日中友好を夢見て。 -18ページ目

日中友好を夢見て。

中国と日本と、上海と大阪と、中国ビジネス・中国生活奮闘記。

ようやくこのオフィス内装設計シリーズの冒頭でお話しました“見せどころ”について、具体的にお話しできる段階になってきました。

オフィスは人が事務等の作業をするのが主目的ですが、お客様が存在して初めて作業が始まります。
ですからお客様をお迎えする“エントランス”は重要な“見せどころ”の一つになります。




D案エントランスそこで、今回はまずエントランス部分のお話をします。

中廊下に面しては意図的に内部の人影を見せない事で、第三者は当該会社に対する神秘性をふくらませることが出来ます。
そのような考え方で、今回の案は間口いっぱいを使いエントランス空間を作りました。
そして、左の画像に示しますようにエントランス空間には“2段階のアイストップ”を設ける事で、来られるお客様にいかにも空間に広がりがあるかのように感じてもらう仕掛けにします。




仕掛け第一段階目つまり、一段階目
お客様はエントランス真正面から入ってこられます、真正面には間接照明をしこんだ屋号看板を設けます、会社の商標そのものは金属板、アクリル板などその会社のイメージに合う材料を使用する事、又、背景と商標の色合い、つまりコントラストが重要となります。




仕掛け第二段階目そして、第二段階目
お客様が右を向き、オフィス内部に向かわれる時、次の“アイストップ『飾り棚』”が目に入ります。
棚には会社のイメージ、あるいは取り扱う商材を陳列する等、お客様にとっては、直感的に会社のイメージを感じてもらえます。



このように何段階にも“仕掛け”を設けることで、お客様は次へ次へと空間に対する期待感を高めていき、良いビジネスの話が展開する可能性も高まるのではないかと思います。

昨日の続きですが、最終的にはD案を決定稿として設計を進めていきましたが、その理念についてお話したいと思います。


D案平面図左の間取り図をご覧下さい。

この案のポイントは、

①社長室、社員の作業空間を採光、通風など条件の良い窓側に配置する事。
コンセプトは、作業する人たちの作業環境は“平等”にする事。
むろん完全に平等にはなり得ませんが、あくまでも働く人には最良の環境で作業をしていただきたいのが主旨です。

②エントランスのそばに多目的空間、さらにその奥に会議室を配置します。
お客様の動線と社員の動線の混乱を避けます。
又、2段構えの応接空間は来られる方に空間の広がりを感じて頂けます。

③間口いっぱいのエントランスは、会社の格式を高める事が出来ます。



次回は、各空間についての詳細をお話します。

<
今回設計施工させていただいた案件が典型的な中廊下タイプのテナントでしたので、それを元にお話を続けたいと思います。
お客様のご要望は、社長室、会議室(お客様との打ち合わせ兼用)、社員事務空間、多目的空間(お客様との簡単な打ち合わせ、社員の休憩場所等の機能)、倉庫が必須でした。

それらの条件をふまえ、弊社で作成したゾーニング案の一部についてお話いたします。


A案A案
この案は、設計者が最も考えつきそうな案の一つだと思います。
社長室、会議室を採光、通風など条件の良い窓側に配置し、社員の作業空間は事務所の中央部、エントランスのそばに多目的空間を配置します。
この案の問題は、社員の作業空間の採光、通風性能の低下、結果として閉鎖的な空間になりやすい事、又、多目的空間は廊下から丸見えで、格式が低い空間になる可能性がある事です。



B案B案
社長室、多目的空間を採光、通風など条件の良い窓側に配置し、社員の空間は事務所の中央部、エントランスのそばに会議室を配置します。
この案の問題は、社員は条件の良い多目的空間でくつろげるのですが、お客様の動線を奥まで引っ張るのが困難な事、又、会議室が廊下から丸見えとなる事、社員の作業空間については、A案同様、あまり望ましくはない案です。



C案C案
社長室、会議室を採光、通風など条件の良い窓側に配置し、エントランスの奥に多目的空間、社員の作業空間はA、B案よりもさらに内部、つまり中廊下に面する部分に配置します。
この案の場合、多目的空間と会議室が近接し、お客様を段階的にご案内し易くなりますが、問題は社員の作業空間が廊下に面するので落ち着かず、大事な作業が散漫になる可能性がある事です。



D案D案
社長室、社員の作業空間を採光、通風など条件の良い窓側に配置し、エントランスのそばに多目的空間、さらにその奥に会議室を配置します。
この案の場合、社長も社員も採光、通風条件が良い空間で作業できます。
又、C案同様、多目的空間と会議室が近接し、お客様を段階的にご案内し易くなります。
廊下に面する部分は間口いっぱいエントランスとする事で、会社の格式を高める事が出来ます。



最終的にはD案を決定稿として設計を進めていきました。
次回から内部の間取りについての詳細をお話いたします。
中廊下タイプのテナントの特徴は、採光と通気性の良い窓側部分と出入り口周辺の環境が大きく違う事です。
とりわけ出入り口周辺の通風性の悪さ、対面の事務所との関係性など、いろいろと工夫して設計する必要がある事を前回お話しましたが、それはひとえに“縦横比”に依存します。

“縦横比”とは、“間口に対する奥行きの比率”の事です。

“縦横比”は非常に重要です。
日本では長屋がいわば“縦横比”を考慮して建てられる好例の一つで、そういう意味では、日本人には“縦横比”の感覚がおのずと養われているかもしれません。

典型的な中廊下タイプのテナント

間口が広ければ広いほど自社を対外にアピールできる範囲が広くなりますが、家賃に大きく反映されます。
一方、奥行きの深いテナントは、我々建築の人間は、俗に“ウナギの寝床”などと呼んだりしますが、深くなればなるほど家賃は格段に安くなります。
むろん、深くなればなるほど奥のエリアはプライバシーが保ちやすくなりますが、問題は窓に面するエリアと中廊下側エリアに挟まれた中間エリアです。
中間エリアが適正な面積であれば支障はありませんが、場合によっては、相当工夫を凝らさないと非常に閉塞感のある空間になってしまいます。

中廊下タイプの分析

私がこれまで携わってきた経験から考えた場合、“縦横比”は3:1までにおさめるのが理想ではないかと思っております。
例えば、下の図をご覧下さい。
廊下の左右に貸しテナントが配置される典型的な中廊下タイプの事務所ビルの平面図です。
中廊下に面して出入り口、反対側には採光窓がありますが、奥行きは深く、必要とされる諸室をいかに配置するかいろいろと工夫の必要があります。

典型的な中廊下タイプのテナント

今回設計施工させていただいた案件もこの典型的な中廊下タイプでした。

中廊下タイプの事務所の特徴は、採光と通気性が良い窓側と出入り口周辺の環境の違いが大きい事です。
とりわけ出入り口周辺の通風性の悪さ、対面の事務所との関係など、いろいろと工夫して設計する必要が生じます。

次回から設計ポイントについてお話していきたいと思います。
貸しテナントは、道路に面する物件もあれば、内部に面する採光が良くないばかりでなく空気の流動の望ましくない物件まで、非常に多種多様です。
事務所の場合、遮音に関しては、よっぽどのことでない限り住宅に必要とされるほど高い性能は要求されませんので、総じますと、採光、通風を物件選択のポイントにしておけば、大きな失敗は少ないかと思います。

むろん、フロアー借り出来るほど力がある会社であれば、テナントも選び放題かもしれませんが、多くの会社は、そう都合の良い間取りを借りる事が出来ないのが現実かもしれません。
メンツ優先で立派な所を借りたはいいですが、その後のしっぺ返しで痛い目に遇うかもしれません。

そんな理由から、多くの方はご自身の資本に見合った空間、そして、どちらかというと運営に資本を回せれるように、本来の希望よりは条件的に劣る空間、例えば面積的に小さめの空間などを借りる結果になっていると言えなくもないかと思います。

そのような現実をふまえた場合、限られた面積の空間をいかに充実させるか、まさにその役割が私たち設計者の仕事となります。

弊社の場合、オフィスや住宅など用途に関わらず、設計する際に常に心がけているのは、出来るだけ“平等”となるように、空間を“配分”する事です。

“平等”とは、事務作業をする全ての人に対して平等、来られるお客様に対しても平等、空間に対しても平等、考え得る要素の出来るだけ多くに対して“トータルに平等”となるように心がけております。

例えば社長室と一般職員の空間など、むろん平等であるはずがないかもしれません。
むしろ世の中では差をつけるのが一般的かもしれません。
私どもは、意識的に差をつけるのではなく、“平等の理念”の元で設計するように心がけています。
オフィス内装での“見せどころ”について、“エントランスホール”等が当てはまると申し上げましたが、それは“対外的な目的”での“見せどころ”と言ってもいいかもしれません。

オフィスとは、英語で『Office』、アルファベットの一文字一文字は意味を持たないので、アジア人である私たちは文字を見たところであまりピンと来ないかもしれません。

一方、中国語では『办公室(ban3声 gong1声 shi3声)』と言います。
文字通り、仕事、執務、作業をする空間という意味です。
日本語でいわゆる『事務所』という言い方も、そのまま読んで字のごとく事務をする所という事になります。
漢字はそれぞれの文字が意味を持つ分、明確で便利です。

ミーティングルーム前室

さて、不快な空間での仕事は、肉体的にも精神的にも良くありません。
社員の方々に気の毒ですし、それが原因で辞められてしまう事も少なくないかと 思います。それに、そもそもお客様の空間は豪華で華麗、一方、社員の為の空間がその為にしわよせを受けるとするならば、せっかく投資して内装するオフィス の本来あるべき目的に矛盾が生じると思います。

人は宝です。

オフィスのその本来の目的から、最近の私は、社員の方々が利用される各種空間を“見せ場どころ”にする“ストーリー”作りを試みたりしています。
“見せどころ”という言い回し方があります。
映画で例えると、最も盛り上がる“クライマックス”がそうでしょうし、一部の玄人がようやく見て取れる細かい描写、マニアックな演出もそれにあてはまると思います。

建築設計、内装設計の際に組み立てる“ストーリー”にはメリハリが必要です、さもなくば、あっちこっちにポイントが散在してまるで陳問屋のようになってしまいます。
“ストーリー”の中の“クライマックス”、つまり“見せどころ”を、限られた空間のどこに、そして、いかに効果的に配置するかが重要です。


オフィス内装設計の場合、“見せどころ”は何処か?と考える場合、お客様が来られた時にまず目に入る部分となる“エントランスホール”は重要な“見せどころ”の一つになるかと思います。

エントランスホールは見せどころの一つ


さらには、お客様をご案内する“応接室”、“社長室”・・・と、沢山挙げていく事ができると思います。

しかしながら、建築空間や内装空間を創り出すという行為の場合、その性質上、“見せどころ”=“コストアップ”に直結する事が往々にしてありますので、いかに“見せどころ”をバランスよく配置するか、そして、不要な“コストアップ”とならないように巧妙に操作するかが設計者の重要な仕事の一つになります。

日本では住宅の設計、商業施設の設計が多かったのですが、中国では、そもそも中国で事業を始めるきっかけとなった上海環球金融中心での金融機関のオフィス設計を皮切りに、現在に至るまでオフィスの設計に携わる機会が多くなってきました。

お客様がオフィスを開設するに当たり、最もお悩みになる事の一つに“レイアウト”がありますが、そもそもオフィスのレイアウトを決定する為には、“ストーリー”が必要不可欠だと思います。
俗に言う、“結果”としての“コンセプト”とは少し違い、“ストーリー”は時間や状況により変化します。

さて、建築、内装設計とは、その空間(部屋)に必要とされる要素を的確に注入し、具体的な形を作り上げていく作業の事です。
そして、各空間(各部屋)が連続する事ではじめてその建物、内装の用途と機能が達成出来ますので、いかに空間に繋がりを作るか、そして最終的にお客様が必要とされる目的をいかに実現させるか、つまり空間を連続させる“ストーリー”作りが重要になってきます。

私たち設計者は、各プロジェクトにおいて、その空間に見合う“ストーリー”を組み立てます。
ですから、“ストーリー”は、少なくとも世の中に存在する設計者の数以上は存在するはずです。

そんな世の中に存在する設計者の数ほどある“ストーリー”なのですが、設計者がそのプロジェクトに携わる事ではじめて“ストーリー”作りを始めますので、お客さまは全ての設計者の“ストーリー”を見る事は出来ません。

ですから、お客様と設計者との出会いとは、一期一会であるとも言えます。

もし、お客様の趣旨にぴったりの“ストーリー”をその設計者が組み立てる事が出来、お客様に満足して頂く事が出来たなら、それほど幸せな事はないと私は思っております。
ほんの2,3日前までは、昼間は半袖では頼りなく、夜もやや肌寒い感じだったのが、昨日から打って変わって湿度は高く、日射も厳しい天候に激変しました。

カレンダー


実際に部屋のカレンダーが大気中の湿度を吸い込んで、用紙がこんなに曲がってしまいました。

雨が適時降る天候はまだ数日続くでしょうが、いよいよ上海の夏らしさが色濃くなってきております。

そして、いつも思うのですが、上海には夏の季節がぴったりだと思いますので、中国訪問をペンディングされている方は、思い切ってこの夏に是非いらっしゃってはいかがでしょうか。

ただ、灼熱に近い日も少なくはありませんので、それは運次第という事で。