高校生に戻りたいと思った人は少なからずいるのではなかろうか。一回死ねばもう一度戻れるかもしれないが、本当に戻ったとしても何か変わるかどうかは甚だ怪しいものである。素晴らしいことに、我々は青春アニメを見ることによって、高校生ライフを再度体験することが可能だ。本作、「true tears」は飛べない鶏「地べた」のように、暗い青春を送った人にオススメの物語。


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◇富山が舞台の、自然体なハイスクール・ラブ

 ストーリーはかなり練られた構成となっている。無理のない自然体な高校生の物語が描かれており、アニメにありがちな違和感を、まるで感じない。それでいて、凡庸なハイスクールストーリーと異なるのは、ちょっとした事件やエピソードをちりばめて、飽きさせないところだ。
 どこか懐かしい背景のモデルは、富山県南砺市。地方の町並みを、印象的に描いている。ありがちな高校生の恋物語だが、舞踊を展開に含めるなど、土着文化も絡めて独特の世界観を描いている。

◇「不思議少女との出会い」と「優等生系幼馴染との同棲」の2段構え

 「true tears」の怖ろしいところは、石動乃絵と湯浅比呂美という2人のヒロインの2段構えをとっている点だ。どちらかでオタクのハートは必ずや刈り取られよう。本作のヒロイン(異論は認める)である石動乃絵は、精神年齢が低いのか、15歳とは思えない異常的行動をとる。しかし、その行動があのロリ顔と絶妙にあわさり、ロリコン/妹萌えにはたまらない仕上がりとなっている。

 一方で、「こんな女、実際いたら気持ち悪いんだけど」と斜にかまえた視聴者に対しては、湯浅比呂美を2段構えで用意。彼女には、幼馴染、優等生、同棲といった属性が集約されている。顔自体は非常に特徴のないキャラクターで一般的な正統派美少女なのだが、キーワードを詰め込んだ上で、やや暗黒面を追加し、特異な存在に仕上げている。ちなみに筆者は両者とも大好きである。

 主人公も、いわゆる美少女ゲーム系の無機質な存在感のない者ではない。酒蔵の息子で、絵本作家志望、性格はやや気弱。外見はデュラララの主人公に似ているが、個性をもって、意見・考えをキチンと持っている。ちゃんとキャラ設定されているところを評価したい。
 残念なのは3人目のヒロイン、安藤愛子だ。筆者もパッケージから3ヒロイン・ストーリーだとばかり思っていたが、3人目にはあまり期待しない方がよいだろう。エピソードも薄く、いまいち心情理解に苦しむ。なぜ、安藤愛子が主人公を好きになったのか分からず、(あるいはそうした描写もあったかもしれないが)印象に残らなかった。

◇丁寧な制作に頭が下がる


 やはり、「えいや」で制作されたアニメでは決してない、という点を感じるところが多い。OP含む音楽、台詞回し、作画/動画とも丁寧だ。作画は、さすがに秒速5センチメートルとまではいかないが、それに似たレベルのものを感じた。細やかな表情変化、所作や動作もよくできていると感心した。

 

ストーリー(21点):展開/無理のなさ=A、世界観/設定=A、意外性/新規性=B、メリハリ=C、感情移入/揺さぶり=B

キャラクター(20点):主人公=B、石動乃絵=A、湯浅比呂美=A、安藤愛子=D、脇役・その他:B
作画(11点):
人物=B、背景=B、独創性=C

動画(8点):人物=B、背景=B

演出(13点):シーン構築/流れ=B、心理描写=A、音声/背景効果等:B

音楽(8点):曲=B、動画=B


【総合点】81点

やや暖かくなってきた初春。
花粉がよく飛んでいるが、皆様、いかがお過ごしだろうか。
こんな日々に嫌気が差していないだろうか。ストレスを感じていないだろうか。

是非、そんな人に見てもらいたいアニメがある―。

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【ジャンル】スプラッタ、ホラー、純愛

【概要】 
起:とんでもない殺人鬼が野に放たれましたが、頭を撃たれたお陰で別人格が生まれました
承:とある大学生は可愛い女の子に出会い、殺人鬼と知らずに匿いました
転:実は幼少時、殺人鬼は彼(大学生)を好きになってましたが、些細な嘘から、彼の父親と妹を殺していました
結:殺人鬼はそれを思い出し、正常人格に戻り、去りました。その後、国家組織と盛大に戦いました

【ここに注目!】ルーシーとにゅうのギャップに悶えよ!

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1.ストーリー=16点/25点
(1)情感:B
 ヒロインのルーシーが殺人鬼になる過程を、性悪説的に描き、心をいい感じに鬱にしてくれる。
(2)世界観/設定:B
 ヒロインが人間を滅ぼすミュータントというのは、2000年代前半の、セカイ系の潮流を汲んでいる。感染性ウイルスによるミュータント化もよくある設定だが、当時としては新鮮だったかもしれない。能力は見えない手が数本あるというものだが、新規性に欠く。ただ、江の島を舞台にし、綺麗に描いていた点が個人的には嬉しいので、加点したい。
(3)意外性:C
(4)メリハリ:B
 悪役の首は勿論、体がポンポン飛ぶので、飽きはしない。
(5)感情移入性:D
 感情移入したら問題なシーンが散見される

2. キャラクター=12点/15点
(1)主人公/ヒロイン:B
 ルーシーが実に格好良い。相手が喋っている途中に斬首したり、少女から殺人鬼に変貌するシーンなど、ゾクゾクする展開が豊富。萌え人格である「にゅう」の時は裸体シーンが多く、筆者も大満足である。一方、主人公はやたらと女性を誘拐する変態である以外は、全くの凡夫。キャラがたっていない。
(2)準主人公/準ヒロイン:C
 ナナは月姫を思い出すキャラ。四肢が切られた様は、氏賀Y太を想起させる。そっち系が好きな人にオススメである。
幼馴染キャラのユカは、制作サイドに好まれなかったのか、あまり練りこまれていない印象を受ける。そもそも、多感な時期の8年間、記憶のない主人公を想い続けていた、という設定に違和感を感じるのは筆者だけであろうか。
(3)脇役/その他:A
 研究所の室長である、蔵間がいい味を出している。ナナの写真を机に飾っているが、実は赤の他人で、娘は35番(マリコ)というモンスターである。不可解な行動で知られており、ナナを逃がす際は、現金およそ数億円を持たせ、怪しいポッドに格納した後、海に流す。浮く仕様なら船でいいのでは、と思う。ってゆーか、それをどうやって崖の下まで内緒で運んだんだ。最後は結局、娘と共に爆死した。
 その他、所長以下、研究者の面々はなかなか面白い。まず所長親子である。親父・息子ともにかつらを愛用。ルーシーとコトに及んだ上で、世界征服をしようという壮大な計画を親子共々もっている。相模湾から世界征服とはおめでたいことこの上ない。息子は自らかつらを外し、夢を語っている途中、ルーシーに首をはねられた。

3.作画=10点/15点
(1)人物:C
(2)背景:B
 江の島の風景、坂からの眺め、由比ヶ浜の風景など、あづま者にはたまらない部分は多い。しかし、研究所と由比ヶ浜近郊でしか話が進まないのはなぜだろうか。ただ、作画自体に感動することはおそらくないと思う。
(3)独創性:C
 猫耳と見まごう「角」が、所長親子に生えている点が面白かった。

4.動画=6点/10点
(1)人物:C
 アクション・シーンに期待すべからず
(2)背景:C
 血がよくとんでいる

5.演出=8点/15点
(1)シーン構築/流れ:D
 あまり緊迫感がでない。 
(2)心理描写:D
 あまり伝わらない。重点を置いていないのだろう。
(3)音声/背景効果等:B
 血がよくとんでいる。力を入れている。

6.音楽=8点/10点
(1)曲:B
 「Lilium 」はラテン語で百合の意。歌詞も聖書から引っ張り、ラテン語で構成されている。
(2)動画:B
 クリムトの投影らしいが、どうだろうか。着眼点はかなりいいが、efと同レベルまでに作りこまれているとは決して思わない。

7.声=7点/10点
(1)主人公/ヒロイン:B
 ルーシーがよい。
(2)サブ:C

【総合点】67点


~辛いときは鬱アニメでストレス解消しよう!~

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※注:「あについ」は基本的にネタばれを含みます。


【総合点】76点


【総合評価】

 鬱系の王道展開!

 鬱ストーリーを好む人には是非、ご視聴いただきたい作品。


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【ジャンル】 鬱、恋愛物、ヒューマンストーリー、青春物
【本数】 全12話
【今北産業】 

1.人気を博したefの2期

2.ヒロインがレイプ告白

3.ヒロイン死亡も、天使として蘇生


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1.ストーリー=18点/25点
(1)情感:B
 暗い過去をもつキャラクター達の物語だけに、胸を抉る描写が散見される。ただ、重い背景の発露を多用するため、少々食傷気味になる面もある。

(2)展開:B
 基本的には、無理のない流れで、鬱展開を好む視聴者の期待に応えてくれた。ただ、羽山ミズキと久瀬のくだりがややくどい印象にある。

(3)意外性:B
 肉親の死、幼少時の両親の不和、死に至る病など、王道な設定を使う。それだけなら意外性はないのだが、ヒロインが兄から犯されていたため、加点した。まさか、そこまでの設定をアニメでつけるとは思わなかったためだ。

(4)メリハリ:D
 テンポは良くない。細かい描写や設定に拘り、やや固執感がある。逆に言えば丁寧。

(5)感情移入性:B
 ヒロインの暗い過去の発露を効果的に使い、精神を刻んでくる。


2. キャラクター=12点/15点
(1)主人公/ヒロイン:A
 火村はやや影が薄い。こうしたジャンルでは、主人公があまり目立つと逆につまらなくなるため、期待通り。雨宮優子は生前、ヤンデレとして強烈な印象を残した。レイプ告白シーン は必見である。

(2)準主人公/準ヒロイン:B
 久瀬はこうしたジャンルにはあまりなかった、ヴァイオリニストという設定。よく作り込まれている印象。羽山は人間味がない、美少女ゲー方向のキャラ。個人的にあまり好きじゃない。

(3)脇役/その他:C

 前作の主人公/準主人公が登場。安定的な動きをみせる。

 一方、主人公を想う仲良し3人組の女性も登場するが、別段、特筆すべき点はない。


3.作画=10点/15点
(1)人物:C

 エロゲー原作のせいか、やや萌えキャラ臭いのは否めず、一般人受けはしないとみられる。そうした観点を除いた場合でも、特別に綺麗だとか、そういった印象はない。
(2)背景:B

 ヨーロッパをモデルにしているだけあり、背景へのこだわりが見られてよい。

(3)独創性:C

 人物は至極、一般的な絵画である。背景世界はややこだわっているので、相殺してC評価。


4.動画=6点/10点
(1)人物:C

 一般的なアニメの動き方をする。
(2)背景:C

 一般的なアニメの背景である。


5.演出=14点/15点
(1)シーン構築/流れ:B

 印象にはないレベルだが、良いと感じる。

(2)心理描写:A

 重要なシーンにおいては勿論、各シーンにおいて、わざとらしさのない心情吐露を発現させる。

(3)音声/背景効果等:A

 文字を何階層にも重ねて独白させるなど、面白い試みだった。


6.音楽=9点/10点
(1)曲:B

 OPは神曲と呼ばれており、確かにかなり高いレベルである。英語版/日本語版、ともにもう少し歌詞が練られていれば、と思う。曲調がいいだけに、少し残念。
(2)動画:A

 ケチのつけようがない。


7.声=7点/10点
(1)主人公/ヒロイン:B

 違和感なし。

(2)サブ:C

 やや、違和感あり。