日本の建物は、住宅系、商業系を問わず、機密性能が高い。
しかし、それは諸刃の剣となる。
すなわち、機密性が高い分、密室状態が継続し、結果、室内には不快となる物質の空気中濃度が上昇する可能性が高まる。
むろん、その為に機械換気設備があるのだが、これは、不特定多数の方々も経験済みだと思うが、自然換気ほどの効果は期待できない。
分かりやすく言うと、例えば、漂う匂いなんかを完全に消去は出来なかろう。
実のところ、建築や内装の施工、竣工直後、あるいは、大勢の人が集まったりした後には最も顕著で、いわゆるシックハウスの原因となる有害物質が漂う事も少なくはない。
さて、元来日本の建物は、柱、梁で構成され、人に見られたくない部分を隠す、つまり壁を立てるという考え方が基本だった。
一方、欧米は逆である。
どっちにも長所と短所があるのだが、昨今の機密性の確保、つまり、どちらかというと欧米式の建物の構築法に対して、私はあまり賛同はしない。
なぜなら、日本だけでなく、中国も含め、アジアの諸国は比較的湿度が高く、その為、魔法瓶のような機密性の高い構造であると、内外の温度や湿度の違いが大きくなり、結果結露を発生させ、細菌、カビが繁殖し、最終的には、知らず知らずのうちに人体に悪影響を及ぼすからである。
そんなこんなで、本末転倒かもしれないが、最近の住宅の居室には、機械式強制換気設備の設置が義務付けられた。

となると、機密性は高くするのに(いいサッシを使ったりするのに)コストはかかるわ、さらに設備にコストはかかるわという事である。
むろん、世の中の趨勢は刻一刻と変化するので、その時勢の状況や変化をしっかりと理解し、私達建築に携わる者であれば、果たして現在の建物作りが正解なのかどうかなど、設計者各自がしっかりと自身に問答し、より良い建築生産を志す必要があるのだろう。
その上で、お客様に事情をしっかりと説明し、理解して頂くのが、望ましい。