2月末にSRS(性別適合手術)のお話をしました。ちょっと間が空きましたが続きです。

 

まず前々から気になっていた言い方ですが、MTFのSRSで「あそこをちょん切る」という表現。結果としてなくなるので切り落とすのだろう、と想像するのはわかるのですが、相当乱暴でかなり語弊のある表現だと思います。切り落としたら女性器になるなんてことが絶対ないのは容易に想像がつくと思いますが、実際の手術は極めてデリケート。Micro Surgery (微細手術?)の技術を駆使する高度なもので、有名どころの外科医ほどその技術を誇りにしています。

 

閲覧注意! 次段落には局部の直接的な記述があります]

 

男性器部分を女性器にする場合ですが、元の男性器の使える部分は全て使う、というのがスタンスです。切り落としてその部分を捨ててしまっては女性器形成はできません。陰茎の先端部分は陰核に、陰嚢の皮膚は陰唇に、陰茎の皮膚は膣の内壁に。そして尿道も短くなりますが余る部分も無駄にしません。大物で使い道がないのは睾丸と海綿体くらい? 性感を維持するためには神経切断も最少限を目指すわけで、女性器を形成するってそんなに簡単ではないのです。

 

またSRSより何年も前に睾丸摘出をしてしまうのは陰嚢が収縮して使える皮膚が少なくなるという理由で推奨されていません。外科医としては新性器形成の材料が多ければ多いほどいい出来になるということらしいです。今あるものを除去するというのではなく、今あるものをできるだけ使って造り替える、というのがより正しいイメージですね。レトリックかもしれませんが「あそこをちょん切る」という表現は否定的に聞こえるのでそう言われると、当事者としては反対されてるのかな、と感じてしまうと思います

 

米国の場合、手術は形成外科医と泌尿外科医、そしてもちろん麻酔医がチームを組んで行われます。人気のあるチームは一日で患者三人の手術を行っているようですが、それでもウェイトリストは異常な状態です。検索すると米国でのSRSのコストは3万ドル(400万円強)くらいとでてきますが、医療機関、形成箇所そして手術方法によってもかなりばらつきがあるようです。

 

しかしいずれにしてもかなりの高額で、当事者としてはぜひ保険にカバーしてもらいたいところ。え、米国ではSRSは保険適用できるの?ということですが、この質問には一言では答えられません。米国は国民皆保険ではないので、各自別の、多くの場合は勤務先が提供する医療保険に加入することになります。そしてSRSに保険が適用されるか否かは加入している保険によって、そして州によって全然異なります。

 

つまりSRSを検討し始めたトランスジェンダーで既に加入している保険がSRSに適用不可の場合はそれをカバーしてくれる保険を探す必要があるということですね。そして適用内とうたっている保険でも全てをカバーしてくれるわけではありません。下の写真は保険適用を申請したトランス女性への保険会社の返答の例です。

 

 

保険は適用できますとの返答なのに、一部カバーされませんとのこと。そして適用外部分の自己負担額は17万3千ドル! 日本円で約2340万円。それじゃ一体保険適用前の総額はいくら? 3万ドルなんてどこの誰が言ったの?大学授業料もめちゃくちゃですが、米国は医療費もめちゃくちゃです。

 

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