皆さんご存じの通り、米国はベネズエラ本土を攻撃し大統領夫妻を拉致して米国内で裁判にかけるために収監しました。昨年最後の投稿も含めて何度か述べた通り、トランプは「帝国主義的野心丸出し」で「正義も大義も国際法も全く無視」することはわかっていたので私には驚きではありませんでした。ただ改めてこんな人物をリーダーに選んだ米国有権者、いまだにトランプを支持している米国民に落胆しています。
攻撃後のベネズエラの体制に関してですが、トランプの関心はいかにベネズエラを支配しやすい体制にするかということに向いています。非道な独裁者が排除されたことをプラスに見る向きもありますが、ベネズエラの民主化や麻薬ビジネス撲滅が目的というのはそもそも中身のない言い訳。というか私は見え透いた嘘だと思っていました。トランプの狙いは米国の属国としてベネズエラを搾取しやすい体制にすること、というのが私の見方です。
疑問を持たざるを得ない行動もあったにせよ拡張主義的、好戦的な大国ロシア、中国に比べて国際協調、国際法順守という面での良識を信頼できた唯一の超大国はトランプ政権によって中露と同じレベルに堕ちてしまいました。80年前、二度の大戦の反省から目指された法と信頼による国際秩序は2014年のロシアのクリミア併合という暴挙に始まってここに完全に崩壊したのかもしれません。
これを読んでいただいている方の中には私が急進リベラルの民主党支持だからトランプを非難していると思われている方もいらっしゃるかもしれませんがそれは違います。私のトランプ批判の投稿が増えてきたのでそのうちはっきりさせようと思っていたのですが、私は米国ではIndependent(独立派)。つまり共和党、民主党のどちらにもコミットしていない無党派層です。私の渡米時のレーガン以来、今までの共和党大統領でトランプほどひどい人物はいませんでした。ブッシュ父子に加えて共和党大統領候補のドール、ロムニー、マケインなどいずれも政策面での意見の相違はあれど根本的に人間性を疑うべき人物はいませんでした。国際社会における米国の尊厳と信頼をを地に落とすようなことをするなんて考えられませんでした。
そして民主党大統領のクリントン、バイデンも欠点や失政があったと思っています。つまり私から見て全面的にこき下ろさざるを得ない人物はトランプが初めて。徹底的な嘘のごり押し、政敵への復讐、忠誠心のみに基づいた高官人事、恥を恥と思わないエゴむき出しの自画自賛コメントなど、極端な政策以前にとにかく論外、とにかくすごいです。トランプからの復讐を恐れるあまり声を上げられない面はあるにせよ、わずかな例外を除いてここまで共和党議員がトランプのいいなりになっていることにも失望しています。私はまだ共和党議員の良識にかすかな期待を持っていたということなんでしょうね。
民主主義陣営のリーダーだった国が極めて短期間にここまで変貌するとは日本の政治家、官僚も予期していなかっただろうと思います。信頼できる友邦としての米国はもはや存在しません。トランプの米国は強みを持っている分野を友好国に対しても容赦なく交渉の道具として使う国です。そこには政治的理念を共にする友邦と支え合って繁栄する、とかソフトパワーで国際社会の信頼と支持を広げる、という考え方は微塵もありません。たとえ3年後民主党が政権を奪回してもすぐには元に戻らないでしょう。難しいことは百も承知ですが、日本としては現実を直視して安全保障、経済の両面で米国への依存度を下げていくしかないと思います。貿易面では欧州、カナダ、オーストラリア、メキシコなどと自由貿易体制維持の枠組みを強化する、安全保障面でも米国以外の国とも関係を強化する必要があると思います。
でもトランプの国際社会での暴虐を反米感情につなげるのはやめましょう。ほぼ半数の投票者はトランプに投票しませんでしたし、現在は過半数の米国民がトランプを支持していません。反トランプはOKでも反米はNG。反ネタニヤフはOKでも反イスラエルはだめ、反ハマスはOKでも反パレスチナはだめ、というのと同じことです。