免許更新の通知が来た。


無事故無違反で、ゴールド。

毎日のように車を運転していてゴールドとは、嬉しい限りではないか。


というわけで近所の警察署で更新できるのだけど、写真が必要とのこと。

スマホで自撮りした画像の背景を消して、そのまま免許に使ってもらえたらいいのにと思うが、警察もまだそこまでデジタル対応はできてないらしい。


女性ならわかると思うが、5年に1度の免許の写真は気合が入る。

少しでも若く、少しでも美しく…自分にもまだ乙女心が残っていたことに少し安心する。


久しぶりにしっかりとメイクをして、近所の証明写真のボックスがあるところに向かった。


そして、毎度のことだが出来上がった写真を見てがっくりする。

100円プラスして『肌キレイ』のモードで肌色を一段明るくしたにも関わらず、こんなものかいな。

証明写真って、普段撮る写真よりも劣化が目立つような気がする。

「仕方ないなぁ」と自分を納得させ、渋々プリントした写真を持って帰る。


それにしても、年々顔が長くなっているように感じるのは気のせいか。

重力に逆らえなくなってるのかな。

あるいは髪型のせい?


若い頃はメグ・ライアンを真似した前髪ありのショートヘアだったが、今は前髪なしのストレートボブ。

前髪を作ったほうが、顔の長さが緩和されるのかな…。


写真をひとしきり眺めてから鏡を覗き込む。


あれ、どこかで見た顔だなぁ…

どこだっけ…?

誰だっけ…?

どこぞの綺麗な女優さんに似てるんだったら嬉しいんだけど、そんな気配は微塵もない。







散々悩んで、はっと気がついた。









私の顔の輪郭は、亡き父にそっくりだったのだ。


顎のラインなんか、父と瓜二つだ。


自分ではずーっと、『顔は母親似、体質は父親似』と思っていたけれど、実は顔の形は父親に似ていたのか…。


改めて、鏡に向かって笑ってみる。

すると、そこには不思議なことに笑顔の母が現れた。


輪郭は父、表情は母。

これがDNAのなせる技だと思うと、なかなか感慨深い。


そうか。

これからは、亡き両親と話したいなぁと思ったら、鏡をのぞき込めばいいんだ。

きっと両親は、鏡の中から私を励ましたり慰めたりしてくれるはず。



鏡の中の両親は、これからも私と一緒に歳を重ねていく。

この世にはいないけれど、私の中で一緒に生き続けてくれる。


そう思うと、5年後の免許更新が少しだけ楽しみになった。