地鎮祭を終えた夜、モラ夫はいつもどおりアパートで酒を飲んでいた。
そして、不機嫌だった。
(原則、酒を飲むと機嫌が悪くなり、なんでもかんでも怒り始める。)
私は父の関心をモラ夫からそらそうとして、必死で明るく振る舞い、父と話をしていた。
酒を飲んだ状態のモラ夫が恥ずかしくて隠したかったのかもしれない。
あるいは、私が幸せであるという父にとっての理想像を見せたかったのかもしれない。
とにかく父に、酒を飲んだモラ夫から目をそらしてもらいたかった。
すると換気扇の下で酒を飲みながらたばこを吸っていたモラ夫が突然立ち上がり、「我慢できないから言っちゃおうかな~」と言いながら底意地の悪い顔でニヤニヤと父の前に座った。
そして、こう言った。
「お父さん。
俺はお父さんのことが大好きだ。
お母さんのことも大好きだった。
だけど、あんたの息子のことは好かん。
なんで、あんたの息子と嫁さんのメシ代とか、酒代とか、全部うちが払わなくちゃいけないの?
うちだってそんな金持ちじゃないんだ。
寄生虫みたいに妹夫婦にたかりやがって。
普通は兄貴が妹に奢るんじゃないの?
あんたがそんな息子に育てたんだよな。
だから、あんたに責任がある。
あんたが悪い。
教育がなってない。
とにかく、俺は好かん。
あんたの息子とは金輪際会わない。
親戚とも思わん。
すっぱりと縁を切る。
marukoも2度と会わせない。
はい、バイバイ、さようならーだよ。」
全身から血の気がひいた。
耳の遠い父に、聞こえていないことを願った。
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