ザ・グレート |  ヒマジンノ国

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長谷磨憲くんち-wand


シューベルト交響曲9(8)番「ザ・グレート」。ギュンター・ヴァント指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。


「ザ・グレート」はシューベルトによる最後の交響曲で、その長大さから人々に「グレート」と呼ばれるようになった名曲。

近年、幻とされてきた「グムンデン・ガシュタイン交響曲」と同一という事が分かり、シューベルトに関する謎の一つにピリオドが打たれた。

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ヴァントが演奏したミュンヘンフィルのBOXセットを買ったのだが、これはその中に含まれていた一枚。


このセットにはこの巨匠が得意としたブルックナーの交響曲が5曲含まれており、そちらがこのセットの目玉だと思う。


しかし彼はここに含まれているブルックナーの交響曲の内の4曲を、ほぼ同時期にベルリンフィルとも録音しており、それらを持っている僕にはヴァントの演奏として初めて聴くシューベルトの9(8)番が一番気に入った。


もともと僕はこのシューベルトの「グレート」は演奏時間が長い割りに似たようなメロディーが繰り返されるため、退屈な曲だと思っていた

しかし、僕は今回ヴァントの演奏を聴いて、初めてこの曲を聴いて以来持ち続けてきたその感想を、十数年ぶりに改めたることにした。

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演奏自体は全体に晩年のヴァントの静かな優しさと愛情を感じるもので、聴き終わった後、この曲の大らかで溌剌とした魅力を初めて実感する。


実際にヴァントは曲の意味を一本調子なリズムではなく、テンポに緩急をつけながら掘り起こしていく。

特に第二楽章のアンダンテは時に信じられないほどテンポを落とし、得意のブルックナーのアダージョを思わせるような演奏で、慰めと安心感を与えてくれのはヴァントならではと言えるだろう。

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この曲について少し書かせてもらえれば、この曲にはメロディアスで華やかな趣きがあり、交響曲として見ると特に彫りが深い訳でもないのだが、大らかで好感度の良い印象がある。


その中でも特に第一楽章の終結部が素晴らしいと思う。


ここではシューベルトの無垢で純粋な魂が、傷つく事も恐れずに堂々としており、人生の感激がなだれ落ちるような様子で謳いあげられる。

ここには素晴らしい感激があり、聴き手に涙をにじませる。


そしてまさにそのような感激の表現の裏には、シューベルトの人生の全ての苦しみを飲み込んでしまうような寛容さがあり、その寛容さこそこの曲が人を感動させる大きな要因なのだろう。

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今回あらためてシューベルトのグレートを聴いてみて思ったことは、演奏によって曲の感想も随分変わってしまうということだ。当たり前なことなのだろうけど、だから言ってそう体験できることでもない。


このシューベルトの「ザ・グレート」ではバーンスタインやワルター、フルトヴェングラー等の演奏も聴くが、この演奏が個人的には一番好きになったことを付け加えておきたい。