ルービンシュタインによるピアノ・コンチェルト集(1952-1975)。
20世紀を代表するピアノの巨匠、アルトゥール・ルービンシュタイン(1887-1982)によるピアノ・コンチェルト集です。ベートーヴェン、ブラームス、ショパン、グリーグ、シューマン、チャイコフスキー、ラフマニノフなどの有名なコンチェルトがこのボックス1つに収められていて、中々贅沢です。
共演する指揮者は色々で、ヨーゼフ・クリップスから、オーマンディ、ラインスドルフ、ジュリーニ、バレンボイムなど、こちらを聴く楽しみもありますね。
録音も悪くなく、音色は、演奏のせいもあるんだと思いますが、味わいが濃く、曲によっては濃厚すぎるきらいもあります。
ブラームスの1番のコンチェルトなど、指揮者のラインスドルフ共々、楽器の音色を生かして濃厚、ルービンシュタインのたっぷりしたピアノと共に、十分な仕上がり、といって良いと思います。しかし、濃厚すぎる分、自分はこの1曲でお腹が一杯になりました。並録のグリーグまで聴き通せませんでした。
また、グリーグのコンチェルトの演奏自体も、ルービンシュタインは素晴らしいと思います。指揮者のウォーレンシュタインが少し雑なので残念ですね。
チャイコフスキーのラインスドルフは派手にやりすぎな気がします。ただ、ルービンシュタインはどの曲の演奏でも安定していて、魅力的です。
ベートーヴェンやラフマニノフも素晴らしい演奏だと思います。現代の演奏家のものと比べると時代を感じさせるものはありますが、演奏の豊かさは素晴らしく、ルービンシュタインの風格は格別です。聴きごたえのあるものばかりだと思います。
演奏のことはともかく、自分はグリーグとかチャイコフスキーのピアノ・コンチェルトが好きです。両作品とも北の国の作曲家による作品なんですが、チャイコフスキーの曲は、北国の冷たさに、煌めくような華やかさをまとわせて、華美で豪華な作品にしています。
それに比べると、ノルウェイのグリーグにはチャイコフスキーのような豪華さはありませんが、北欧に期待するような爽やかさが溢れていて、森林浴に浴するような美しさがあります。
評論家の吉田秀和氏が、グリーグのピアノ・コンチェルトはシューマンのそれの2番煎じといったことがありますが、ここでは、曲の構造ばかり見ていては、芸術の十分な評論にはならないと思います。曲の構造の論評が必要な場合も当然ありますけども。
ここにあるのは北欧の作曲家にしか書けない抒情性であって、それを聴き取ることがこうした作品を評価するには必要な素養だと思います。
そしてそこにある異国情緒を楽しめることがまた、一般聴衆の喜びであるとも、自分は考えるわけです。



