊介さん、潘恵子さん他。

 

Wikipedia「メーテルレジェンド」

 

何じゃこりゃ?!

 

松本零士という作家は「辻褄を合わせる」とか「論理的にストーリーを構成する」という概念が全くない人なので、こういう支離滅裂で破綻した話を作ること自体に驚きはないのですが、映像化するにあたって多くの人が関わっているにもかかわらず、どうして誰も「おかしい、変だ」と指摘しなかったのでしょうか?

 

「銀河鉄道999」と「1000年女王」が同じ世界線にある物語であることは昔から言われていましたが、そもそも世界観が違い過ぎて無理があります。なので「裏設定」くらいに留めておけばよかったのに、こうやって実際に物語にすると辻褄の合わない、論理的に破綻した話になるのは当然。

 

登場人物たちの陳腐なキャラクター造形は1970年代ならともかく、2000年を過ぎて制作された作品とは思えない古臭さ。特に、か弱いだけで何の役にも立たないメーテルのキャラクターにはイライラするばかり。

 

また、細かいことですが、マイナス600度などという、物理的にあり得ない設定を平気で出して来る厚顔無恥ぶりを含め、徹頭徹尾、松本零士作品らしい雑な世界観で観ていて呆れるしかありませんでした。