最近聴いた音楽2 |  ヒマジンノ国

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プッチーニ、歌劇「ラ・ボエーム」。


アンナ・ネトレプコ、ローランド・ヴィラゾン、ニコール・キャベル、マリウス・キーチェン、ボアズ・ダニエル、ヴィタリ・コワリョフ。ゲルトナープラッツ国立劇場児童合唱団、バイエルン放送交響楽団&合唱団(合唱指揮、ペーター・ダイクストラ)指揮、ベルトランド・ド・ビリー。録音2007年4月、ミュンヘン(ライヴ) 。

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今日は最近聴いた録音の中から、繰り返し聴いているものについて書きます。


ロシア出身のソプラノ、アンナ・ネトレプコがミミを歌う、プッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」。最近1番繰り返して聴いたのがこれです。


まずは音質の素晴らしさを上げます。繊細で、透き通るような響き。全く手垢のつかない、清潔な音響の世界。古い録音を聴くことが多い自分にとって、近代的な響きにリフレッシュされたボエームで、その美しさに参りました。


音楽全体のイントネーションもまた、目立ちすぎない程度に近代化されています。初め、指揮者ベルトラント・ビリーのきつめのアタックに戸惑ったりもしましたが、すぐに慣れます。第1幕については昔から聴いているセラフィン盤(デッカ、1959)が中々忘れられませんで、今回も第1幕についてはそれほど感動はしませんでした。


特別感動したのは第3幕からラストまでで、繊細な美しさの中で歌う、ネトレプコとローランド・ヴィラゾンは素晴らしいです。正直、買ったときはそんなに期待しなかった録音なんですが、ネトレプコがうまいので驚いています。


声質の美しさは、オーケストラの響きとよくマッチしして、感情表現も豊かです。オーケストラの響きが冷静で、しっかりしている分、ネトレプコとヴィラゾンの感情を流出させた表現が目立ちました。しかし色彩感はオーケストラと良く合っており、近代化されたボエームを聴くことができました。




薄く、遠浅の、透明なアクアマリンの海の中で、揺れる陽光にさらされるような「ラ・ボエーム」です。





マーラー、交響曲全集。


指揮、ピエール・ブレーズ。ウィーン・フィル(2番「復活」・3・5・6番「悲劇的」・「大地の歌」)、クリーブランド管弦楽団(4・7番「夜の歌」・10番アダージョ)、シカゴ交響楽団(1番「巨人」・9番)、シュターツカペレ・ベルリン(8番「千人の交響曲」)。その他、歌曲など。1994年から2011年にかけての録音。

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ブーレーズによるマーラーの録音は、以前から何種類かはバラで持っていました。単品で聴いて、それほど感動してこなかったんですが、今回まとめて聴いてみて色んなことに気付かされ、素晴らしい全集だという認識に達しましたので、ブログに記録しておきます。




既に処分したものもあるんですが、今手元にあるバラのものは1番と3番のみです。表現は緻密で、ややスケールの小ささが気になる録音だとずっと思ってました。悪くはないけど、格別全部聴く必要もないかという印象でした。


しかし今回全曲聴いてみて、その透徹した響きの美しさを改めて実感したところです。こちらもまた、まずは録音の素晴らしさを上げましょう。各楽器の聴こえる解像度の高さは異常で、DVD映像がブルーレイ映像に変わったような透徹感がありました。本当にに素晴らしいです。


鈍い僕にとって、このことは単品で聴きているときには分からなかったことです。とにかくどの録音を聴いてみても、黄金のような管弦楽の響きが異常なクリアさで聴こえてきます。また、ブーレーズの指揮によってオーケストラの音は良く揃い、メロディーもはっきりして聴こえてきます。


グスタフ・クリムトの絵画など、19世紀末のウィーンの芸術に共通する「装飾的な効果」がマーラーの音楽にはありますが、その効果がここでは目に見えるように聴こえてくるのです。


そしてブーレーズにおいては現代的でクールながらも、決して音楽に内在する感情のツボは外すことなく、表現していきます。


マーラーの音楽において、各種楽器の音色や、その演奏効果は彼の音楽を聴く楽しみの1つですが、それを十二分に味わうことができました。また各楽器が抜けきった時の空気のクリアな感触は、部屋の空気感を一変させもします。マーラーの音楽が現代によみがえってきたようで、感激しました。


プーレーズにしてみるとマーラーの音楽は現代音楽に繋がる、古典なのでしょう。彼は、表現主義の強いマーラーの音楽に対する理解が深いかと思われます。音質をクリアにすることによって、マーラー特有の装飾的な効果を浮き彫りにさせ、また各楽器の色合いも発揮させる。そして、透明感よりも音を圧縮した音質によって、退廃的なまでの黄金色の音色を明確に表出させていく・・・。まさに表現主義を狙った録音のように思えました。ここでは現代的ながら、決して伝統的な雰囲気も崩すことなく、緻密なマーラーの再現に成功していると思います。


昔はCD1枚の値段も高く、その1枚を手に入れると、繰り返し聴いたものです。しかし近年はCDの値段が大幅に値下がりし、この全集など、安いところで買えば、かつてのCD2、3枚程度の値段で手に入れられます。


そういう意味では最近音楽を聴き始めた人は幸せで、色んな録音を聴くことができます。僕も今回、全集で聴いてみて新たな発見が多く、音楽は聴き方によっても色んな風に聴こえるのだと考えさせられました。