古い音源は不思議と心が落ち着くものです。そんな音源を聴いた感想を、少し書きます。
ALP1067-1068。
ドニゼッティ、「愛の妙薬」(1952)。
おそらくはガエターノ・ドニゼッティ(1797-1848)の作品の中で最も有名な作品だと思います。喜劇で、ローカルなスペインを舞台にした、子供っぽい物語です。薬売り、ドゥルカマーラが売りつける媚薬(実はワイン)がとりもつ、アディ―ナとネモリーノのお話です。ドニゼッティのオペラは聴き手にはソフトですが、歌い手には人声にかかる比重が大きいのが特徴で、ここでも各役に充分な歌う場面が与えられています。
ローマ歌劇場のシェフだったガブリエリ・サンティーニ(1886-1964)を中心に、戦前に活躍した歌手中心のアルバムとなっています。
どの演奏家を日本語でググっても、詳しい情報はほぼ出てきません。サンティーニもイタリア・オペラを聴く人には割と知られているかも知れませんが、本邦で有名とはいいがたいところです。
主役のマルゲリータ・カロ―ジョ(1908-2005)は1956年に舞台を引退していますし、目ぼしいアルバムも日本では聞きませんね。自分も初めて聴きました。イタリア語の本名で検索すると、いくつか美しい歌声が聴けます。
ゴッビは有名でしょうか。しかし他の二コラ・モンティ(1920-1993)とか、メルキオーレ・ルイーゼ(1896-1967)などもたまにオペラの配役で目にするぐらいで、あまり知らないことが多いです。
(↑、モンティとカラス。モンティ、ルイーゼなど、カラス主演のレコードでたまに出会います。)
今ではもう失われた、イタリアのローカルな雰囲気が味わえる演奏で、心が落ちつきます。
LXT2619-2621。
マスネの「マノン」(1951)。
「マノン」はフランスの作曲家、ジュール・マスネ(1842-1912)の代表作。プッチ―二にも同じ題材のオペラがあります。
フランスで活躍した指揮者で、オペラ・コミック座の監督だった、アルベール・ヴォルフ(1884-1970)の指揮です。ネイティヴなジャニーヌ・ミショー(1914-1976)、イタリア系ですが、フランス・オペラのリード・テノールだった、リベロ・デ・ルカ(1913-1998)などの歌唱が楽しめます。
(↑、アルベール・ヴォルフ。フランス・オペラのスペシャリスト。他にもビゼーの「カルメン」や「真珠とり」があるようで、1度聴いてみたいと思っています。)
アルベール・ヴォルフの指揮は角が取れ、子気味良い味わいがあります。タイトル・ロールのマノンとしては第3幕の1場に、コロラトゥーラを駆使した、美しいアリアがあり、ミショーのリリックな落ち着いた雰囲気と相まって、聴きどころかと思います。
(↑、何故か同じ音源の10インチ、ハイライト盤も持っています。ミショーのネイティヴな歌唱が魅力です。かなりの美声。若干冗長なオペラで、ハイライトで聴くのも悪くないです。)
不思議な録音で、逐次、オペラの展開を解説したフランス語の説明が入ります。
フランス・オペラの代表曲の1つで、ドイツものやイタリアものとは違う、独特の雰囲気があります。この録音も戦前の空気を感じさせる、大人な演奏かと思います。







