映画・ボレロ |  ヒマジンノ国

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昨日は新宿で映画「ボレロ・永遠の旋律」を鑑賞。

 

内容はフランスの有名作曲家、モーリス・ラヴェルの半生を描いています。物語の盛り上がりに欠ける、という批評多数出回っていますが、自分は面白かったです。

 

ラヴェルを演じるのは、フランス人俳優のラファエル・ペルソナ。正面顔はともかくとして、横顔がかなりラヴェルに似ています。意図的に横顔のシーンが多いな、と思わせる場面も多数あり、あるシーンでは有名な写真にそっくりだと思ったりもしました。

 

 

↑、ラファエル・ペルソナ。

 

 

↑、横顔だけならラヴェルに見えるな、と思って観ていました。

 

 

↑、逆向きでしたが、この写真にそっくりなシーンもありました(これは本物のラヴェル)。

 

内容は前もってラヴェルに対する知識がないと、分からなくなるシーンが多数あったと思います。有名なローマ大賞に落ちる話、第一次世界大戦に従軍する話などが、時系列を無視して入ってくることがあり、ある程度ラヴェルのことを知っている人が観ることを、前提として作られていると思いました。

 

前半はラヴェルとの女性関係を含めて、彼の代表作である「ボレロ」が成立するまでを描いています。

 

後半は病に侵され、記憶を失いつつ苦悩するラヴェルの姿が描かれ、手術後に死亡するまでです。

 

バーンスタインの映画もそうでしたが、こういう映画はある程度観る側にも、クラシック音楽に対する知識などが備わっていることが、前提になっていると思います。

 

なんにも知らない人が観ても、色々と説明不足に見えると思いますが、むしろ好事家であるならば、これぐらいの内容で丁度良いと思えるのではないでしょうか?(個人的にバーンスタインの映画も同様でした。)

 

始終流れるラヴェルの美しい音楽と、それを意識した各所の映像的な美しさの組み合わせを楽しんで観ていないと、面白いと思えないと思えます。


音楽は当然ラヴェルの音楽が多数使われています。マ・メール・ロワから数曲、ラ・ヴァルス、亡き王女のためのパヴァーヌなど、他にも多数。それ以外で目立ったのは、ショパンの音楽も結構使われていました。最初のダンスシーンなど良かったです。

 

映像も美しく、香るようです。多くの場面に意識的に、鳥のさえずりなどを入れており、新鮮な自然の雰囲気などが、画面から流れて来るようでした。

 

 

↑、マルグリット・ロンを演じるエマニュエル・ドゥボス。映画を観ていてずっと「誰?」と思っていました。

 

ラヴェルの世話を焼く女性が何人か出てくるのですが、ずっと1人だけよく分からない人物がいました。最後の方になってピアニストだと分かり、マルグリットと主人公が呼んだので、多分あれはマルグリット・ロンなのでしょうね。

 

マルグリット・ロンはラヴェルと相当近い位置にいたというのが今回良く分かりました。

 

 

↑、右端がマルグリット・ロン(本物の写真)。フランスを代表する女流ピアニストです。

 

寂しさを基調としながら、爽やかで、切実な音楽を描いたモーリス・ラヴェル。その音楽は決して、彼自身のプラトニックな性格と無関係ではないという感じが、よく伝わってくる映画でした。

 

亡き王女のためのパヴァーヌ / サンソン・フランソワ (youtube.com)

 

↑、マルグリット・ロン最後の弟子といわれる、サンソン・フランソワによるラヴェルです。

 

Ravel plays his Pavane pour une infante defunte (youtube.com)

 

↑、ラヴェル本人によると思われる音源。