公開されたばかりの「ジェイソン・ボーン」を観てきました。アイデンティティー、スプレマシー、ウルティメイタムに続く続編となります。映像は、我々に身近な感じを匂わせる、報道を思わせるようなカメラワークとナチュラルなズームで撮られています。それは事件が目の前で実際に起こっているような真実味を与え、この事件を記録した報道番組のようにも思わせることに成功しています。カーチェイスなどの激しいアクションシーンなど、相当に綿密な計画を立てないと、あのような迫力は出ないと思えました。そしてこのシリーズの定番の繰り返し挿入されるフラッシュバックはジェイソン・ボーンの過去を描きながらも、単に過去の表現に終わらず、強い説得力で現代の表現となっているようです。
物語自体は割と定番なのかもしれませんが、近代的にブラッシュアップされた映画作りが観客に強い満足感を与えると思います。面白かったです。
1950年公開のアメリカ合衆国の映画「ジャンヌ・ダーク」も観ました。主演はイングリッド・バーグマン。
これは、フランス建国の母ともいうべき、ジャンヌ・ダルクの生涯を描いた映画です。英国との百年戦争の最中、神の啓示を受けて現れたオルレアンの少女、ジャンヌ・ダルク。彼女はフランス軍を率いて、フランス国王の戴冠を実現させますが、宗教裁判の末、火刑にされてしまうまでを描きます。
この映画の主演の、イングリッド・バーグマンといえば映画「カサブランカ」が有名です。確かに名画なのかもしれませんが、個人的には中々すんなりと入り込めません。どうもクラシックな洋画を見ていて思うのは、登場する俳優たちが古いなあ、ということ。「古い」、ということが「悪い」というのではなく、自分はどうも彼らの表情やしぐさを見ていると、自分の親の世代を思い出してしまうからでしょうか。日本でいうと「昭和世代」ともいうべき雰囲気です。昔の日本の俳優たちもこういった外国の俳優たちの身なりなどをまねしたのでしょう。
カサブランカに出てくるハンフリー・ボガードなどハードボイルドスターなどといわれますが、今見ると場末の酒場にいる、女たらしの昭和の近所のおじさん、という感じです。マット・デイモンともなるとさすがに世間離れした感じにもなりますが。
イングリッド・バーグマンは綺麗です。それでもなお、時折何だか母親のような表情をする、というか・・・。現代人の我々から見ると綺麗な田舎のお姉さん、という感じで、銀幕の大スターという印象はしません。こういうのは当時を実際に体験した人しか中々分からないのでしょう。
映像も定点で引きで撮られる場合が多く、大人しいです。俳優たちの演技も今から見るとわざとらしく、いかにも演劇風です。こうした点は昨日見てきた「ジェイソン・ボーン」と比べると大変な差で、現代の映画のリアルさや、人物の描き方の緻密さはすごいです。
しかし反面、彼等には現代の我々にはない純朴さがあり、誠実さがあるように思えます。観終わった後は「面白い」とか「すごい」というよりは「良かったなあ」という感慨が浮かびます。脚本にしても、描き手自身がキリスト教を真面目に受け止めているようで、現代のようなひねくれた表現がないので、魅力でした。
ということで「カサブランカ」があんまり楽しめなかった自分としてはこの「ジャンヌ・ダーク」はかなり心に残りました。




