<ファントム・メナス>
1999年に公開された作品で、スター・ウォーズ・シリーズの実質的な公開順では4作目になる。
しかしその内容は前3部作の前進となる新たな3部作の第1作目となるもので、英雄ルーク・スカイウォーカーの父で後にダースベイダーとなる、アナキン・スカイウォーカーの幼少期を描く。
本来スター・ウォーズ・シリーズは3部作がさらに3部連なるという構成で考えられた作品である。いうなれば現在エピソード6までしかないものが本来エピソード9まで予定されていたものであった。
そういう意味ではエピソード1のファントム・メナスはこの巨大なサーガの発端部に当たる。しかしこれ以前にもこの銀河系の歴史は存在し、古代共和国とジェダイ・オーダーの台頭、シス大戦という歴史がある。
そしてジョージ・ルーカスが年齢を理由に撮影を諦めた最後の3部作ではハン・ソロとレイアの子供達なども参加するニュー・ジェダイ・オーダーの活躍が描かれるはずであった。
ルーク・スカイウォーカーはかつて帝国軍の暗殺者でありシスであるマラ・ジェイドと結婚し、新しいジェダイの教師となってゆく。
そこへユージャン・ヴォングが別の銀河系から新たな脅威として現れることになっていた。
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そしてこの「ファントム・メナス」で描かれるのはアナキン・スカイウォーカーの子供時代と共に、後にクローン大戦の原因となる暗黒卿シスのダース・シディアスの存在である。
彼はクローン大戦後の銀河帝国に君臨するこの物語の最大の悪役である。
「ファントム・メナス」の物語は惑星ナブーとトレード・フェデレーションの小競り合いを仲介しようとするジェダイ・ナイト、クワイ・ガンとオビ・ワンの活躍から描かれる。
クワイ・ガンとオビ・ワンはその仲介に失敗し、一旦砂の惑星タトゥウィーンに逃れるが、そこで幼いアナキン・スカイウォーカーと運命的な出会いをするのだ。
そこでクワイ・ガンはフォース研究に欠かせない、微小のフォース・キャリアー、「ミディ・クロリアン」がこのアナキンに異常に多いことに驚き、彼が予言された「選ばれし者」ではないかと考えるようになる。
やがて惑星コルサントのジェダイ・カウンシルに戻った二人のジェダイは体制を立て直すと、アナキンと共にナブーへと戻り、原住民グンガン達と協力しこの星を救うのである。
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ジョージ・ルーカスは本3部作を前3部作とは異なった視点で描きたいと考えていた。前作のように登場するものの大きさやを強調したり展開の単純さを描こうするのではなく、本作からは展開を速くし、多くの物語を1本の映画に盛り込みたいと考えたという。
そのため「ファントム・メナス」は前3部作以上に複雑な展開となり、物語の回転が速くならざるを得ない。しかし、そうした展開にするには映像の構図を前作とは変える必要があったのだが、ルーカスは本作でそのことに気付くことなく前3部作のようにやや肥大した構図で描いた。
そのため前3部作を知るファンには冒頭懐かしく感じられた映像も作品が進むにつれて前3部作との展開の差を感じる結果になったようだ。
映画は見慣れないものでもスケール大きく撮ればそれなりの真実味を得るものだが、今回は展開を詰め込みすぎたため、新たなキャラクターに映像を割く時間がなく、新しいキャラクター達はややおざなりに流され気味になった。
僕にはここにちょっとしたミスがジョージ・ルーカスにあったと思う。
それは物語そのもについてではなく、作品の映像の撮り方に問題があるという意味で。
初めからそうした展開を意図して物語そのもを主題にして撮れば新たなキャラクターをいちいちフィーチャーせず物語の中の当たり前の存在として流していけるが、今回は前3部作に近い手法でとってあるため、そう簡単にはいかなかった。
そのため物語の展開が滑らかでなく、ややぎこちないものになったといえる。
そういう意味で、「ファントム・メナス」は前3部作と比べてキャラクターに真実味がなく、やや子供っぽい印象を与え、どこか漫画っぽいと思えるシーンが増えたように思う。
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<クローンの攻撃>
2002年に公開されたスター・ウォーズの2番めのエピソード、「クローンの攻撃」。
アナキン・スカイウォーカーの青年期と同時にクローン大戦にいたる共和国の堕落の経緯が描かれる。
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前作で幼かったアナキン・スカイウォーカーはジェダイ・ナイトとして成長し、魅力的な青年になっていた。
しかし「ファントム・メナス」のなかでジェダイ・マスター、ヨーダが心配したようにこの青年はフォースが強いものの、人間としては弱く、失う恐怖を克服できないため自分自身のマザー・コンプレックスも克服できずにいた。
そんなアナキンがかつて自分と協力して戦った、惑星ナブーの美しい共和国元老院議員、パドメ・アミダラと再び出会うと、彼が彼女に興味を持つのは時間の問題であった。
ジェダイで恋愛は禁止されていたのにもかかわらず・・・2人は恋に落ちる。それはまたこの若きジェダイの堕落の始まりといえる悲しい恋ともいえるものであった。
・・・そして同時に共和国も分裂の危機に脅かされていた。
かつては貴族の後継者であり、ジェダイとしてヨーダに訓練を受け、サーム・セルリアンのパダワンでもあったドゥークー伯爵が、共和国に敵意を持つ者たちを分離主義者としてまとめあげ、力を蓄えていたのである。
やがてマスター・サイフォ・ディアスなるものがカミーノアンに受注したクローン・アーミーを巻き込んで、共和国は分離主義者達とのクローン・ウォーズに突入していく。
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この「クローンの攻撃」と次の作品「シスの復讐」は構図を引き、物語の全体の追いやすくしたことで展開が滑らかになり、古い時代の英雄譚を聞かされているような魅力的な物語になった。
冒頭のコルサントの壮大な大都市の映像に始まるこの作品はおそらく監督が本来思い描いていたであろう、スター・ウォーズの世界だと思う。
本編はさらに美しい惑星カミーノでのクローン達の映像などもある。
物語はまず、ジャンゴ・フェットとオビ・ワンとの戦いを経て、さらに惑星ジオノーシスでの闘技場で共和国のジェダイ、分離主義者達のドロイド・アーミーが入り乱れての激しい抗争が始まってゆく。
そして遂に救援に現れた共和国のクローン・アーミーによってクローン大戦の発端が開かれていくのを見るのは監督のいわんとしていることがひしひしと感じられる名シーンだ。
確かにこの「クローンの攻撃」でも結局子供っぽいキャラクター達は前作ファントム・メナスそのままに残ったが、構図を引く事で逆に物語に真実味が出たのである。
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<シスの復讐>
2005年公開の新3部作の総決算というだけでなく、この「シスの復讐」は実写のスター・ウォーズ・シリーズ最後の作品となり、壮大なこのサガの総決算ともいうべき作品である。
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惑星コルサント上空であい対する、共和国軍と分離主義者達・・・。銀河中を巻き込んだクローン・ウォーズは佳境を迎えようとしていた。
しかし多くの者が気付いてはいなかったが、実はクローン・ウォーズ自体が仕組まれた罠であった。
恐るべき暗黒卿シディアスは共和国に対して表向き元老院議長パルパティーンとして、分離主義者達に対してはその暗黒卿の恐怖でもって、この両者を戦争にけしかけ、銀河中に不和を撒き散らすことに既に成功していたのだ。
そしてその結果がこのクローン・ウォーズそのものであったのである。
またジェダイ・ナイト達にも遂に恐るべき破滅の時が近付いてくる。
戦争のせいでやや分裂気味の様相をみせていたジェダイ・オーダーに彼らの最大の敵であるシスの暗黒卿シディアスは秘密裡に隠していた、オーダー66を発動、これによってジェダイ・オーダーに決定的な最後の一撃を加える。
こうして伝説にあるように2万5千年も続いたジェダイ・オーダーは一夜にして全滅、かつてのシス全盛の時代同様、新たな暗黒時代が始まろうとしていた。
・・・そんな中、すでにいくつものジェダイ・オーダーの禁忌を破っていたアナキン・スカイウォーカーはその心の隙ををパルパティーンに狙われ、フォースのダーク・サイドへと落ちてゆく。
憎しみを募らせた彼はかつての師、オビ・ワン・ケノービとの激しい戦いの末、全身にやけどを負い、同時に手足をも失ってしまう。
そして遂に、アナキン・スカイウォーカーは自分の人生をフォースのダーク・サイドへと売り渡し、機械化した暗黒卿のダース・ベイダーへと変貌してゆくのである。
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この作品でルーカスはさらに物語を複雑にして見せた。
構図はより引きが多くなり、漫画的印象がさらに強まったが物語はより滑らかで説得力のあるものとなった。
オビ・ワンの戦闘機が単独でグリーバス将軍を追って惑星ウータパウに辿り付くシーンはジョン・ウィリアムズの美しい音楽と相まって優雅ですらあり、忘れがたいとさえいえる。
その他にも惑星オルデラーンの美しい景色、あるいは次作「新たなる希望」を思い出させるベイル・オーガナの宇宙船の登場など、美術的にも充実しており、忘れがたい場面が多い。
特筆すべきはこの作品ではフォースについて深い洞察が語られることだろう。
ダース・シディアス、アナキン・スカイウォーカー、メイス・ウィンドウ、あるいは、ヨーダや、オビ・ワン・ケノービなどによってフォースという概念を借りて、一般社会でも通用する正義と悪の境界線が語られる。
そのためフォースについては説得力のある場面が多く、特にラストのオビ・ワンとアナキンの戦いの結末は両者の激しい感情がフォースの意義の何たるかを描いている。
そして死にいくパドメ、暗黒面に落ちるアナキンを尻目に、惑星タトゥウィーンでアナキンの義兄、オーウェン夫婦がルークを抱きかかえている。
彼らが眺めるのは夕日に輝く二つの太陽だ。
そしてジョン・ウィリアムズがあの運命のテーマを奏でると、我々は「新たなる希望」で同じようにその太陽を眺める成長したルークを思い出す。
・・・このシーンはまさにこの作品の重要な映像によるライトモティーフの一つであり、スター・ウォーズ・シリーズ中、最も感動的なシーンの一つといえるだろう。












