展覧会に行って来ました。
さすが横浜美術館、切り口が良かった。
たっぷり前衛芸術、と言うか駒井さんはそのもの前衛ですね。
構成
プロローグ
第1章 銅版画との出会い
まだ銅版画科が無い時代に写実的な作品を制作、デューラー、レンブラントホイッスラーなどの西洋、そして日本エッチング研究所の西田武雄や関野準一郎など日本の作家作品の紹介ととの対比からなります。
それにしても出会った月間「エッチング」が人生を変えたとは。
第2章 戦後美術の幕開けとともに
ここから詩的になった駒井の作品が並びます。
この流れには、恩地孝四郎の「一木会」の同人になり、木版画ではなくて銅版画を続けたのでした。
《夢の始まり》埼玉県立近代美術館
網膜イメージ、魚に見えましたが、どちらも水に纏わる共通点あり。
また、「マルドロオル」詩はロートレ・アモンの翻訳の挿し絵をも手掛ける、これは過激で発禁にもなったようです。
《小さな幻影》埼玉県立近代美術館
おや、これは、ルドン?
そうです、ここにルドンの作品が続きます。
写実から内面心象風景への転換期でした。
また、画家の岡鹿之助は師であり、また同世代の版画家、清宮質文や浜田知明らの作品もありました。
第3章 前衛芸術との交差
こうなると、やはり滝口修造、1951年に「実験工房」に加入し、湯浅譲二との共作でオートスライド「レスピューグ」上映、さらに立体オブジェも制作、その復元作品がありました。これら資生堂の福原義春コレクション、まさにインターメディアの世界へ。違うメディアとの融合とでも言うのがそれになります。
ここはかなり実験的要素が強くて、ちょっと何か分かりにくいです。
北代省三、山口勝弘、覚えておきたいところです。
バウル・クレー作品も並んでおります。
第4章 フランス滞在と「廃墟」からの再出発
非常に前衛的になりましたが、やはり、銅版画。1954年にバリヘ。憧れの長谷川潔のもとを訪問。そこで勧められ、フランス国立美術学校で、エングレーヴィングを学ぶ。
片や、長谷川の素晴らしさ(確かに力が抜けてるが絶妙な構図、来年町田での展覧会が楽しみです)、フランスの先進性の壁に自信喪失、当時の作品《廃墟》東京都現代美術館、そこからの復活は、帰国後、《樹木 ルドンの素描による》練馬区立美術館 で復活。長谷川潔の樹木と大差はない、再生です。
実にうまいネーミングだなあと、この章観て思いました。
このころは、エルンストのフロッタージュ(擦りだし)これは技法的に押さえておきたいところですね。
西洋との交差点、これが後の駒井哲郎を養成したんだと認識。
第5章 詩とイメージの競演
このあと国内の詩人とのコラボが続きます。
大岡信と知り合い「書肆ユリイカ」、で安東次男、粟津則雄、福永武彦、埴谷雄高、金子光晴、そして谷川俊太郎も。
詩集の挿し絵が並びます。
第6章 色彩への憧憬
ラストは色刷り、お、これはルドンと同じです。
ラストはルドンの端の作品彷彿させる作品が並びます。花園のようでした。
また、モノタイプ、一点刷りも制作されます。
確かクレーを知り、ルドンが理解出来るようになったと、(私はその反対なのではと思うような)そんな話も紹介されてました。
エピローグ
ラストはシン・コレ作品、そして、
ラストの帽子も👍
どっぷり駒井さんの幻想世界に浸れました。
疲れないですね、なんだろうこの感覚。
思ってた以上に素敵な展覧会でした。
2018年10月13日(土)~12月16日(日)
横浜美術館