ゴールデンウィークも終わろうとしている昨今、皆様いかがお過ごしだろうか。
私の暮らす田舎はちょっとした観光地でもあるため、ゴールデンウィークの間は町内であっても他府県ナンバーで渋滞が起きることがある。
なので、我が家はどこにも出かけることなく、家で淡々と過ごすことにした。
こんなときは、こもって映画でも見るに限る。
ということで、Netflixで「地獄に堕ちるわよ」を一気見した。
細木数子さんの『ズバリ言うわよ』を欠かさず見ていたのは自分が大学生の頃だと思っていたら、なんととっくに社会人だったようだ。
記憶としてはかなり前なのだけど、まだ22年前の話だったのか。
(いや、22年はかなり前の話だ。)
22年前のあの頃、私は30代半ばの独身。
どんどん片付いていく友人を祝いながら、とにかく自分も結婚したくてしょうがなかった。
そういうときは、占いに一喜一憂するのが女心。
ちょっとした出会いがあれば、相性やら運気などを徹底的に調べ、デートのときはラッキーカラーを身につけた。
『大殺界』が流行語みたいになっていて、ちょっと悪いことがあると『大殺界だからだ❗️』と言い訳していた気がする。
で、あの細木数子さんを戸田恵梨香さんが演じる?
これは見ないわけにいかないではないか。
口の悪さとアンダーグラウンドの噂もあって、嫌いだと言う人も多かった細木数子さん。
私は案外好きだった。
豪胆な物言いの裏に、酸いも甘いも噛み分けた、懐の深さと優しさを感じる時があったからである。
ドラマは、ここ最近では自分的に『リブート』を上回る面白さだった。
もちろん、島倉千代子さんの一件はよろしくない。
よろしくないとは思うものの、当時の芸能界ではよくある話だったのではないかと思ったりもする。
劇中で小説家の突撃取材に対して島倉千代子さんが「細木数子さんが命の恩人であることにかわりはない」と言うのだが、それは本当にその通りだったのだろう。
あの件は、紅白多数回出場の大物が搾取されたから話題になったけど
芸能事務所が右も左もわからない高校生くらいのアイドルを住み込みの薄給で寝る間もなくこき使っていた時代の話だ。
今でこそ事務所がタレントに枕営業を強要したら訴えられるけど
当時は一般ピープルも『売れっ子芸能人はみんな枕営業をしているものだ』と思っていた。
どことは言わないけれど、大企業の会長さんがスポンサーとなり、某有名演歌歌手を囲っていたなんて話も聞いたことがある。
銀座のクラブやナイトクラブ、そしてディスコ…
戦後の時代を裏社会で生き抜いてきた細木数子さん。
悔しい思いをしながらも何度も這い上がってきた根性はあっぱれだ。
どんな形であれ、あの時代に女でありながらビジネスであれだけ稼ぐなんて、すごいと思う。
安岡正篤さんとの一件にしても、ほかにもお金持ちのご老人はいただろうに、政界に顔が利く大御所に狙いを定めるあたり、目の付け所がすごいね、と思う。
実際に会うこともなく言葉巧みに高齢者からお金を巻き上げる現代のロマンス詐欺に比べれば、素性の割れた生身の女が、玉の輿を狙って体を張って挑戦した話とは考えられないだろうか。
今の時代だって、お金目当てで玉の輿を狙う女性はたくさんいる。
そして、もしも細木数子さんと安岡正篤さんが年の差を乗り越えて堂々と結婚し、安岡正篤さんがもう少し長くご存命だったら、細木数子さんは意外に献身的に介護したかもな、と思ったりもする。
顔が広く人徳のある安岡正篤さんを粗末に扱うことは、結果として自分を粗末に扱うことだと、百戦錬磨の細木数子さんならわかっていたような気がするのだ。
とかく、戸田恵梨香さんの演技は迫力があった。
体型は違っていても、細木数子さんをバッチリ演じられていたと思う。
脇を固める俳優陣は、男性も女性もはまり役でかっこよかった。
戦後日本のアンダーグラウンドの描写と音楽も素晴らしかった。
ドラマを見ながら、昭和一桁生まれの両親を想う。
田舎生まれで東京アンダーグラウンドとは無縁な人たちだったが、あの時代を生きたのだなぁと思うと感慨深い。
細木数子さんが旅立ってから5年。
彼女には占いで今の世の中が視えていたのだろうか。
いや、きっと視えていなかった。
視えなかったと言うよりも、視るつもりもなかっただろうと思う。
きっと彼女はただ『今』を一生懸命、がむしゃらに生きただけなのだから。