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フランス印象派の画家、クロード・モネ(1840-1926)に関する本を読みました(ロス・キング著、長井那智子訳)。
クロード・モネは好きな画家で、もう10年以上前(20年ぐらい前かもしれないです)にブリヂストン美術館(今月中にアーティゾン美術館になるそうです)に行ったことがあります。ブリヂストン美術館のコレクションと、他に何点か特集で飾られていたのを見た覚えがあります。
陽光と、その光が色彩に及ぼす影響を追求した彼の画風は、フランス風のパステル調のエスプリが全面に出ているように思え、描かれた対象に自分が溶け込んでいくようです。彼が生前成功した理由も分かろうかというものです。
彼に比べると、ゴッホとかゴーギャンはもっとアジア的なテイストも多いように思われ、彼らがヨーロッパで簡単に成功できなかったのもうなづける気がしています。
モネの絵は、同時代のルノワールも良く似た感じですが、個人的に母性的な裸婦像なんかが苦手で、どちらかといえばモネの方が好きですね。
(↑ルノワールの有名な・・・<ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会>・・・陽光を意識しているところが、自分は素人ながら、モネなんかとよく似ているのかなと思ってしまいます。)
内容は主に晩年の大作(睡蓮の連作)についての記述で、オランジェリー美物館にいかに彼の作品が飾られるようになったか、ということが分かります。今では立派な観光名所なんでしょうが、オランジェリー美術館(モネの絵が飾れる場所が中々無くて、植物園を改造したもの)が設立当初、人気がなかったという事実なども結構興味深いですね。
彼の絵は「理性的な描写」の多い西洋の絵画と比べると、もっと思想的で感情的でもあるのかと思いますね。思想的なキュビズムと比べると、モネの絵は「快感」ともいうべき感情を優先させているともいえるんでしょうね。見ていて「楽しい」わけですね。そこが人気なんでしょう。
1840年生まれのモネは、19世紀の人間なんだと思います。20世紀に入ってより「知性的」あるいは「理性的」になった画家達と比較すると、彼の絵画は自然との調和があるように思えます。そこが現代に生きる我々にとっても面白いところでしょうか。
オランジェリーに飾られる大作たちは第1次世界大戦や、モネ自身の白内障などの苦悩を経て、送り出された名作だということがよく分かった読み物でした。
この本を読む少し前に1930年のアメリカ映画、「西部戦線異状なし」を観ました。
これがよくできた映画で、当時としてはかなり「リアリズム」に徹している作品だと思いました。原作はドイツの小説(自分は未読)で、戦場のリアルさを映像化することで、立派な反戦映画になっていると思います。映画評論家の双葉十三郎氏も絶賛していますね。
「再度前線に戻った青年は、塹壕の前の蝶をつかまえようと身を乗り出した瞬間、敵弾に倒れる。この日の戦況報告は<西部戦線異状なし>であった。このラストショットを見たとき、この感動は永遠に忘れないと思った。戦争の悲劇を反戦的な言葉などなしに、人間の客観的描写と見事な技巧で描き出した本作は、戦争映画における文字通りのマイルストン(里程標)となった(監督の名前が、リュウイス・マイルストン)。」(外国映画ぼくの500本、双葉十三郎、文春新書)
1930年(当然第2次世界大戦はまだ始まっていない)の映画だというのに、観ていると「プライベート・ライアン」や「ハクソー・リッジ」なんかを思い出しました。確かにこれは戦争映画の基礎となるような作品なんでしょうね。
今の時代に観ると、変わった演技に見えるところもありますが、第2次世界大戦のリアルな映画は多い中、第1次世界大戦を描いたものとしても貴重なのかなと思いました。
先日「ナショナル・ジオグラフィック・チャンネル」でアフガニスタンでテロリストと戦う兵士達のリアルな映像を流していました。部隊にカメラマンがついて録画していくものです。
それを観ていると、まるで戦争の「映画」のようなんですね。残酷なシーンもあります。住民が死に、兵隊の仲間も死にます。モザイクはかけられますが死体も映されます。
こういうのを観ていると、逆に、映画というものも相当に「真実」に近い映像を作り出しているのだと思いました。「西部戦線異状なし」の塹壕戦の様子なんかもそう思って観ると、かなり違います。
モネの著作の中では、多くのページがこの戦争のことに割かれています。
出兵する彼の家族、そして友人で政治家のジョルジュ・クレマンソー(1841-1929)の活躍など、映画を観てから本を読んだのでかなり印象的でした。
(↑フランスの首相にもなった、政治家ジョルジョ・クレマンソー。モネの理解者で、オランジェリー美術館の設立に貢献した人物です。第一次世界大戦中のフランスの首相でもあります。)
絵画も戦争も全て人間の営みなんですね。人間が「自ら作り出しているもの」なんですね。それを痛感します。だとすれば我々の未来はやはり自分達の力で、作り出して行くしかないのでしょうね。







