では前回撮影した元画像を合成してゆきましょう。
今回使用するソフトに当たっては、気軽に挑戦できる事を重視し全てフリーソフトで行いました。
ここで専用にソフト導入となると赤道儀レスにチャレンジする意味合いが無くなってしまうので(^^;
一番問題になるのは加算合成を行うソフトです。
加算合成自体は特殊なものでは無く、ちょっと高機能なフォトレタッチやペイントソフトに備わっています。
今回は各フレーム毎に少しずつ位置がズレているのでそれを修正して重ねてゆかなければなりません。
それらのソフトでもその様な処理を出来るのかも知れませんが私はやり方を知らないし、かなり面倒な作業になりそうと感じたのでダメ元で天体用を探してみました(^^;
するとあるではないですか! 「YIMG」! 以下のHPからダウンロード出来ます。
銀河☆(Galaxy star)
本当にこんな高機能なソフトをフリーで公開して下さるとは本当に有難いです。
結構コアな機能もある上実行ファイルはコンパクトで動作も軽快です。
それに合成(以降コンポジットと表記します)も簡単に出来ます。
それともう一つ「Raw Therapee
」というソフトを使用しました。
実は一連の作業を全て 「YIMG」でまかなえるのですが、カラーバランス等の調整はこちらのほうが使いやすかったので。
海外のソフトですが日本語に対応しているので大丈夫です。先ずはこの2つのソフトを準備して下さい。
今回作例サンプルとして用意した画像は次のとおりです。
50mm F2.8一段絞り開
EOS 10D
ISO1600
露出 10秒×16フレーム
前回「レンズはなるべく広角クラスを」と言っておきながら50mmを使ってしまいました(^^;
広角持っていくの忘れていました。
APS-Cサイズの10Dだと中望遠相当。しかも赤道付近と来ました(笑) 10秒でも流れています。
でも計算しやすいので10秒で撮りました。
比較的明るいレンズでしたがISO1600の10秒の写りは貧弱ですね。
さてそれではいよいよ作業開始です。先ずは「Raw Therapee」を起動して下さい。
先ずは下処理を行います。
① 今回使う画像のある場所を指定して表示させます。
② サムネイル画像をダブルクリックするとこのようにプレビュー画像が開きます。
まず最初の画像を開きましょう。
③ RAWタブを開き、「ダークフレーム」をクリックします。
「ファイル」をクリックしてダークフレーム用に撮影した画像を指定します。
尚、ノイズリダクションを使用した場合、又はダークフレーム処理を行わない場合はここを飛ばして下さ い。
④ 次にカラータブをクリックします。
そして「Natural」ボタンを押します。
今回はアレコレややこしいことは抜きにして簡単に行きます。
最後に「TIFF(16bit)」で保存します。
その時保存するフォルダを確認するのを忘れずに!
⑤ あと、プロファイルも適当に名前を付けて忘れずに保存しておきます。
以後隣の読み込みボタンで保存したプロファイルを読み込めば一連の操作を一括して行なってくれます。
⑥ プレビュー画像を閉じ次のファイルを開きます。
⑤で保存したプロファイルを読み込みます。
一瞬で最初の画像で行った処理が終わるので、仕上がった画像を保存します。
残りの画像もこの作業の繰り返しです。
尚画像の保存の途中でプレビュー画像を閉じると保存がキャンセルになるので注意して下さい。
さあ、次は一旦「Raw Therpee」は終了して今度は 「YIMG」を起動します。
「YIMG」で今回のヤマ場、加算コンポジットを行います!
① まず画像を4枚開きます。
② この4枚の画像をコンポジットして行くのですが、日周運動で全ての画像少しずつズレています。
そのまま合成しても星がズレて合成されてしまいます。
そこで「ポイント指定」の合成を行います。 先ずはその為のポイントを指定して行きます。
当然4枚とも同じ場所を指定しないとうまく合成されないので注意して下さい。
ポイントする星(場所)が決まったらその星を左クリックします。
すると自動的にセンタリング&拡大されるので適度な大きさになるまでクリックします。
因みに右クリックすると縮小になります。
ポイントする場所にマウスカーソルを持って行き「A」ボタンを押します。
すると上の画像のようにポイント指定がなされます(小さくて見にくいですが…)
もし場所がずれても「A」ボタンを押し直すことによりやり直しできます。
「表示」→「画像選択」で開いてある画像を順次切り替え4枚全てポイント指定をします。
③ 次に「画像合成」→「画像合成-ポイント指定」を選びます。
合成画像1~4にそれぞれの画像を選びます。
そして「加算」にチェックし「OK」を押します。
すると加算合成された画像になるはずです。ちゃんとブレずに合成されましたか?
さて、本来であれば全て加算合成するところですが、この「YIMG」だと作例では4枚+4枚で既にオーバーフローになってしまいました。
私が使用しているステライメージだと一見オーバーフローしたようでも内部処理では階調は確保されており、レベル調整すればちゃんとした画像に出来るのですが、このソフトでは私の使い方が悪いのかそれが出来ないようです。
この作例の元画像は見ての通り写りが弱いです。
それでこの状態だともっとしっかり写っている場合更に早い段階でオーバーフローに
なると思います。
取り敢えず今回は残りの画像は「平均」で合成し、画質の向上に回しました。
④ と言う事で予定外になりましたが「平均合成」の登場です。
「平均」にチェックする以外は「加算」と同じです。
作例では16枚の元画像があったので、4枚ずつ加算合成した画像が4枚出来上がりました。
その4枚を今度は平均合成したわけです。
平均で合成すると露出時間は加算されませんが画像が滑らかになります。
さあ、あとは仕上げです。再び「Raw Therapp」を使用します。
① プレビュー画像を表示させ、カラータブをクリック。
「ホワイトバランス」の「方式」から「自動補正」を選びます。
もし納得できなければマニュアルで調整して下さい。
② あと合成した際に出来た画像の縁のブレを切り取って完成です!
これはそれぞれ使い慣れたソフトを使用して下さい。
ここで画像の流れを見てみましょう。
元画像
4枚加算
加算済み画層4枚枚平均合成
カラー調整
トリミング
完成画像
結局4枚しか加算できなかったので40秒ガイド相当という結果になってしまいましたが、加算合成することにより確実に画像の濃度が濃くなったのは一目瞭然だと思います。
画像が荒れているのは元画像の濃度が無かったためです。
最終的にはやはりガイド実際にガイドするのが一番ですが、固定一発撮りより確実に善い写りが得られることはお判り頂けたかと思います。
確実に言えるのは皆さんが行った場合もっと見応えのある画像になるはずです。
カメラの性能が俄然良くなっているのと、広角クラスのレンズならば今回よりずっと露出掛けられもっと良い元画像になるはずだからです。
今回の様な方法は、実は本格的な天体写真で普通に使われています。
勿論ガイドは行わていますが。
なので将来もっと踏み込んで見ようとした時の練習にもなります。
又、別の活用法としてはガイドスコープやオートガイダーを持っていない場合にも活用出来ます。
ノータッチガイドの場合、ガイドエラーが発生しない極短時間でしか露出できません。その代わりに撮影フレーム数でカバーするというわけです。
あと別の応用としては流星群などを撮影した場合、流星の写ったフレームを平均合成すると輻射点から流星が飛び出す様子を表現できたりします。
赤道儀がない場合は星が流れずに写る露出でカブリが丁度良くなるくらいに感度上げて、インターバルタイマーで撮りまくるという作戦がお勧めです(絞りは開放)
来月のペルセウス流星群でチャレンジしてみては?(^^
長くなってしまいましたがこれで星の撮影をより楽しんでもらえれば幸いです。
今後もしかすると簡易ガイド編があるかもしれません(?)(^^;