高校生に戻りたいと思った人は少なからずいるのではなかろうか。一回死ねばもう一度戻れるかもしれないが、本当に戻ったとしても何か変わるかどうかは甚だ怪しいものである。素晴らしいことに、我々は青春アニメを見ることによって、高校生ライフを再度体験することが可能だ。本作、「true tears」は飛べない鶏「地べた」のように、暗い青春を送った人にオススメの物語。
true tears vol.1 [DVD]/高垣彩陽,石井真,名塚佳織
- ¥3,990
- Amazon.co.jp
◇富山が舞台の、自然体なハイスクール・ラブ
- ストーリーはかなり練られた構成となっている。無理のない自然体な高校生の物語が描かれており、アニメにありがちな違和感を、まるで感じない。それでいて、凡庸なハイスクールストーリーと異なるのは、ちょっとした事件やエピソードをちりばめて、飽きさせないところだ。
- どこか懐かしい背景のモデルは、富山県南砺市。地方の町並みを、印象的に描いている。ありがちな高校生の恋物語だが、舞踊を展開に含めるなど、土着文化も絡めて独特の世界観を描いている。
- ◇「不思議少女との出会い」と「優等生系幼馴染との同棲」の2段構え
- 「true tears」の怖ろしいところは、石動乃絵と湯浅比呂美という2人のヒロインの2段構えをとっている点だ。どちらかでオタクのハートは必ずや刈り取られよう。本作のヒロイン(異論は認める)である石動乃絵は、精神年齢が低いのか、15歳とは思えない異常的行動をとる。しかし、その行動があのロリ顔と絶妙にあわさり、ロリコン/妹萌えにはたまらない仕上がりとなっている。
一方で、「こんな女、実際いたら気持ち悪いんだけど」と斜にかまえた視聴者に対しては、湯浅比呂美を2段構えで用意。彼女には、幼馴染、優等生、同棲といった属性が集約されている。顔自体は非常に特徴のないキャラクターで一般的な正統派美少女なのだが、キーワードを詰め込んだ上で、やや暗黒面を追加し、特異な存在に仕上げている。ちなみに筆者は両者とも大好きである。
主人公も、いわゆる美少女ゲーム系の無機質な存在感のない者ではない。酒蔵の息子で、絵本作家志望、性格はやや気弱。外見はデュラララの主人公に似ているが、個性をもって、意見・考えをキチンと持っている。ちゃんとキャラ設定されているところを評価したい。- 残念なのは3人目のヒロイン、安藤愛子だ。筆者もパッケージから3ヒロイン・ストーリーだとばかり思っていたが、3人目にはあまり期待しない方がよいだろう。エピソードも薄く、いまいち心情理解に苦しむ。なぜ、安藤愛子が主人公を好きになったのか分からず、(あるいはそうした描写もあったかもしれないが)印象に残らなかった。
◇丁寧な制作に頭が下がる
やはり、「えいや」で制作されたアニメでは決してない、という点を感じるところが多い。OP含む音楽、台詞回し、作画/動画とも丁寧だ。作画は、さすがに秒速5センチメートルとまではいかないが、それに似たレベルのものを感じた。細やかな表情変化、所作や動作もよくできていると感心した。
ストーリー(21点):展開/無理のなさ=A、世界観/設定=A、意外性/新規性=B、メリハリ=C、感情移入/揺さぶり=B
キャラクター(20点):主人公=B、石動乃絵=A、湯浅比呂美=A、安藤愛子=D、脇役・その他:B
作画(11点):人物=B、背景=B、独創性=C
動画(8点):人物=B、背景=B
演出(13点):シーン構築/流れ=B、心理描写=A、音声/背景効果等:B
音楽(8点):曲=B、動画=B
【総合点】81点

