実家終いの難関その3
それは、相続。
兄と私は2人兄妹。
父の戸籍を取り寄せて確認したが、隠し子の存在もなかった。
両親ともに、昔からブランドものも買わず、使えるものは買い換えず、実に質素に暮らしていた。
父に至っては、穴の空いたズボンを自分で繕ってボロボロになるまで履き、母から嫌がられていたほどだ。
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それでも、父は60代後半までゴルフを楽しんでいたし、母も自分の趣味を楽しんでいた。夫婦で海外旅行にも何度か行っていたし、それなりに人生を謳歌していたと思う。
そして母が亡くなり、父が亡くなり、蓋を開けてみると、兄と私が想像していたよりもお金を遺していた。
そして、土地。
駅からちょっと距離はあるが、それでも東京23区の土地だ。家のローンもない。
これらをどうやって分割するか、これから兄と協議していかなくてはならない。
そして、私には大命題がある。
それは、「私の実家から受け継いだ資産は絶対にモラ夫に渡さない」ということだ。
モラ夫は結婚以来、ことあるごとに「子供の教育がなってない」「酒の文化を知らない田舎もんの家」と私の実家をバカにしてきた。
数年前に別居に至ったのも、モラ夫が私の実家に対して失礼なことを言い放ったのが原因なのだ。
私が高齢の両親を心配して実家に顔を出すことや、マメに連絡をとりあうことに対しても、「親離れが出来ていない」「親父と結婚しろよ」と嫌みを言い続けた。
だから、母が亡くなったときから、私は自分の実家から受け継いだものはびた一文モラ夫の手に渡らないようにすると心に決めていた。
私が確実にモラ夫より長生きすると決まっていれば何も思い悩むことはない。
だが、こればっかりはわからない。
兄と私が法定どおりに相続し、直後に私が旅立ったら、私が相続した実家の資産の少なくとも半分はモラ夫の手に渡ってしまうのだ。
両親の名誉のためにも、それだけは絶対に避けなくてはならない。
ということで、まず、実家の土地は兄に相続してもらうことに決めた。
兄は実家よりも便利なところに既に家を持っており、「もし自分が実家の土地を相続するなら娘2人が家を建てることになるだろう」と言っている。
仮に兄が売却の道を選んだとしても、その益は確実に実家筋に残ることになる。
問題は父が遺したいくばくかのお金だ。
私が相続を放棄して全てを兄に、ということも出来るが、私には子供がいない。
この先自分が年をとり、人の手を借りなければならない状態になったときに、姪っ子たちに頼らざるをえないときが来る可能性もある。
そのときに、せめて金銭的な迷惑だけはかけたくない。
シュミレーション上は自分で稼いだお金と年金で老後の生活はなんとかなりそうな気もするが、不安は残る。
そして、うんと先を考えれば、姪っ子にはゆくゆく兄夫婦からの相続も発生する。
今のところ妙齢の姪っ子2人は結婚の気配はない。そして、2人とも心配のない形でまともに働いており、今でもお金に困ってはいなさそうだ。
もしこのまま独身だとすると、果たして姪っ子たちは祖父母、兄夫婦、私、といろいろなところから引き継ぐものを人生で使いきれるのか?
実家の資産は実家系に遺したいとは思うものの、最終的には国庫に入ってしまうかもしれないと思うと、それも甚だ悔しい。
国庫に渡すくらいなら、モラ夫に遺したほうがマシだ。
ちなみに、父が亡くなって実家からどのような相続があるかについて、モラ夫から聞かれたことは一度もない。
そして私は生命保険に入っていないが、モラ夫は生命保険に入っている。子供がいるわけでもないし不要ではないかと言ったが、葬式代くらいは残したいと継続している。
なぜか勝手に私より自分が先に旅立つと思っているようだ。
そんなことをツラツラと考えていたら、ふと、天国の父が笑っているような気がした。
「いろいろ思い悩んだところで、人生は想定したとおりにはならないものだよ。どこからのお金か、誰に遺すかなんてくだらないことを考えずに、お前自身が人生を充実させるために使えばいいさ。」
父の笑顔を思い浮かべたら気が大きくなり、リサイクルショップで一目惚れした北欧アンティークのダイニングテーブルセットを買った。
相場よりかなりリーズナブルな価格ではあったが、私としては高い買い物だった。
そして、「私とモラ夫が旅立ったら、このテーブルはどうなるのかな」などと考えてしまった。
小さいな、私。
メルカリで500円で出品されているものを買おうかどうか1ヶ月悩み、楽天で3,000円前後のクーラーバッグを買うのに半年悩んでしまう私は、例え大金を手にしたとしても、生活スタイルを変えられないだろう。
ということで、自分の価値観を見直すべく、気になっていた本を買ってみた。
読み終える頃には、相続もどうするか良いアイデアが出るといいな。
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