「大洗にも星はふるなり」('09) | Marc のぷーたろー日記

「大洗にも星はふるなり」('09)

人気バラエティ番組の放送作家であり、「33分探偵」('08) や「東京DOGS」('09) など数々のドラマや映画の脚本家としても知られる劇作家・福田雄一さんの初監督映画となるコメディです。主演は山田孝之さん、共演は戸田恵梨香さん、山本裕典さん、ムロツヨシさん、安田顕さん他。

映画「大洗にも星はふるなり」公式サイト
Wikipedia「大洗にも星はふるなり」




正直なことを言えば、公式サイトで公開しているスペシャル動画の方が面白かったです (^^;;;


映画自体もつまらなかったわけではないですし、「男ってホント、どーしょーもなくバカだよね」という妄想話は大好きなんですけど、僕のツボからは微妙に外れてました。

もともと福田作品は僕にとって「微妙」な線上にあって、ギャグやネタのうち、笑えるのが大体 1/3 から半分くらいなんですね。それがこの映画に関しては 1/3 以下だったってことなんです。

とにかく観る人を選ぶ映画です。ツボにハマる人であれば、相当に笑える映画なんだと思います。コメディというのは得てしてそういうものですけど、福田作品の場合は特にその「観る人を選ぶ」度合いが高いような気がします。


ところで、観ていて気になったのは全く映画的な撮り方をしていない点。元が舞台劇だからというのもありますが、その舞台劇をただカメラで撮ってるだけという感じで、映画的演出がほとんどないんです。また福田監督がテレビの人ということもありますが、画面作りも完璧にテレビサイズ。映画館のスクリーンで観ることを想定した作りになっていないんです。

更に、見せ方としても「マドンナ」は、何かと比較される「キサラギ」('07) のように最後まで徹底的に顔を出さない方が良かったと思うんです。映しても口元だけとか。そういう映像としての工夫が全くなかったのが残念。マドンナの姿をはっきりと映さなければ、男たちの妄想にもうちょっと突き抜けた可笑しさが出たんじゃないかと思えてならないんです。

内容から言っても、そのくだらなさ、バカバカしさやグダグダ感は完全に深夜ドラマのノリ。タダでテレビで観る分にはともかく、これで 1,800円取るのは (舞台挨拶で主演の山田孝之くんも言っていましたが) ちょっとどうかなという感じです (^^;;;

映画の日やレディスデイなどの格安の日に、他に観る映画がなければ観てもいいかなというレベル。一般的にはテレビ放送や DVD レンタルで充分でしょう。


とまぁダメ出しばかりしていますが、出演している役者さんのファンならば、かなり楽しめるんじゃないかと思います。特に山田くんをはじめ、佐藤二朗さん、ムロツヨシさん、安田顕さんの怪演ぶりは見応え充分。
山本くんと小柳くんも予想よりは遥かに好演していたと思います。白石くんは (聞いてはいましたが) 聞きしに勝る超絶な棒っぷりで逆にインパクト大 (^^;;;
ただ佐藤二朗さんの演技はいつもと同じで確かに面白いと言えば面白いんですが、そのテンションで出ずっぱりのキャラなので観ていてちょっと疲れました。中盤以降はただウザイだけでキツかったです (^^;;;

ムロさんと安田さんはもっと出番や見せ場があっても良かったかなという感じ。終盤はちょっと影が薄くなってしまっていたし。

山田くんは、「福田監督が今後の役者人生を心配してしまう」ほどの怪演というふれこみでしたが、「想定の範囲内」でした。あらかじめ映像を観過ぎていたせいかもしれませんが、もっとぶっ壊れていても良かったなという感じ。でもよくこの役を引き受けたなぁとは思いましたけど (^^;;;

山田くんのファンとしては、どちらかというと序盤のキザな勘違いナルシストキャラの方が新鮮で面白かったです。むしろ今後もこの路線でコメディをやった方が面白いんじゃないかと思うくらい (^^)



終盤の泥棒ヒゲの落武者は、ビジュアル面ではキョーレツなインパクトがありましたが、キャラとしてむしろこれまで山田くんが演じて来たキャラとさほど変わらない印象でしたから。

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