オリヴィエ・メシアン |  ヒマジンノ国

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長谷磨憲くんち


フランスの現代作曲家、オリヴィエ・メシアン(1908-1992)の全集です。CD32枚組。


コンテンポラリーというのは難解です。僕もあんまり詳しくありません。かつて現代音楽のコンサートに通っていた坂本龍一が、コンサート会場に来る人物が少数でしかもいつも同じ顔ぶれなので、その顔を覚えてしまう、という話をしていました。


こういった音楽を好んで聴くというのは、本当に音楽に詳しい人達だけなんでしょう。


とにかく・・・難解です。簡単に聴けるものがあるかもしれないと思い、鳥の鳴き声を参考にしたという「鳥のカタログ」を聴いてみます。しかし・・・このややこしい音楽の、どこが鳥の声なんでしょうかね。


何が難しいかといえば、やはり、その不協和音の多さじゃないでしょうか。こうした傾向は新ウィーン楽派くらいから始まったんでしょうけど・・・。何ともはや・・・。


何でわざと和音を避けるんでしょうか・・・。思想的に過ぎる気がします。だから現代音楽を聴いていると、本当に調性音楽は古い、といいきれるかは疑問だと思えてきます。


音楽の持つ感覚的快感を欠落させて残ったのは、人間の持つ知性的な側面だけのようです。「鳥のカタログ」を聴いていても、とにかくやたらと「知的」な印象だけは伝わってきます。細切れの音の中に色んなことを、まさに、「こまごまと」考えている感じが伝わってきます。


確かに調性音楽ばかり聴いていると、型ばかりの音楽が増え、いつも同じものを聴かされているようなマンネリ感に悩まされます。そういうマンネリ感があるとき、この手の音楽を聴くと、次々と破壊されていく調和の精神を味わう、「すがすがしさ」みたいのは感じられます。



長谷磨憲くんち


メシアンの弟子の一人であるピエール・ブーレーズなんかも異常に頭の良い人物なんでしょうが、作る音楽は難解そのもの。手元には彼の作曲した「レポン」がありますが、めったに聴こうとは思いません。インストゥルメンタルとコンピューターを組み合わせた音楽らしいのですが、快感はゼロ。まるでサスペンスドラマの不気味な殺人現場にいたる恐怖を、長々を聴かされているような気になります。


時折、坂本龍一がテレビ番組などで即興のピアノ演奏をすることがあります。すると彼は調性と無調性の音楽を折り合わせて、現代風のワサビが聴いた魅力的な演奏をします。ああいうのは「カッコいいな」と思えるんですけどね。


坂本龍一もメシアンもドビュッシーに影響を受けた作曲家なんですが、その方向性は大分違うようです。しかし坂本龍一の作曲した「ラストエンペラー」の音楽は、映画も面白かったですが、その音楽も素晴らしかったのが印象的でした。


さて、一応、このボックスにあるメシアンの曲でも有名な「トゥーランガリーラ交響曲」なんかは、調性音楽が出てくる場面なんかがあって聴きやすく、メシアン入門には打ってつけでしょう。しかし、聴きやすい、といっても簡単ではありませんが・・・。


アメリカの音楽批評家、ハロルド・ショーンバーグが著書の中で指揮者エルネスト・アンセルメの言葉を引用して次のようにいっています。


「指揮者エルネスト・アンセルメが自著『人間的意識内の音楽の基礎』(1961年)のなかでひき出した結論――「新しい音楽が、正常な思考過程と聴覚的経験にとって、余りに異質であるのは、間違った美学に基づいているからではないか」というのは、多分、正鵠を射ているだろう。」


本当にね・・・。これには僕も同じ意見です。


現代、クラシック音楽が学者達の研究の慰み物になってしまい、他方、大衆的な音楽がポピュラー・ミュージックによってその快感的側面のみを追求されるようになってしまいました。現代では芸術性と大衆性の融合は中々難しいようです。



<おまけ>



長谷磨憲くんち


映画「パイレーツ・オブ・カリビアン、ワールド・エンド」のサウンド・トラック。


タワー・レコードのワゴンセールで280円でしたので買ってきました。スコアリングは映画音楽の大家、ハンス・ジマー。


これが中々面白いんです。単純で、大衆迎合的なんていう批判は出やすいでしょうけど、やはり僕は音楽の中に快感は求めたいと思います。とにかく簡単な交響詩だと思えばね。壮大で迫力があります。しかも現代風の響きは、現代のクラシック作曲家の音楽が認められない中、新しいものを求めていた渇きをいやしてくれます。


後半にパイレーツ・オブ・カリブアンの有名なテーマが出てくると、心が躍るんですね。楽しいね。


おそらくすぐ飽きるんでしょうけど、僕は現代作曲家みたいに禁欲的ではりませんから。おかげさまで、鑑賞しているものに夢中になれるのは、大切なことだと、改めて思い至った次第です。