シニアのマレーシア滞在記+上海旅行も

シニアのマレーシア滞在記+上海旅行も

73歳のシニアによるマレーシア珍道中の記録。2024年5月から6月の43日間滞在記です。現在は二度目のクアラルンプール、上海旅行記も

 6月21日、上海5日目。いよいよ帰国の日です。

 空港へは早めに行きたいと思い、そのことは前日にAさんへ伝えてありました。ホテルまで迎えに来てくれたので、タクシーに乗り込みます。別れ際、子どもたちに英語でお礼を伝えました。普段は日本語で話しているのに、突然の英語です。それでも上のお子さんは私の話した内容をほぼ完璧に理解していました。

 一度タクシーの中で話しただけなのに、その聞き取り能力には驚きました。私の印象では、日本の小学6年生の英語のリスニング力を上回っています。日本人部とはいえ、日頃からインターナショナルスクールで学んでいる成果なのだと実感しました。

 

 朝一番に向かったのは天山茶城です。この様子は「上海で買ったお茶(上海旅行・その6)」で紹介していますので、ここでは省略します。

 

 Aさん一家とは茶城前でお別れです。4人全員と握手を交わしました。私の荷物は、スーツケース、バックパック、そして高島屋で買ったばかりの薄手の絹布団。両手がふさがった状態で、車に乗り込みました。数日間、本当にお世話になった4人との別れです。

浦東空港までは約1時間。無事にターミナル2へ到着しました。

 

 今回、空港でやらなければならないことが一つありました。高島屋で購入した絹布団の免税手続きです。免税品を購入したのは今回が初めて。説明書によると、まずチェックイン前に税関で書類と商品を確認してもらい、その後チェックインを済ませ、保安検査を受けた後に、別の窓口で税金の還付を受けるという流れでした。

 ところが、最初の税関窓口を探すのに思いのほか苦労しました。「CUSTOMS」や「税関」の表示を探して広い空港内を歩き回ります。係員に説明書の中国語部分を見せても、指をさされるだけ。「インターナショナル」と言われても、広い空港ではなかなか見つかりません。

 3人目の係員は少し英語が通じたので、詳しく聞いてようやく場所が分かりました。実際にはターミナル中央付近にあり、一度見つけてしまえば分かりやすい場所でした。

 

 窓口の横にはセルフ端末があります。窓口には列ができていましたが、端末は空いています。画面を見ると、日本語表示も選べました。これは助かりました。

 まずパスポートを読み取り、続いて免税書類を読み取ります。その後、購入した商品をカメラの下へ置きます。絹布団は大きいので、この作業だけは少し苦労しました。操作していると、係員が出てきて「終わりました」と一言。レシートのような紙が出てきたので受け取り、手続きは終了です。

 

 空港に到着したのが午後12時30分。免税確認が終わったのは午後1時5分でした。最初の手続きだけで30分以上かかりました。

 

 続いて春秋航空でチェックインです。時間が早かったのでカウンターは比較的空いていました。

 ところが、ここで思わぬトラブルが起こります。パスポートを提示し、荷物を預け、搭乗券を受け取って「これで終わり」と思った瞬間、その搭乗券を回収されてしまいました。

「少し待ってください。」そう言われて隣の部屋へ案内されます。中へ入ると、私のスーツケースが置かれていました。

 

 何か問題があったようですが、まったく心当たりがありません。係員に開けるよう指示され、スーツケースを開くと、すぐ横のポケットからモバイルバッテリーを取り出しました。

しまった…。

 モバイルバッテリーを預け荷物に入れてはいけないことは十分知っています。今回は2個持ってきていて、使っていた1個はショルダーバッグの中に入れていました。ところが、使っていないもう1個をスーツケースに入れたまま忘れていたのです。

 ひたすら「Sorry」を繰り返し、平身低頭。ようやくチェックインカウンターへ戻り、搭乗券を受け取ることができました。

 

 それにしても驚いたのは空港職員の能力です。荷物を預けてわずか1~2分で、スーツケースの中からモバイルバッテリーを特定していました。私のミスとはいえ、その検査能力の高さには感心しました。

 

 保安検査も無事に通過しました。身体検査では胸ポケットのボールペンまで細かく調べられます。ペンを何度か出し入れして確認していたので、凶器への改造なども想定しているのかもしれません。

 

 最後は税金還付の窓口です。「TAX REFUND」の表示を見つけると、20人ほどが並んでいました。窓口は2つだけです。列の途中で申請書を受け取り、メールアドレスなどを記入します。

 順番が来ると、書類を提出し、サインをして手続きは完了。現金で220元が戻ってきました。

 

 こちらも30分ほどかかりましたが、初めての免税手続きを無事終えることができました。

 こうして、上海旅行最後の大仕事も終了です。

 

 あとは飛行機に乗って日本へ帰るだけとなりました。正味の飛行時間は1時間50分でした。2時間以内の飛行時間では疲れることはありません。LCCであっても。

この写真関西空港に到着した春秋航空機。タラップを降りるのも楽しい。

 

 これでいったん、上海旅行編は終わりです。目を通してくださった皆さん、ありがとうございました。

 そして何よりも、Aさん一家の皆さん、インターで出会った職員の皆さん、私の授業を受けてくれた子どもたち。皆さん、ありがとう。

 上海4日目。午前中は七宝古鎮(しっぽうこちん)を歩きます。Bさんが子どもたちと一緒に案内してくれました。私が「古い町並みを見てみたい」とお願いしていたので、水郷や1000年前に造られた橋が残る古鎮へ連れてきてくれたのです。写真映えする場所としても有名です。

 小雨が降っていましたが、それほど強くなることはありません。狭い路地には土産物店や似顔絵のお店がびっしりと並び、その横には肉料理の屋台風のお店が軒を連ねています。

 途中でAさんとBさんが交代し、牛肉麺のお店へ案内してもらいました。まだ午前11時30分ごろだというのに店内は満席。注文にも列ができていて、しばらく待つほどの人気店でした。

 その後は私一人でフランス租界を散策します。フランス租界はとても広く、武康路をはじめ有名な通りをいくつか歩きました。

どこまでも続くプラタナス並木、見事です

 でも……正直なところ、私にはそれほど面白いとは感じられませんでした。

 これまで訪れた場所のインパクトが強かったことに加え、フランス租界は並木道や洋館、カフェの雰囲気を楽しむ街です。私の関心事とは、少し好みが違っていたのでしょう。

 とはいえ、どこまでも続くプラタナス並木は見事でした。

 もう一つ困ったことがありました。eSIMの通信状況です。武康路の武康大楼周辺ではほとんどつながりません。スターバックスの前でWi-Fiを利用しようとしても、SMS認証が必要とのこと。人気エリアを少し離れると通信できたので、私が契約していたeSIMは、人の多い場所では電波が弱かったのかもしれません。

 この日の歩数は2万歩。雨はほとんど降りませんでしたが、とにかく歩き回ったので疲れました。カフェで一休みすればよかったのでしょうが、なぜかそんな気にもならず……。

 

 ようやくAさん家族と合流し、この日の楽しみだった夕食へ向かいます。北京ダックの人気店「四季民福」です。香港広場の大きなショッピングモールの中にあり、エスカレーターで上の階へ向かいました。

 店内は満席で、待っている人も大勢います。10分ほどすると、「入口近くの席ならすぐ案内できますが、店内の席だと1時間ほどお待ちいただきます」とのこと。もちろん私は中国語が分からないので、Bさんがすべて通訳してくれました。

まるでサンプルかと。乾燥中

 店先のガラス越しには、本物の北京ダックがずらりと吊るされています。最初は食品サンプルかと思いましたが、本物です。こうして皮を乾燥させることで、あの香ばしくパリッとした食感が生まれるそうです。料理人が目の前で作業する様子も見られ、食べる前から期待が高まりました。

 やがて焼き上がった北京ダックが運ばれ、料理人がテーブルの横で手際よく切り分けてくれます。まずは香ばしい皮だけを薄く切り分け、続いて身の部分を切り分けていきます。

 最初は皮だけを砂糖につけていただきました。パリパリとした食感に、脂の甘みがよく合います。

みんなで興味深く見守ります

 続いて、薄い皮に北京ダック、キュウリ、ネギ、たれをのせ、春巻きのように巻いて食べます。料理人が見本を作ってくれました。癖がなく、とても食べやすい味です。

 ところが、ここで思わぬハプニング。

 私が北京ダックを包もうとした瞬間、Aさんのお子さんが「ダメ!」と大きな声を上げました。

 なんと私は、食べる皮ではなく、その間に挟まれていた紙に包もうとしていたのです。皮がくっつかないよう、一枚一枚の間に紙が入っていました。よく見ると紙には小さな穴が開けられていて、区別できるようになっています。危うく紙ごと食べるところでした。子どもに助けられました。

 

 そんな笑い話もありましたが、上海最後の夜は人気店の北京ダックで締めくくることができました。店の雰囲気も料理もすばらしく、旅の最後を飾るのにふさわしい夕食でした。

 

 いよいよ明日は帰国です。

 お昼は焼き小籠包です。Aさんが案内してくれたのは、老舗中の老舗といわれる「大壺春(ダーフーチュン)」です。店頭では焼いている様子を見ることができます。

 皮は厚めで、焼き色もしっかり。食感はもちもちとしていて食べ応えがあります。味付けはやや控えめだったので、醤油ベースのたれを少しつけていただきました。人気店だけあって店内は満席。上海らしい味を堪能しました。

 

 さて、この日のメインイベントの一つが雑技です。鑑賞したのは「ERA~時空の旅~」。

 会場に近づくと、サーカス小屋のような大きなドームが見えてきます。中へ入ると、なんと前から2列目。正面ではなく少し斜めだったのでB席でしたが、十分すぎるほどの良い席です。

 どの席からでも見やすいように工夫されており、音響や照明も素晴らしい。現代的な演出で、飽きる暇がありません。

 中でも、球体の中を何台ものオートバイが走り回る演目は圧巻でした。ハラハラしながら見入ってしまいます。Aさんのお子さん二人も真剣な表情でした。

 

 夕食前には高島屋へ向かいました。

 今回の上海旅行には、もう一つ大きな目的がありました。それは絹布団を買うことです。

 実は20年ほど前にも上海を訪れています。当時は阪急トラピックスの格安ツアーでした。格安ツアーには土産物店への立ち寄りが組み込まれていることが多く、その利益で旅行代金を安くしていることは知っていました。「絶対に買わない」と決めていたはずでした。

 

 ところが、絹製品のお店で日本語による説明を聞き、実際に絹を触らせてもらうと、その品質の良さに納得してしまい、夏用の絹布団を2枚購入してしまいました。

 帰国の際、空港の売店でまったく同じ商品がもっと安く売られているのを見つけたときは、さすがにショックでした。空港の方が高いと思い込んでいたので、なおさらです。

 とはいえ、その布団は今でも現役です。20年間使い続け、真夏以外はほぼ毎日お世話になっています。多少高く買ってしまったとしても、結果的には十分元を取ったと言えるでしょう。

 

 だからこそ、「上海へ行くなら、もう一度絹布団を買いたい」という思いがありました。実は私以上に、妻の希望の方が強かったのです。20年前に買ったものは少し丈が短く、それだけが不満でした。

 AIに相談すると、信頼できそうなお店をいくつか紹介してくれました。その一つが高島屋に入っていたので、まずは価格だけでも見てみようということになりました。

 ホテルからも友人宅からも近く、Bさんが付き添ってくれました。

 

 中国は絹の産地とのこと。だから寝具店には絹製品が置いてあります。選ぶポイントは、100%シルクであること、大きさ、そして中綿の絹の量です。

 最初に見せてもらったものはベッド用でかなり大きく、価格も予算の倍ほど。300グラム入りは手で触っても薄く感じましたが、1キログラム入りはかなり厚め。その中間の800グラムがちょうどよさそうでした。

 交渉はすべてBさんが中国語で進めてくれます。私は大きさと価格を確認しているだけです(笑)。

 

 最初のお店は見送り、隣のお店へ。こちらも在庫は1枚だけでしたが、Bさんが「2枚買うなら安くならないか」と粘り強く交渉してくれました。

 すると、もう1枚は近くの店舗から取り寄せ、その日の夜にはBさん宅へ届けるというのです。旅行者の私は「そんなに早く届くの?」と半信半疑でしたが、本当にその日のうちに配達されたそうです。まるでウーバーイーツです。

 

 さらに、高島屋の会員になると10%引きになり、そのうえ免税で約9%戻ってくるとのこと。海外で高額な買い物をした経験がほとんどない私は、免税手続きとは無縁でした。しかし、高島屋ではその場で丁寧に対応してもらえました。

 

 最終的に、800グラム入りの絹布団を2枚、2,400元で購入することにしました。

 実は、購入を決める直前にもAIへ相談していました。商品のタグを写真で送るよう指示され、その通りに何度か送ったところ、突然「しばらく利用できません」と表示されました。無料版の利用制限です。有料版なら続けられるのですが、月額3,000円となると、少しためらってしまいます。AIの世界も、お金次第なのですね(笑)。

 翌日、再び利用できるようになったので、価格やタグの写真を送り直しました。返ってきた結論は、「買い」です。

 ほっとした一方で、「私が買いたい気持ちをAIが忖度して、背中を押してくれたのでは?」という気も、少しだけしました。

 

 Aさんの済んでいるマンションの近くのお店で夕食をいただきました。行きつけのお店のようです。混んでいるので、予約をしてくれてありました。ここでも、小籠包などの料理をいただきます。とても食べやすい味付けでした。薄いといわれる青島ビールも。

 

 実は笑… 高島屋で絹布団を買った後、歩いていると「はま寿司」がありました。正直なところ、しばらく日本食と離れているのでこの「はま寿司」に行きたいという気持ちもありました。でも、Aさんが良かれと思って予約していただいてある近くのお店へ行くことになりました涙  もちろんそれはそれで問題ははありませんし、いつものようにおいしくいただけました。

 私のような年齢になると、どうも和食が恋しくなります。クアラルンプールにいたときはうどんなどの和食の店があると、入っていました笑 

 今でこそ言える笑い話です。

 

 そのお店からは歩いてAさんのマンションへ行くことができます。私は駐在している子ども連れの家族の住んでいる家をみせていただきたかったので、遠慮なく伺いました。建物は古いとはいうものの、エレベーターはありますし、壁面などはリフォームされており、きれいです。テレビも大型画面です。日本のテレビも見られるとのことです。

 そこではAさん、Bさん、私の3人で、インターでの教育のこと等真面目な話を1時間ほどさせていただきました。私としても初めての知見が多く、よい経験でした。

 

 そして急に日本の共通の友人でLINEでビデオ通話を試みました。事前に話をしていないのにもかかわらず、ビデオ通話のお相手をしていただきました。双方とも笑い声ばかりの数分間でした。Iさんご夫妻には突然にもかかわらずお相手をしていただき、感謝です。

 

 これで上海3日目が終了です。DiDiでホテルへ帰ります。このブログの記事も長文の傾向がありますが、実際に経験したこと、思ったこと、見たことは何十倍もあります。充実した旅だったことがブログを見ていただいた方にもお分かりいただけることでしょう。

 6月19日、上海3日目です。ブログを書くことに疲れてきました汗

 でも、この旅行記を書き終えないと、私の上海旅行が完結しません。困った性分です涙

 

 この日は端午節で、中国では祝日です。インターは4月始まり、翌年3月終わりという日本の学期制度を採用していますが、休日は中国の暦に合わせています。そのため、この日は金曜日ですが学校はお休みです。

 

 Aさんと二人で、私がぜひ行きたいと思っていた上海博物館へ向かいました。午前9時30分頃に着くと、すでに長い列ができています。開館を待つ人たちです。人気の高さがうかがえます。

 入口では、まるで空港の保安検査のような厳重な手荷物検査があります。時間はかかりますが、安全のためには必要なことです。むしろ安心できました。

上海博物館東館 大きすぎて全景は入りません

 広いロビーに入ってもチケット売り場がありません。そのまま展示室へ進むと、なんと入館は無料。しかも外国人も無料です。

 イギリスの大英博物館も無料で知られていますが、近く有料化が検討されていると聞きました。これほど立派な博物館が無料で見学できることには驚きました。

 この博物館は建物そのものも見事です。東館は1年半ほど前に開館したばかり。天井が高く、展示スペースもゆったりしています。これだけの施設が無料とは、本当にぜいたくです。

気になるポスター笑

 入口には大きなポスターが掲げられていました。そこに写っていたのは見慣れた顔(笑)。そう、兵馬俑(へいばよう)です。兵士や馬をかたどった等身大の陶製の像で、素焼きの陶器で作られています。

 兵馬俑は1974年、農民が井戸を掘っていた際に偶然発見されました。その後、世界的に注目され、中国を代表する考古学上の大発見となりました。私は以前から発掘現場や博物館を訪ねてみたいと思っていましたが、場所は西安。日本からだと経由便では10時間近くかかることもあり、なかなか行ける場所ではありません。

 その兵馬俑が、もしかすると上海博物館で見られるかもしれない。そんな期待を胸に館内へ入りました。

 

 最初に見学したのは青銅器の展示室です。これほど多くの青銅器を一度に見たのは初めてでした。青銅器とは、銅にスズを混ぜて作った合金でできた道具や武器、祭器のことです。純粋な銅よりも硬く、さびにくく、鋳型で加工しやすいという特徴があるそうです。

 

 日本語の音声ガイドも借りました。正確にはAさんに借りてもらいました。スマホにイヤホンをつないで使います。展示物に近づくと自動的に説明が流れる仕組みで、とても面白いアイデアです。ただ、展示品が多すぎるため、どの展示物の説明なのか分かりにくい場面もありました。少し惜しい気がします。

 それでも年代表示を見ながら回るだけで十分楽しめました。

 

 古いものは約5000年前の青銅器です。約5000年前といえば、日本では縄文時代。まだ石器が使われていた頃です。その時代に中国ではすでに青銅器が作られていたことになります。

 展示品は小さなものから直径1メートル以上ある大きな器までさまざまです。古いものは素朴な作りですが、時代が下るにつれて細かな模様が施され、表面も美しく仕上げられています。器が中心ですが、武器なども展示されており、当時の人々の暮らしを想像しながら見学できました。

 

 

続いて特別展「秦の統一」へ向かいます。6月7日に始まったばかりの企画展で、9月まで開催されています。ここだけは別格の人気でした。館内の他の展示室は比較的ゆったり見学できますが、この特別展だけは多くの人でにぎわっています。

 その理由は、兵馬俑です。本物の兵馬俑が1体展示されていました。ガラスケース越しではありますが、正面だけでなく横や後ろ姿まで間近で見ることができます。

 兵馬俑はこれまで日本でも展示されたことがありますが、東京での開催が多く、私は見る機会がありませんでした。

 それが思いがけず上海で見られたのです。期待していなかっただけに、本当にうれしい出来事でした。

 写真を撮りながらじっくり眺めました。1体だけでもその存在感は圧倒的です。これと同じような兵馬俑が約8000体も発見されているのですから驚きます。

 いつか西安の発掘現場へも行ってみたいものです。上海経由で、Hiltonのアップグレードも楽しみながらという旅もいいかな笑

 この特別展は兵馬俑だけが主役ではありません。「なぜ秦が中国を統一できたのか」というテーマで、多くの出土品を展示しながら説明しています。解説は中国語と英語でした。Google翻訳を使えばもっと理解できたのでしょうが、旅行中は時間も限られています。それに会場は大混雑。兵馬俑だけでなく、小さな展示品の前にも人だかりができていました。

 見学者のほとんどは中国の方だったと思います。

 秦はわずか15年しか続かなかった王朝です。それにもかかわらず、中国の人々にとって特別な存在です。その理由は、始皇帝が文字や貨幣、度量衡(長さや重さ)を統一し、道路を整備するなど、中国統一国家の基礎を築いたからです。兵馬俑もこの時代に作られました。

 一方で、重税や厳しい法律、大規模な土木工事への不満が高まり、秦は短期間で滅亡します。その後、劉邦が漢王朝を開き、秦が築いた制度をさらに発展させていきました。

 こうした歴史を実物資料とともに学べる特別展が、偶然にも私が上海を訪れた時期に開催されていたのです。人気があるのも当然と言えます。

 兵馬俑に以前から興味を持っていた私にとって、これ以上ない幸運でした。

 

 以上で、少しだけ歴史のお勉強を終わります笑

 

 午後は、もう一つ楽しみにしていた「ERA」の雑技を見に行きます。

 6月18日の夕食後、バスに乗って上海を代表する観光地・外灘(ワイタン、英語では「The Bund」)へ向かいました。

2両が連結されたバス。写真左側が連結部分

 ワイタンには、今から100年ほど前に建てられたヨーロッパ風の石造建築がずらりと並んでいます。重厚で風格があり、思わず見入ってしまいました。

 銀行や商社、ホテルとして建てられた建物が多く、「東洋のウォール街」と呼ばれた時代の面影を今に伝えています。

 驚いたのは、それらの建物が博物館として保存されているのではなく、現在も銀行やホテル、レストランなどとして現役で使われていることです。100年以上前の建物が今も街の一部として息づいている姿に、上海という街の歴史の厚みを感じました。

 夜のライトアップは見事でした。昼間とは違い、建物の立体感がいっそう際立ちます。

川(黄浦江)をはさんだ対岸には、上海タワーをはじめとする超高層ビルが林立しています。今回はあえて対岸には渡らず、ワイタンの歴史ある建築群をじっくり眺めることにしました。

期待以上でした。

川をはさんでの対岸。両岸が対比的

 小雨がぱらつき、時折傘を差しながらの散策でしたが、それでも多くの観光客でにぎわっています。さすが上海を代表する観光地です。

 私は旅行先では、古い遺跡や歴史ある建造物を見るのが好きです。その意味でも、ワイタンの満足度は非常に高く、時間があればもう一度ゆっくり歩いてみたいと思いました。

小雨でも、観光客が多い。人気の観光地

 帰りはDiDiでホテルへ。Aさんは、そのままご自宅へ戻られました。

 

 宿泊したHilton上海虹橋は、事前にお願いしていたこともあり、部屋をアップグレードしていただいていました。部屋は広く、浴室・シャワー・トイレがそれぞれ独立しています。トイレは床も壁も大理石で高級感がありますが、便座は冷たく、ウォッシュレットもありません。

 

 余談ですが、帰国後にホテルから宿泊の感想を尋ねるメールが届きました。満足したことに加え、「日本人にとってはシャワートイレがあるとうれしい」と、Google翻訳を使って中国語で返信してみました。すると、ほどなく責任者名で返信が届きました。

 「エグゼクティブルームにはシャワートイレがあります。次回ご宿泊の際は、エグゼクティブルームとその特典にアップグレードいたします。」そんな内容でした。

 このメールは印刷して大切に保存しています。次に上海を訪れる機会があるかどうかは分かりません。でも、もし実現したら、この約束はしっかり守っていただこうと思っています(笑)。

 

 浴槽も十分な広さがあり、足を伸ばして入ることができました。歩き回った疲れもすっかり取れた気がします。今回の歩数は、初日が1万2千歩、2日目が1万3千歩、3日目が1万2千歩、4日目が2万2千歩、そして帰国日の5日目が1万歩でした。

 旅行ではホテル選びも大切だと改めて感じました。

 

 さて、翌日は上海博物館です。期待度は「中くらい」だったのですが、思いがけない出来事があり、大満足の一日になりました。

 18日の午後は上海動物園を歩き回り、さすがに疲れました。とにかく広い動物園です。園内には電動カートのような乗り合いバスも走っていましたが、どのルートを回るのか分からず利用できませんでした。どうやら有料のようです。

 ホテルへ戻り、2時間ほど休むと疲れもすっかり取れました。

 

 夕食にもAさんがホテルまで迎えに来てくれます。まさにフルアテンドです。すっかり甘えてしまっています。この日のお店は「转角・老弄堂上海菜」。最初の「转」は日本の漢字にはありませんが、パソコンでは表示できます。不思議ですね。読み方は「ジュアンジャオ・ラオロンタン」。「昔ながらの上海の路地裏」をイメージした上海料理店です。

 

 英語も日本語もまったく通じません。でも、私は席に座っているだけ。お店の選択やアクセス、中国語での注文もすべてAさん任せです。まるで大名旅行をしているような気分でした。

 

 この日は学校の同僚ご家族も一緒に食事をするとのこと。それぞれ二人ずつお子さんがおり、私を含めて9人での夕食となりました。海外で日本人の方々と食事をしながら話ができるのは、本当にうれしいものです。旅の思い出がより豊かになります。

 同僚のご家族には、私のようなシニアとの食事にお付き合いいただき、改めてお礼を申し上げたいと思います。このブログをご覧になることはないかもしれませんが。

 

 この店の名物は、豚の角煮を甘辛い醤油だれでじっくり煮込んだ料理です。私の口にもよく合いました。とてもおいしい。ただ、見るからにカロリーは高そうです。おいしさのあまり食べ過ぎてしまい、お腹がいっぱいになりました。

 青島ビールもいただきました。同僚の奥さんが、「中国のビールは薄いんですよ」と何度もおっしゃいます。確かに、普段あまりお酒を飲まない私でも、軽くて飲みやすいビールだと感じました。

 青菜炒めやエビ料理もおいしく、上海料理を十分に堪能することができました。

 

 この日は、今回の上海旅行で最大の目的だったインターナショナルスクールでの授業を終えた日でもあります。その安心感もあってか、少しハイテンションだったかもしれません。ついつい話し過ぎてしまったような気がします。同僚のご家族には、少々ご迷惑をおかけしたかもしれません。

 

 食事をしながら感心したことがあります。まだ小学校低学年、あるいはそれより小さい4人の子どもたちが、大人と同じ料理をおいしそうに食べ、箸を次々と動かしているのです。

 日本なら、お子様ランチを頼んでいてもおかしくない年齢です。幼いうちからさまざまな料理を食べる習慣が身についているのでしょう。食への適応力が育っていることを実感しました。

 子どもたちの姿を見ながら、「たくましく育っている」というよりも、「周りの大人がたくましく育てているのだな」と感じた夕食でした。

 

 食後は外灘のライトアップを見に連れて行っていただきます。楽しみのところでもあります。

 6月18日の午後、Aさんたちは仕事があります。私は一人で上海動物園へ向かいました。移動はDiDiです。一番安いエコノミーではなく、その上のスタンダードを選びました。料金の差は日本円で100円ほど。それならスタンダードの方が安心です。

 入園券はAlipayで購入しました。40元です。決済も問題なく完了しました。

 ところが、動物園全体の地図をもらわなかったため、パンダ舎を探すのに一苦労。案内標識を頼りに歩きますが、なかなかたどり着きません。途中、ほかの動物には目もくれず、ひたすらパンダを目指します。

 

私が大学生だった頃、東京の上野動物園に初めてジャイアントパンダがやって来ました。1972年のことです。ランランとカンカンです。当時は社会現象になるほどの人気で、長時間並んだ末に、ほんのわずかな時間しか見ることができませんでした。

 

 その後も上野動物園やマレーシア、ソウルなどでパンダを見る機会はありました。しかし現在、日本にはジャイアントパンダはいません。ようやくパンダ舎に到着しました。

 室内には10人ほどの見学者が集まっています。見ると、パンダがゆっくり歩き回っています。午後のパンダは寝ていることが多いと聞いていたので、これはラッキーでした。

しかも、目の前の厚いガラスのすぐ前を歩いてくれます。わずか1メートルほど先を、ジャイアントパンダがゆったりと歩いているのです。近くで見ると、思っていた以上に大きく感じます。

 しばらくすると、ガラスにもたれかかるように「よっこいしょ」という感じで座り込みました。足元には10本ほどの笹があります。その笹を口で勢いよくしごきながら食べています。時には竹の軸までかじっています。何がおいしいのかは分かりませんが、目の前で大きな背中を見せながら、むしゃむしゃと笹を食べる姿をじっくり眺めることができました。

写真もたくさん撮りましたが、ガラス越しなので反射が入ってしまうのが少し残念でした。

 さらに幸運なことに、隣の部屋にはもう1頭のパンダがいました。

こちらも歩き回った後、見学者側のガラスの前にどっしりと腰を下ろし、笹を食べ始めます。2頭のパンダを間近でゆっくり見ることができ、大満足でした。

 見学者は全部で30人ほどだったでしょうか。人気のある動物舎ではありますが、平日の午後ということもあり、ゆったり見学できました。

 

 その後はサルやチンパンジー、ゴリラなどの類人猿だけを見て動物園を後にしました。

上野動物園で数十秒しか見られなかったパンダを、上海では心ゆくまで眺めることができました。これほど近くで、しかもゆっくり見ることができたので満足度は十分です。

 そのままDiDiでホテルへ戻りました。DiDiはピックアップしてもらう場所の指定に気をつければ問題なく使えます。中国語も不要です。

 

 天気予報は雨でしたが、実際には少しぱらついた程度。ほとんど曇り空でした。それでも蒸し暑く、かなり歩いたこともあって、この日の午後はさすがに疲れました。

 2時間目は3・4年生の合同授業です。普段は一緒に授業をすることはないそうですが、子どもたちは真剣に私の話を聞いてくれました。学年の違いはまったく気になりませんでした。

 教材は教科書ではなく、谷川俊太郎さんの『ことばあそびうた』の中の「うとてとこ」です。この授業方法は40年以上前に野口芳宏先生から学んだもの。その後、自分のクラス以外でも何度か実践してきた、私にとって数少ない「鉄板ネタ」です。

 

 日本では黒板に一行ずつ詩を書きながら授業を進めます。空白行を含めると14行になり、他のことも書くので黒板はいっぱいになります。今回は備え付けのホワイトボードだけでは横幅が足りないため、移動式のホワイトボードも使い、2面で授業を行いました。

 私の授業は一斉指導ですが、決して講義式ではありません。子どもたちに何度も声を出させ、手を挙げさせ、ノートにも書かせます。いわば全員参加型の授業です。挙手した子だけを指名していると、どうしても傍観者が出てしまいます。そこで私は、二者択一で必ずどちらかに手を挙げさせたり、「書けた人」「まだの人」と確認したりして、全員が参加する場面を意図的につくります。

 今回は行いませんでしたが、「今の意見に賛成の人?反対の人?必ずどちらかに手を挙げてください」と問いかけることもあります。授業中は子どもたちに油断する暇を与えません(笑)。

 

 音読は10回近く行いました。ただ繰り返すだけではなく、読み方に変化をつけながら進めます。最初の音をはっきり発音すること、声が大きすぎるときは少し抑えることなども指導しました。

 写真を見せる場面では、あらかじめA3サイズに印刷したものを用意しておきました。

子どもたちの反応はとても良く、3年生と4年生が合同であることを感じさせませんでした。「ことばあそびうた」という親しみやすい教材だからこそ、学年を越えて取り組めたのでしょう。

 とはいえ、決して簡単な授業ではありません。子どもの考えに対して、「それは違うなあ」とはっきり伝える場面も何度もありました。何でも認めればよいというものではありません。

 Aさんから借りたコクヨ製の指し棒も大活躍でした。子どもたち自身がそれを使い、ホワイトボードの前で説明する場面もありました。

一つだけ予定と違ったことがありました。授業時間は40分と聞いていましたが、開始が少し遅れたため、途中からテンポを速めて進めました。ところが思った以上に順調に進み、予定より早く終わってしまったのです。

 日本であれば感想を発表させたり書かせたりするところですが、初対面の子どもたちにそこまで負担をかけたくなかったので、それはやめました。

 

 そこで余った時間を使い、日本語の話をしました。

「『おはようございます』の『おはよう』は、『オハヨー』と読むのでしょうか。それとも『オハヨウ』と『う』をはっきり発音するのでしょうか。」

 

 予想どおり意見は分かれました。実はこの問題、日本の先生方に聞いても迷われることがあります。正しい発音は「オハヨー」です。「おとうさん」や「きょう」も同じです。ただし、「こおり」のような例外もあります。

 この内容だけで30分ほど授業ができるほど奥が深いテーマです。小学校1年生の国語教科書にも載っていますが、意外と十分に意識されていません。指導する側にとっても盲点の一つだと思います。

 

 授業が終わると、ある児童が「先生、今度はいつ来るの?」と聞いてくれました。

 次はないのですが(笑)、教師としては本当にうれしい言葉です。

 

 もう一つうれしかったことがあります。日本人部の先生がお一人、私の授業を最後まで参観してくださいました。小学校の授業を見る機会が少ないからとのことでしたが、それでもありがたいことでした。

 

 昼になり、午後は一人で上海動物園へ行く予定でした。昼食をどうしようかAさんに相談すると、「学校の食堂で食べましょう」と誘ってくださいました。これはうれしかったですね。どんな食堂なのか、どんなシステムなのか、とても興味がありました。

 食堂には数種類のおかずが並び、指さしや注文でプレートに盛り付けてもらいます。ご飯などは自分でよそいます。ビュッフェ形式に近いシステムです。端午節にちなんで、チマキもありました。大きなチマキです。もちろんいただきました。やわらかくて、やや甘め。おいしかったです。私の誕生日は5月5日。チマキです笑

 日本人部の児童は約40人。その規模だからこそ、この方式がうまく機能しているのでしょう。栄養面もしっかり考えられ、外部から運ばれた給食ではなく、その場で調理されているので衛生面でも安心です。

 昼食はAさん、その同僚の先生、そして保育園の先生と4人でいただきました。初対面にもかかわらず話が大いに盛り上がり、食べる時間が足りないほどでした。

 話題は旅行のことなど。詳しくはここでは書かないことにします(笑)。

 

インターで過ごした時間は約4時間。短い時間でしたが、学びが多く、とても充実した、そして楽しい4時間でした。

 

 さて、上海2日目の午後は、パンダに会うため上海動物園へ向かいます。

 1時間目は「端午節」についての授業です。中国人の先生が中国語で授業をしています。

教室の前面にはホワイトボードがあり、その上からスクリーンが降りてきます。天井のプロジェクタで映写する仕組みです。大きな画面は教室の後ろからでも見やすく、やはり便利だと感じました。

 

 津市の学校では大型テレビを使うことが多いのですが、後方の席からは画面が小さく見えたり、光の反射で見づらかったりすることがあります。教師は前方に立つため、そのことに気づきにくい場合もあります。

……などと考えているうちに、昔の初任者指導のことを思い出し、少し熱くなってしまいました(笑)。話を戻します。

 

 端午節の授業は中国語のみです。日本語も英語も使いません。それにもかかわらず、子どもたちはうなずいたり、手を挙げたり、声を出して反応したりしています。もちろん全員が中国語を100%理解しているわけではないそうです。それでも中国語による授業を当たり前のこととして受け止めている。その姿が素晴らしいと思いました。

 

 4時間目には英語の授業も参観しました。こちらも当然ながら英語のみで進められ、日本語も中国語も使いません。私自身、すべてを理解できたわけではありません。しかし子どもたちはしっかり反応しています。

 繰り返しますが、ここは日本人部です。大半の子どもたちは日本語を母語としています。日本人部が開設されたのは4年前で、現在は小学校1年生から4年生までが在籍しています。

 このインターにおける日本人部の大きなねらいは、トリリンガルの子どもを育てることだと聞きました。一般的なインターナショナルスクールでは英語が中心になります。しかしここでは、日本語を母語とする子どもたちのために日本人部を設置し、日本語・中国語・英語の三つの言語を学ぶ環境を整えています。

 小学校低学年の段階から3か国語を同時に学ぶのは簡単なことではありません。2年や3年の在学でトリリンガルになれるわけでもないでしょう。親の赴任期間の関係で、在学期間も長くはないということです。

 

 そんなことは十分承知の上で、この学校は挑戦しているのです。校長のAさんとは、上海での5日間、何度も日本人部の教育について話をしてきました。日本語の読み書きをしっかり指導する必要があること、「読み・書き・計算」という基礎は小学校中学年までに身につける必要があることなどです。そこに加えて、中国語や英語の学習もあります。

 

 しかし今回私が強く感じたのは、子どもたちが3か国語で学ぶ環境に自然になじみつつあるということでした。中国語だけの授業にも、英語だけの授業にも真剣に取り組む姿を見て、その思いを強くしました。

 日本では今でも、「英語教育の前にまず日本語をしっかり教えるべきだ」と主張する専門家がいます。その考え方は私にも理解できます。

 しかし上海のインターで学ぶ子どもたちの姿を見て、私自身の考え方も少し変わりました。3か国語の同時習得は、小学校という柔軟な時期だからこそ可能なのかもしれません。

日本語を基盤としながら、英語や中国語の素地を身につけることができれば、将来の選択肢は大きく広がります。彼らの中から、日中の架け橋となる人材が育つ可能性も十分にあるでしょう。陰ながら応援したいと思います。

 

 ということで、次回はインターで行った私のつたない授業について振り返ります。

 6月18日、上海2日目です。

 この日は今回の上海訪問の最大の目的があります。それはインターナショナルスクール(通称インター)を訪問し、日本人部(Japanese Division)で授業をさせていただくことで す。私にとっては得がたい経験です。

 なぜ私がこのような機会をいただけたのか。それは日本人部の校長が友人であることに加え、日本にいた頃から互いの授業を見せ合ったり、教育について語り合ったりしてきたことが基盤にあります。

 いかに校長といえども、子どもたちや職員に混乱を招くようなことであれば、部外者の立ち入りや授業を認めるはずがありません。その点については本当に感謝しています。

 インターでの授業とはいえ、日本人部です。大半の児童は日本人で、授業も日本語で行います。

 

 2時間目は3・4年生、3時間目は2年生への授業です。3年生と4年生が複式学級というわけではありません。児童数や時間割の関係で、この時間帯だけ合同授業になっていました。

 

 少し時系列を戻します。18日の朝です。友人の住むアパートと学校(インター)、そして私のホテルは徒歩圏内にあります。歩いて15分ほどとのこと。普段は家族4人が一緒に歩いて通学・通勤しているそうです。

 家族4人が毎日一緒に歩いて学校や職場へ向かうというのは、なかなか珍しい環境です。学童保育も必要ありません。24時間の大半を親子が一緒に過ごしていることになります。その様子は私の目にはとても好ましく映りました。うまく子育てをしているのだなと感じます。

 もっとも、この日は私がいたため、わざわざタクシーでホテルまで迎えに来てくれました。5人で学校へ向かいます。校門らしいものはなく、ガードマンがいる入口から入ります。セキュリティは当然ながら万全です。

 

 校内では日本人職員の方2人にあいさつをしました。きっと本音では「こんなシニアを連れてきて」と思っていたかもしれません。それでも大変親切に対応してくださり、コーヒーまで入れていただきました。

 本当は職員の方々に聞いてみたいことがたくさんありました。しかし授業前の忙しい時間です。ゆっくり話をする余裕はありませんでした。翌日の6月19日は中国の伝統行事「端午節」のため休日です。そのため、この日は子どもたちが民族衣装を着て登校していました。

 民族衣装の子どもたち。廊下にはロッカー

 ところが、一人だけ民族衣装ではない児童がいました。すると教員同士で「学校にあるものを貸してあげようか」と相談しています。こうした細やかな配慮は、日本の学校と変わりません。

 

 民族衣装に関連して面白い話もありました。ある先生が昼前に、鮮やかな民族衣装に着替えながら、「私もみんなと同じような民族衣装が欲しくなって、30分前に注文しました」

と言うのです。

 「30分前ですか?」と聞き返すと、「上海ではネットで注文するとすぐ届くんです。30分くらいで届くこともあります。だから備品の在庫もあまり持たなくて済みます。必要になったら注文すればいいんです」とのことでした。

 中国のネット通販が発達しているとは聞いていましたが、実際に目の当たりにすると驚きます。

 

 翌日にも似たようなことがありました。絹布団を購入することになったのですが(詳しくは後で書きます)、お店には在庫が1つしかありません。それでも店員さんは平然と「近くの店舗から届けます」と言います。

 夕方の注文でしたが、その日の夜には友人宅へ無事に届いていました。中国の物流のスピードには驚かされるばかりです。

 

 さて、いよいよ授業の話です。