1年半かけてやってきた実家終い。
今回は、自身の経験から学んだことを含め、参考までにそのコツを残しておこうと思う。
コツ1:解体するなら固定資産税と自治体の補助金を調べる
各種条件はあるが、空家を解体する場合に補助金が出る自治体もあるようだ。
そして、解体して更地にしたまま保有していると、固定資産税があがる。
かといって、空き家を放置して、「特定空き家」になってしまうと、これもまた固定資産税があがる。
古い家ならば、寂しさはあるもののやはり更地にして、家を建てなおして誰かが住むか、売却が妥当ではないだろうか。
家を残したまま売却することも可能ではあるが、家に古民家としての価値がない限り、やはり更地のほうが売りやすいだろう。
築浅ならば、リフォームして誰かが住むか、賃貸に出すか。
なお、昨今の夏の暑さを考えると、築浅でもリフォームして住む場合は、屋根断熱がしっかりされているか、欲を言えば気密がしっかりとれているかどうかは確認しておいたほうが良い。
いずれにしろ、家の中のモノたちは処分しなくてはならない。
コツ2:スケジュールを立てる
これが一番重要だと思う。
もしお尻が決まっていなかったら、我が実家もいつまでも片付かなかった。
片付けの期間としておすすめなのは、秋から開始して、春までに終えること。
特に布ものは埃が大量に舞う。四季を通じてマスク持参はもちろんだが、窓を開けて一斉に片付けをするには、夏場だと暑くて身体がもたない。
コツ3:ゴミの捨て方を考える
ゴミの収集は自治体によって曜日が決まっている上に、回収してくれる袋の数も決まっている。
私の場合は隠居生活の兄が近くに住んでいたので日々対応してくれたか、実家と自宅が離れている場合や仕事をしている場合は難しい。
出来ればまとめてゴミ処理施設に車で持ち込むのが良いが、車がない、ゴミ処理場まで何往復もするのは難しい、仕事があるなどの場合は、費用はかかるが不用品回収業者に相談するのが早い。
これも、遺したいものをいつまでに持ち出しておくかが鍵になるので、コツ2で立てるスケジュールが重要になってくる。
コツ4:最初に押し入れや天袋のモノを広げるスペースをつくる
昔の家は、押し入れや天袋があり、たいていはモノが詰まっている。
気になってついつい先に広げてしまいたくなるが、広げたら最後、収拾がつかなくなる。
まずは足元に広がっている目に見えるものから処分しよう。
出来れば大物家具や粗大ごみを先に処分できれば、作業はかなり楽になる。
コツ5:遺したいものは早急に撤収する
遺したいものはたいてい以下のものではないだろうか。
■着物
■美術品
■高額なもの(ブランド物、食器、アクセサリーなど)
■メルカリやリサイクルショップで売れそうなもの(引き出物のタオルや寝具など)
■アルバム・写真・日記など
ちなみに、昭和時代のゴルフのコンペなどでもらったカップはよく見たほうが良い。
中には本物の銀を使ったものもあるので、買い取ってもらえるケースもある。
コツ6:思い出深いがこの先使わないものは、写真に撮って処分する
私が写真に残して処分したものは以下の通り
■両親の衣類
■思い出のある食器
■両親の健康保険証、パスポート、各種カードなど
■人形、置き物
■家具
■自分の幼い時の絵や作文、ランドセル、母が私のために作ってくれたかばんなど
コツ7:インフラを確認しておく
子供が知らないところで、親が電気やガスの契約を変えていることもある。
うちの実家は、電気はガス会社、テレビはJ:COMになっていた。
解約の手続きで戸惑うことがないよう、出来れば親の生前に確認しておいた方が良い。
私の実家はインターネットを引いていなかったが、私たち世代の家は必ずネットを引いていると思うので、プロバイダー情報も含めてわかるようにしておかなくてはならないな、と思った。
参考までだが、最初に連絡したNHKは解約を渋られたが、空き家で誰も住まないことを伝えたらすぐに解約できた。
コツ8:お線香は最後まで置いておく
衣類やお人形・ぬいぐるみなど、ただゴミ袋に入れて処分するにはしのびないと感じるものも多々ある。
そういうものは、お線香を焚いて自分なりに供養して処分するのがおすすめだ。
生前の関係性があまりよろしくなかったとしても、お線香の香りと共に手を合わせて感謝の気持ちを口にすると、不思議と心が落ち着いてくる。
自分の気持ちの整理のためにも、お線香による供養はおすすめだ。
コツ9:ご近所に配慮する
昭和の時代と違ってご近所付き合いが希薄になっている昨今ではあるが、ご近所さんとしては隣接した空き家がどうなるのかも気になるだろう,
今後の対応が決まったら、逐一ご報告しておくのが安心だ。
ついでに、相続でわかったことを記しておく。
①銀行口座
親がお金だけ引き出して、銀行口座を閉じていないケースもある。
例えば、職場の近くで持っていた口座や、転勤先で持っていた口座などにありがちだ。
うちはたまたま父が古い通帳を残していて、調べたら残高1円とか100円とかいう口座があった。
こういう口座は、たいてい自宅からは遠い。
放置も可能かもしれないが、その後取引があって何かのお金が入金されていて通帳に記載されていなかった…なんてケースもあるかもしれないから、悩ましいところだ。
口座を閉じるためには、遺産相続協議書への記載が必要になり、結果として残高が1円だった場合は、相続人の口座に送金するための手数料をこちらが支払うことになる。
私はこの経験から、自分が過去に口座を持っていた銀行全てに電話して解約されていることを確認し、当時の通帳やカードは処分した。
②相続税対策
兄と私は、相続する土地があったので、相続について知り合いの税理士さんに頼むことにした。
ここで知ったのだが、親の介護などで同居していたことが証明できる場合は、相続税の減免措置があるらしい。
いずれにしろ税理士さんに依頼するのであれば、相続が発生する前(=親が存命なうち)に相談しておくのが賢明だ。
今思いつくのはこれくらいだろうか。
少しでもこれから実家終いをする方の参考になれば幸いだ。