福は骨になって、私のところに戻った。
立てて置いてあるカラーボックスの、
福の寝床の１つ上の棚に、遺骨を置いた。
うちの雌猫には、それぞれのイメージの
マスキングテープがあって、
猫別のカルテファイルなんかに使ってる。
福にも、ある。
壺が真っ白で味気ないから、
くるくると薄桃色のテープを巻いたら
丁度、無くなった。
偶然だって判ってるけど
なんだか、見放されたような気がした。
見放されたんじゃない。
私が、突き放したんだ。
福が吐いたことを、ずっと考えていた。
午前中は、いつもと変りなく食べた。
夕方も・・・変わりなかったと思う。
夜は、嫌がった。
夜中も、嫌がった。
だったら、お腹に溜まっていたのは
夕方に食べた30ccと、
その後、無理矢理与えた2回の10cc、
合わせて50ccだろう。
福は、2回、吐いた。
もし、私が福の様子にちゃんと気付いて、
後半の20ccを与えなかったら？
吐くのは1回で済んだんじゃないだろうか。
1回だけなら、福の心臓は、
持ちこたえたんじゃないだろうか。
どうして、どうして気付かなかったんだろう。
福は、福は体を動かせない。
嫌だと思っても、抵抗したり逃げたりできない。
だから、私が注意して、
福の意思表示を見逃さないように
ちゃんと気を付けてれば、
もしかしたら、福はまだ、
ここに居てくれたんじゃないだろうか。
私は、動物取扱責任者で、
愛玩動物使用管理士で、
今まで何匹も見送ってきて
強制給餌も、何匹も、何回も、
介護で当たり前にしてきて、それを
なんで、福が、
ごめん、福、ごめん。
私が、私が食べさせたから。私のせいで。
福はあんなに生きようとしていたのに
福の命を私が潰してしまった。
吐く前、福は明らかに私が戻ってくるのを待っていた。
福、苦しかったの？
苦しくて、気持ち悪くて、
オカアチャンに助けて欲しくて
それで待ってたの？
ごめん、福、ごめん。
死んじゃったら、生き返らせることはできないの。
福を蘇生する技術も設備も、オカアチャン持ってない。
ごめんね、助けてやれなくてごめんね。ごめん。
毎晩、福のいなくなった部屋で、
ベッドに突っ伏して、福に謝って、
もういない福に謝りながら泣いた。