今年はワーグナー、ヴェルディー・イヤーということで色んな企画や催しがあるそうです。しかし生誕200年ですか・・・、時代を超える音楽というのはすごいものです。未だに夢中になって聴く人がいるのですから・・・。
そのワーグナー自身がバイロイトで上演を認めた作品は「さまよえるオランダ人」以降の作品ということになっています。しかし、このバイロイト上演作品で僕はまだ「タンホイザー」のみ、全く聴いてません。
今回その「タンホイザー」のCDを探そうと思い、どの演奏がよさそうか調べていました。しかしどうもあんまり良さそうなものがありません。それで随分迷ってしまいました。そのうち、たしかサヴァリッシュによるバイロイトの実況録音がフィリップスから出ていたのを思い出して・・・結局それにしようと。
しかしながらそれも今は廃盤ということで・・・一体どうなってるのやら・・・。レコード会社は使命というものは感じないんでしょうか・・・?全く情けないことです。ただ、それでもめげずにあれこれと探しているうちに、バイロイトの名演を集めたボックスが発売されていたことを知り、ちょっとびっくりしました。探していたサヴァリッシュの「タンホイザー」を含む33枚組みは、ベームの「トリスタン」と「リング」を除けば、他の録音は廃盤のレアなものばかりで、これはどうしても欲しいということになりました。
僕はベームの「リング」も聴いてませんので、この中で以前の僕の自前のものと重複するのはそのベームの「トリスタン」だけです。しかし、残念ながらこの素晴らしい企画のボックスも既に廃盤でして・・・手に入れるのに結構苦労しました。
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<リングの盤評・・・再び>
以前のブログでカイルベルトのステレオ盤を買ったことを報告しました。いわゆる決定版の名をほしいままにしているショルティ盤が嫌いなことも書きました.。そしておそらくもう、「リング」の全曲盤はもう買わないだろうということも・・・。しかし結局、約束を破り新たな全曲盤を含む、ワーグナーの録音集を買ってしまいました。
こうなるともう、どうしようもないです・・・。
今回聴くのはベーム盤です。しかし・・・正直こんなに早くベームの録音を聴くことになるとは思ってませんでしたが・・・。
その前に以前書かなかったカイルベルト盤の感想を書いておきます。これは1955年のバイロイト実況録音です。
この盤の魅力は何より、素晴らしい歌手がそろっていることでしょう。何しろハンス・ホッターが最初から最後までヴォータンを歌いきるのですから。ショルティ盤でもホッターが歌いますが、「ラインの黄金」のみジョージ・ロンドンが歌っています。それでも歌手の豪華さではショルティ盤とカイルベルト盤は互角といったところでしょうか。
さてもう一つ、ポイントになるのはやはり、カイルベルトの指揮でしょう。これは微妙なところです。カイルベルトという指揮者には凄みというものを感じませんから・・・。どうしても他の盤に比べて、大人しい指揮ぶりで迫力に欠く恨みがあります。劇の進行自体もそのカイルベルトの指揮の影響を受けて、少し吹っ切れなさが付きまといます。ワーグナーのオペラには多少雑になろうとも、吹っ切れた迫力が欲しいものです。
しかしながら・・・です。・・・大変魅力的なのはそのカイルベルトの作り出す音が、正にワーグナーの管弦楽で必要とされるだろう、銀色に輝く渋い音を作り出していることです。「ラインの黄金」で、かくれかぶとの魔法のライトモティーフが鳴らされるとき、その味わいは確かにゲルマン人流の、金属質な柔らかい味わいで燻し銀の魔術的な音がちゃんとするのです。こういう音は他には大家のクナッパーツブッシュの演奏でしか聴いたことがありません。
そういう意味では、カイルベルトの指揮は一長一短ですが、幽玄なワーグナーの世界観を出している、とうことに関しては出色でしょう。ただしスケールは小さめです。
現在ベームのリングは「ラインの黄金」しか聴いてません。しかしこれは劇的な躍動感に満ちて、カイルベルトや僕の気に入っているカラヤン盤の憂さを晴らしてくれます。引き締まった音響、透明感のある音質で、ショルティほど神経質な指揮ぶりでもなく、僕は好きです。
明らかにカイルベルトの演奏に比べると、劇そのものがむき出しにされ、演奏と歌手の演技に強い生命力を感じさせます。そのせいでやや雑味がなくなり、音の響きにワーグナー特有の幽玄さが損なわれてしまってはいるのがマイナスでしょう。やはりこちらも一長一短といったところでしょうか・・・。
ただ僕はカイルベルト盤と比べるなら、ベームの演奏に軍配をあげたいと思います。おそらく今後の愛聴盤になりそうな予感です。
ワーグナー特有の幽玄さを出しつつ、劇に動きのある演奏は僕の聴いたCDではやはり・・・51年録音の「神々の黄昏」で聴いたクナッパーツブッシュの指揮でしか体験したことがありません。
結局、名曲の理想的な演奏とは極めて難しい、ということでしょう。
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ということで今回書いたリングの演奏は全てバイロイト音楽祭のライブ録音ばかりです。・・・しかし部屋にいながらにしてこうした演奏を聴けるとは・・・本当に贅沢な時代になったものです。
またいずれ機会があればワーグナーに関するブログを書いていきたいと思っています。

