25 KL日本人学校の運動会 | シニアのマレーシア滞在記

シニアのマレーシア滞在記

73歳のシニアによるマレーシア珍道中の記録。2024年5月から6月の43日間滞在記です。まだ更新中です。続きます。

 6月8日(土)、クアラルンプール日本人学校(JSKL)の小学校部の運動会がありました。今回のクアラルンプール滞在の中で楽しみにしていたことです。海外の学校には運動会のような行事はないと聞いています。スポーツディはあるようですが。違いはわかりません。
 コロナの後、日本では多くの学校で規模を縮小する流れができています。半日のところが増えています。クアラルンプール日本人学校のコロナ前の運動会の様子は分かりませんが、今日の運動会は午前8時15分に始まり、11時10分終了予定です。
 開会式での校長先生の挨拶は簡潔でよかったです。なお、閉会式での教頭先生の挨拶も短かったです。運動会の挨拶は誰も覚えていないものです。なら短ければ短い方がいいのは当然です。PTA会長の挨拶もありません。

 最初の種目は全校児童による大玉転がしです。400人もの全校児童の大玉転がしってどのようにするのだろうか、混乱しないのかなとやや不安と期待で見守ります。
 赤白対抗になっており、トラックの半周ずつに白組と紅組が2列に並びます。この2列がポイントです。その間を大玉を次々に送っていくわけです。児童はぼんやりしていると大玉に触れることすらできません。必死になって来た大玉を送り出します。これは意外と技術的な難しさがあります。目の前に来た大玉を止めるような手の出し方をすると、大玉のスピードが落ちます。自分の目の前を通り過ぎた瞬間に押し出す必要があります。
 手を早く出せば大玉を止める動きになります。遅いと大玉に手を触れることができません。
 トラックは大きく、300mほどはありそうです。そこを半周したあと、折り返します。そして、トラックの中央部へ直角に曲がり、ゴールとなります。一度見れば分かるようなシンプルなゲームです。シンプルであるがゆえに子どもたちも、応援の家族も非常に盛り上がります。その理由は白と赤の大玉が見えるため、どちらかが優勢か、一目瞭然であり、応援に力が入るというわけです。
 一回目は接戦でした。微妙な勝負となりました。赤がリードしたまま最後の直線に入り、ここで一気に白が追い上げます。そしてほぼ同時にゴール。放送で「ただいまの勝負は白組の勝ち…」というと、大歓声が上がります。私の周囲には赤組の保護者ばかりだったので、落胆していました。きっと白組の児童の保護者は喜んだことと思います。
 2回戦行います。2回目は赤が勝ちました。これで、赤と白に15点ずつ入ります。2連勝したら30点もらえるというルールです。
 ルールがシンプル、途中経過が誰にも分かる、応援がしやすい、準備が楽、練習も一回だけで良い。大玉転がしはかつては低学年の定番だったように思います。親子で競技することもありました。クアラルンプール日本人学校の全員大玉転がしは似て非なる種目となっています。日本人学校の文科省派遣の教員は2年ないし3年で任期が切れ、帰国します。全国の運動会のおもしろそうな種目を採用することは可能なのかなと思いました。とはいっても、気になる種目もありました。なんで…と思うことが。そのことは後半に書きます。

芝生の上に、きれいなトラックのLINE。どうやってかいたのかな?

 運動場は土ではありません。芝生です。日本で普通に見る小さな芽の芝生ではなく、葉が広い品種です。そこにトラックのラインが描かれています。その写真を見たある方から「どうやって白いラインをひいているのですか」という質問がありました。確かに芝生の上に石灰ではラインは簡単に引けないはずです。
 そこで閉会式が終わってからある職員にそのことを尋ねました(なお、なぜリアルタイムに白線の質問が入ったのか、詳しい説明は割愛します)。「スタッフが白いスプレーで描いてくれます。スプレーですから服につくととれません」ということです。さらに芝生のことも尋ねました。というのは芝生を見ても、刈ったあとがないのです。そこが不思議でした。「スタッフが芝刈り機で整えてくれます」ということです。話の中に何度もスタッフと言う言葉がでてきました。


学校のスタッフが白色のスプレーで描いてくれるとのこと

 海外の学校では掃除などは専門の業者がしてくれるということを聞いたことがあります。それを職員はスタッフと言っていました。クアラルンプール日本人学校では外注ではなく、学校の職員としての雇用なのかもしれません。正確には分かりません。
 クアラルンプール日本人学校の面積は75000㎡とのことで、東京ドーム1.5倍だとか。敷地は建物や通路以外のいわば土の部分はほぼすべて芝生です。そこはとてもきれいに管理されています。その仕事も当然ながら教員ではなく、ローカルのスタッフだと思われます。
 運動会前になると運動場の除草やライン引きを職員が行う日本の学校とはシステムが違います。
 競技のことに話を戻します。家族が見やすい工夫がいくつかありました。事前にトラックの図を描いた学級通信に、種目別に自分の子どもがどの位置にいるのかということを明記してくれてあります。また、個人競技の場合は何組目かということも事前に知らせてくれています。組体操では児童の移動はあるものの、種目によってはトラックのラインギリギリの外側で演技をしていました。写真が撮りやすいです。さらにこの種目の時に限り、児童席の後ろも開放されていました。
 また、時間進行もスムーズでした。徒競走では名前の紹介などは一切ありません。前の組がゴールするとすぐに次の組がスタートします。タイムを計っていないのでそれが可能です。

 校舎内はとてもきれいです。広い敷地が隅々まできれいに管理されていました。

 ただ、5年と6年の徒競走はありません。その代わりに障害物競争です。これが首をひねる内容でした。詳しくは書きませんが、実質的にはくじ引きで順位が決まるという感じです。走力を競う種目を避けたというねらいがあるのでしょうが……。

 保護者や児童の感想はどうなんでしょうね。


 もう一言付け加えると、高学年も徒競走が見たかったです。それぞれの児童が力一杯走る姿が見たかったです。
 なお、高学年はリレーがありました。これは運動会の定番です。見応えがあり、保護者の応援にも力が入ります。
 中学年はソーラン節でした。伊藤多喜雄さんのCDでした。インタースクールではありえないことです。日本人ならほとんどの人が知っており、多くの学校で取り入れられているソーラン節を海外の日本人学校で種目に入れているのは日本人としてはありがたいと思いました。日本の文化ですから。

 日本人学校の運動会ですから当然なのですが、運動場には日本人ばかり、ではないけど、大半が日本人です。そしてアナウンスも、保護者同士の会話も、みんな日本語。4週間前までは当たり前の毎日でしたが、今日は日本語の3時間がなんとなく不思議な空間でした。    
 運動会は見る方は疲れます。4時間近くほぼ立ちっぱなしでした。2つのテントが保護者用として設置されてはいますが、そこに入れるのはほんの一握りの保護者のみ。他の保護者は児童の演技が見やすい場所を求めて移動します。トラックが大きいため,移動もたいへんです。ただ運動場自体が広いため、さほどの陣取り合戦はありません。最前列には並べないことはありましたが。観客側からすると、トラックがもう少し小さい方が子どもたちに近づきやすいなあとは思いました。でも徒競走のゴールは観客席に近かったので、写真を撮りやすいという配慮はありました。

 赤道直下に近いクアラルンプールで日本並みの教育が行われているようです。教材などの調達は簡単ではないでしょう。また子どもたちの転出入が多い中、学級経営の難しさもあるはずです。日本のような雑務がないとしても、日本では当たり前のことがそうではないことが多いはずです。
 以上、中途半端で、断片的なクアラルンプール日本人学校の運動会雑感でした。