父が札幌に来ている。

 来ているというか、車に乗せてきた。

父には、やり遂げたい事があった。

家族は、長距離の運転はしてほしくない。

ならば交通機関の移動でと考えた父だったが、それも懸念材料が出ていた。

実家から札幌は、距離にして200キロちょっと。



誰が何と言おうが行く、とする父を白とするなら、
母は黒。真っ黒の反対。

ただ、男であれば、父の気持ちも分からなくもない。



沢山お金がかかっても良いじゃない?
これまでの集大成と考えたら。

それぞれに、そう話した。


そうだ、最後だ。2人ともそこの点は一致したようだ。


3月の初めのことだ。





3月半ばに実家へ帰った際。

父の部屋に行き、僕は話した。

これまで、してきてくれたことに感謝しているよ。
そう切りだした。


だから、札幌から迎えに来る。
それから(父を)乗せて札幌へ行き、翌日は行事の会場に送る。
終わったら、また自宅へ送る。

それで、恩をひとつ返したい…いや、僕にさせて貰いたいと思うのだけど…どうだろうか?

そう伝えた。


「あんた(僕)が来て、ワタシの送り迎えをしてくれるというのか?」父が聞いた。「仕事は?」

仕事は1日休みをとるよ。
それで、大丈夫。

問題はないと思うけれど、どうでしょうか?






4月の最終週。
日曜日。夜勤が明けた足で、実家へ向かう。迎えに行くのだ。

月曜日。父と一緒に札幌に向かう。その日は移動のみでビジネスホテルで宿泊してもらう。


火曜日。朝、宿泊先へ迎えに行き、会場へ送る。
終われば、またホテルへ送り、一泊して貰う。

水曜日。朝には自由の身。
チェックアウトの頃に迎えに行き、一緒に帰る。
夕方には実家に着いているはず。

次の日、僕は夜勤だから、自分の車で札幌に戻る。


父も、何事にも気を揉む母も納得してくれた。





実家を出る際、母が見送りに出てきた。
無理はしない。眠くなったら、休憩は取るよ。そう伝えた。






朝食は、付いている。
すまないけど、夕食は仕事があるから共にすることは出来ない。買うかして用意する。

「どのみち、私は沢山食べられないから」と弁当を見て父が話した。



今朝、母と電話で話すと、雪が降っていると聞いた。



2日目、父の好物の肉じゃがを用意した。