自民党の「石破おろし」「総裁選前倒し」が勢いを増しているようですね。首相の支持率が上がっている中で党内からの突き上げというのは面白い現象ですが、自民党員は石破氏を党首として見ているのに対し国民は首相として見ているわけなので、評価が食い違うのは当然だと思います。自民党は参院選で大敗した一方、首相としては少数与党ながら予算を通し、関税交渉も失点は最小限に食い止めました。また韓国、インド、オーストラリアとの外交も無難にこなし、長年続いた減反政策の転換を実現するなどそれなりの成果を上げていますので。

 

ただそれなりに評価されている石破首相をすげ変えてしまうと次の選挙で自民党はさらに苦境に陥るのでは。野党が頼りないから自民党に投票した消極的な自民投票層が「派閥と裏金体質」から脱却できない自民に嫌気をさして離反し(「石破おろし」勢力は「派閥と裏金体質」議員が多いとの報道です)、極右側の支持を参政党から取り戻せないとなると衆院選でも敗北は必至。石破首相は解散をちらつかせているようですが、衆院選でまた議席を失えばもう立場はないでしょうからこのタイミングでの解散はやめたほうがいいと思います。外野としては脅しをかけるなら離党・新党結成の方が面白いけど。

 

政党乱立になるかもしれませんが各政党がきっちり国民に政策をアピールするようになって有権者が政策で投票先を選べるようになるのはいいことだと思います。その上で政策が似通っている党があれば選挙後の連立を視野に入れて選挙協力をすればと思いますが、小選挙区制は大政党に有利なので大きなハードルですね。

 

さてまた前置きが長くなってしまってすみません。皆さんもご存知のとおりトランプ政権はLGBTQ、特にトランスジェンダーの排斥政策を徹底的に進めています。最終的にはトランスジェンダーの存在を否定することが目的だと思いますが、その前段階として数十年前の――まだトランスジェンダーのコンセプトすらなかった時代のように――ごく少数のトランスがいたとしても社会が奇人・変人・狂人扱いするような状況に戻すことを目的としてるようです

 

トランプが就任早々から進めている政策の一つに政府関係のウェブサイトからトランスジェンダーの記述・言及を一掃するというのがありますが、トランスジェンダーのコンセプトそのものを否定するのが目的です。もちろん数多くのトランスにとってトランスであることは生まれつきなので、こんなことでトランスが減るわけはありません。正確には政府が公的に存在を否定することによってトランスを自認する(自分がトランスであることを受け入れる)人たちを少しでも減らすということですね。

 

マイノリティを異端とみなす動きについては連邦レベルだけではなく、自治体レベルでも特にレッドステート(共和党が優勢な州)でLGBTQ関連の書籍を学校の図書館や教育現場から排除するという形で激しくなっています。NBCの記事によれば2023-2024年度に全米の学校で禁止になった書籍のうちLGBTQキャラが含まれるものは25%に達しているとのことです。もともとLGBTQキャラが含まれる書籍は極めて少ないので狙い撃ちといったところです。

 

トランプ支持者を中心とする反LGBTQ強硬派はLGBTQは教育の結果だと信じているようです。つまりLGBTQに寛容な教育がLGBTQ人口を増やしているのだと。以前の投稿の繰り返しになりますが、シス・ヘテロの皆さん、もし小中学校時代にLGBTQキャラの登場する書籍、情報などにもっと触れていたらご自身がLGBTQになっていた、育っていたと思いますか?幼少時にお姫様と王子様が結婚して幸せに暮らす結末の童話ばかり読んでいたからご自身がヘテロに育ったんだと思いますか?

 

私は今の社会にLGBTQ差別が厳然と存在するからこそLGBTQを異端視しない教育が重要だと思っています。でも小中学校の生徒には「性的な内容」が含まれる書籍はいずれにしても禁止すべきという意見の方に強調したいのですが、LGBTQは性的な事項では必ずしもありません。トランスに関して言えば性自認はセクシュアルな事柄や性欲と全く関係なく説明できるものです。多くのトランスが程度の差こそあれ小学校低学年以前から性別違和を感じている事実を直視していただきたいと思います。(性別違和が幼少期になかったことがトランスジェンダーではないということにはなりません。念のため。)   LGBに関してもお姫様と王子様が結婚するのは性的でないからOKで王子様同士が結婚するのは性的だからNG、と感じているならばそれがなぜなのか考えてみていただきたいと思います。

 

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