私のピアノ教室では年に二回発表会をすることにしている。一度は秋の終わりで、これはインフォーマルとしていて、皆がその時、練習している曲を持ち寄って弾くことにしている。そして、春はフォーマルとして、これが、所謂発表会で、ドレスアップして、暗譜をするのを基本にしている。

 

フォーマルとインフォーマルとしているのは、発表会となると、生徒たちは発表会の曲に取り組むことになり、普通の課題が殆ど進まなくなる。年に2度、そんな発表会をしていたら、ずっと発表会の曲だけをやることになる。それに、発表会では(私の子供の頃の先生にならって)ソロと連弾を弾かせることにしているのだけど、生徒の半分くらいは他の生徒とマッチング出来ないので、私が相手を務めることになる。そんなことを年に二回するのは大変だ。また、発表会では私も演奏しないといけないような気がしていて、そうすると、私自身も年に二曲、それなりの曲を仕上げないといけなくなるし、生徒には暗譜しろというのに、自分は暗譜しないのも違うと思う。私は、元々暗譜がとても苦手なので、年に二曲も暗譜をするとなると、私の体や精神が持たないだろう。

 

そんな自分勝手な理由から、発表会をフォーマルとインフォーマルに分けているのだけど、今年の春のフォーマルの日付がやっと決まった。日付を決めるまで、イライラすることの多い道のりだったのだけど、兎に角、場所が押さえられたのは良かった。

 

昨年の春の発表会は5月の初めだったのだけど、発表会の終わった直後に、今年の春の発表会で弾く曲を決めて、練習を始めた。私は長い間(数か月以上)同じ曲を練習していると飽きてしまう。それでも、発表会の曲だけは、もう一年も練習している。練習では、曲を弾き込んでいるところまで来ていたけれど、暗譜をしてしまうと、その暗譜を保つのが大変だろうと、暗譜をするのは年明けまで待つことにした。

 

そして、その年が明けてしまい、発表会までは3か月となった。年明けから、あまり楽器の練習が出来ていなかったところへ来て、発表会で弾く曲の暗譜と仕上げという仕事が舞い降りてしまった。元々、発表会は4月の終わりから5月にして、それまでに仕上げと暗譜をしなければならないと、頭では分かっていたのだけど、内面的には、ちょっと焦っている。

 

立て続けに、今年初のチェロレッスン、そしてピアノレッスンを終えたと思ったら、数日後にはバイオリンの今年初のレッスンが待っていた。バイオリンのレッスンはオンラインレッスンを受けているウェブサービスの都合から、一度に何度ものレッスンを申し込むのではなく(そういう事も出来るだろうけど、日時の変更が基本的に出来ない)一つのレッスンが終わると、次のレッスンを申し込むという形になっている。昨年末の12月は、ほぼ練習する時間もないし、レッスンの時間も取れないだろうと、レッスンの申し込みはしなかった。一月からレッスンを再開するつもりでいたけれど、今年初のレッスンは旅行から帰ってきた年明けに申し込めばよいだろうと思っていた。

 

しかし、今年の年が明けて、予定では直ぐに練習に戻るはずが、色々とあり、練習の再開時期がずれ込んでしまった。「ちゃんと練習してから申し込もう」とすると、いつまでも申し込めずにズルズルと行ってしまうので、この先2週間でちゃんと練習するしようと、レッスンを申し込んだのは良いけれど、その2週間で、結局あまり練習の出来ないまま、レッスンの日を迎えてしまった。

 

レッスン前に、殆どの課題を一通り見返すことは出来たと思ったのだけど、レッスンでは、どれもこれもしっかり練習しない状態で、あたふたすることになってしまった。大人になって始めたバイオリンでは、色々な動きが自然に出来ることはすくなく、課題でしっかりと弾けないところがあると、先生は、色々と原因を探してくれて「こういう練習をしてみましょう」と言ってくれるのだけど、そういう体の使い方さえが出来ない時が多い。すると、先生は、そういった体の使い方が出来る様になるための課題を提示してくれる。こういった課題は、一週間二週間で出来るものではなく、似たような課題を半年とか一年とかやる。私の体も、だんだん求めていた動きが出来る様になるのだけど、その度に課題の数が増えていくのだ。

 

そんなこともあり、45分の短いレッスンでは、いつもバタバタと色々な課題をこなすのだけど、今回は、この課題を忘れていた、あの課題を忘れていたと、なんとも消化の悪いレッスンとなってしまった。

 

それにしても、今年に入ってから、何故かバタバタしていて、思うように練習が出来ていない。旅行中や一週間寝込んで溜まった雑用を済ませないといけないとは思っていたけど、それだって、そんなに溜まっていたわけではない。楽器の練習をする時間がきちんと取れないと本職をリタイアした後も、何故かフルタイムの仕事をしていた時より忙しくて、楽器の練習の時間が取れていない気がする。フルタイムの本職をしていた時にも、バイオリン、チェロ、ピアノとやっていたし、レッスンも取っていた。私の時間はどこに行ってしまっているのか不思議だ。

 

私のピアノのレッスンと、チェロのレッスンはどちらも同じ曜日に受けている。同じ日というは大変なので、どちらも隔週であることもあり、それぞれを交互の週で受けてきた。しかし、今年の初めに、チェロのレッスンを一週間プッシュバックしたせいで、今年初のチェロレッスンと、ピアノレッスンは同じ日に受けることになってしまった。と言っても、チェロレッスンは午前中。ピアノレッスンは夜なので、そこまで「立て続けに」レッスンが入っているような感じはしない。スケジュール的な感覚はそうでも、やはり、同じ日のレッスンというのは、それに向けた練習が大変だ。隔週で交互にレッスンが入っていれば、レッスンのある方に重きを置いた練習をするのだけど、同じ日となると、その日に向けた練習の頑張りようが少々の負担になった。

 

さて、現在、ピアノのレッスンで取り組んでいる曲は、バッハのインベンションの変ロ長調、モシュコフスキーの練習曲、ショパンの子犬のワルツの三曲で、レッスン前の最後の追い込み(?)練習では、前に何となく弾いたことのある仔犬のワルツより、指使い音の並びに、とても注意を払わなければならないインベンションとエチュードに力を入れていて、子犬のワルツは、旅行前の一か月前からあまり前進していない感じでレッスンが始まった。

 

私の先生は、レッスンでやる曲もレッスンでやる順番も生徒に任せるところが多く(生徒のレベルよりずっと高い曲が弾きたいと行った時にはNGが出ることはあるようだけど、私は経験したことがない)今回はピアノの上に、ちょうど楽譜が乗っていたインベンションから見てもらった。レッスンは一時間半(でちょっと伸びる)なのだけど、とても細かい指摘が入り、今回はインベンションとエチュードだけで時間切れとなった。私としても、子犬のワルツは前回から進歩してない感じだったので、それはそれでよかったと思っている。

 

今までのレッスンで、他のインベンションやエチュードを見てもらった時に、繰り返し出た指摘が「指を柔らかく使えてない」「音を弾く前に指が弾くはずの鍵盤に届いていない」「音がパタパタなっているだけで、音楽の流れがない」というものだったのだけど、今回は、その指摘は出なかった。これらの事を考えながら練習してきたので、これらのNGは、それなりに改善されてきたのだろうか(と、楽天的に思っている)今回のレッスンで、大きな指摘を受けたのが運指だった。

 

普段、先生はエチュードの運指はマストだ、というので、私も忠実に運指をしてきたけれど、今回のエチュードではもう少し弾きやすい運指の箇所があるとのことで、そこ見直した。

 

私のインベンションの楽譜はエディットが入っている物で、強弱や、スラー、スタッカート、運指も書かれている。私は、エディットが書かれている運指は「参考」にする程度だけど、弾きづらいなぁというところは書かれている運指に落ち着くことが多い。他のインベンションの曲のレッスンで、運指に指摘が入ったことはなかったのだけど、今回は大幅に変えることになった。私の手元を見て「弾きづらそうだ」と思った箇所が沢山あったのだろう「弾きづらいところはありませんか?」と聞かれたけれど、バッハの運指の弾きづらさは、こんなものだろうと思った私は「特にないです」と言ったのだけど、色々な箇所を見直すことになった。

 

先生のポリシーは、なるべく動きの少ない、楽な弾き方をすることなのだけど、先生に言われた運指にしてみると確かに、そちらの方が楽。私は音が飛ぶときは1や5の指でリーチしてしまうのだけど、これを2とか4とかでやった方が(黒鍵と白鍵の位置から)自然な動きが出来るという「今回のインベンションではそういった動きの練習になりますね」とのことだ。

 

そして、運指以外のエディットでは、今までの曲では、先生が指摘することと楽譜にある内容がほぼ一致していたので、私はそれになるべく忠実に練習したのだけど、今回は色々と違う所が出てきて、そちらの方も大幅な書き込みをすることになった。

 

色々と楽譜とは違う所が出てきたレッスンだけど、先生は何かを指摘する時に「何故、そういった弾き方をすべきなのか」を教えてくれて、それは納得できる事柄だ。理由が分かっていると、次に似たような事柄が出てきた時にも応用が利く。今回のレッスンも実りが多かった。

 

今年初のチェロのレッスンは、年始に旅行から帰ってきてから一週間後に予定していたのだけど、旅行後一週間は病気で倒れてしまい、練習が全く出来なかったので、レッスンを延期してもらった。

 

延期をしてもらった一週間の間には、どうにか練習が出来たのだけど、満足という程ではなかった。課題として練習して行ったのは嬰へ短調のスケールと鈴木教本からウェーバーのスケルツォ。

 

 

 

音階の方は難しかったけれど、それなりに出来ているという事で合格となり、次の調に進むことになった。

 

さて、スケルツォの方は、元々、あまり面白くないなぁと思いながらやっていたのだけど、レッスンで曲を弾く前に「この曲は好きではない」というと、先生は「じゃあ、もうやらなくてよいよ」という。教本では、スケルツォの次の曲はベートーベンのメヌエットになっていて、これは元々ピアノ曲。弦楽器の鈴木教本には、だいたい載っているのだけど、私は教本のアレンジはどれも好きではない。他にも、だいたいの鈴木教本に載っているユーモレスクも、大体の人は好きだというけれど、私は好きではない。

 

 

 

 

先生も、鈴木教本にはそんなにやった方が良いという曲は数曲しかなく、ベートーベンのメヌエットもユーモレスクも特にやらなくても良い曲の一つ(二つ)で、飛ばしてしまいましょうという事になった。

 

そこで、次の課題曲はバッハのガボットをすることになった。

 

 

 

 

昨年末の訪日旅行の前に、日本円の旦那のへそくりを見つけた。ちなみに、このへそくりが入っていたのは、暗証番号が私の誕生日になっている金庫というか貴重品ロッカーの中で、お金にずぼらな彼の事だから、幾らのへそくりを置いておいたのさえ覚えていないだろうと、昨年末の私一人での日本旅行の際に数万円くすねた。

 

私は、アメリカでは基本キャッシュレスの生活をしていて、お財布に入っている現金は10ドル(1500円)以下なんていう事も良くある。いくら日本は、アメリカよりキャッシュレス化が進んでいないと言われていても、日本は安全だからお財布に現金が10万円とか入っているのも珍しくないと聞いていても、現金を持ち運ぶのには抵抗がある。

 

そこで、日本滞在中は、旦那のへそくりからくすねた数万円をお財布に入れてはいたけど、色々な支払いはほぼクレジットカードで済ませ、お財布の中に入れていた数万円には手を付けなかった。そこで、アメリカに帰国する飛行機の出発地であった成田空港で、私名義の日本の銀行口座へ入金して、ネコババ成功と相成った。

 

私の日本の銀行口座は日本の口座ではないと出来ない支払いが出る度に、少しずつ使っているので、残高は減るのみ。アメリカから送金するのは手間がかかるので、日本に行った時に、現金をATMで入金することにしている。今回のネコババした数万円も、そういう流れの一環だった。

 

さて、日本から帰宅しても、旦那からは「貴重品ロッカーからお金が無くなっている」という事も聞かなかったので、やはりへそくりが元々いくらあり、幾らなくなったかさえ分からないのだろうと思っていた。

 

しかし、先日、日本出張の支度をしていた旦那のそばでうろうろしていると「そういえば、貴重品ロッカーから日本円がなくなっていた。取ったでしょ」と言われてしまった。取ってないと嘘をつくはダメだし、取ったと認めるのも嫌なので「へ、へ、へ」と笑って、その場を切り抜けようとしたのだけど、これは私が彼に知ってほしくないことをして見つかった時の典型的な行動なので、犯人は私だと自白しているようなもの。「ちゃんと返しておきなさい」と言われてしまった。返す気などサラサラないけど、返さないと言うにも理由がない私は、また「へ、へ、へ」と笑って、その場をしのいだのだった。