昨夜に引き続き、solaの紹介をしていこう。本作の中核となるトリックとはなにか―。悪役不在のsolaの世界において、元凶はなんであったのか―。本当の被害者はだれか―。そして、視聴者はsolaをどう観るべきなのか―。シリーズ第2回、考察編。
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- ◇主人公はただの紙きれ
- ネタバレするとsolaの面白さが半減してしまうのだが、感動したので、本作の一番のカラクリを先に書く。主人公の依人は、姉である折り紙使い、蒼乃の作り物だ。つまり、10話まで違和感を感じながらもシンパシーを感じていた哀れなる視聴者は、単なる紙人形にシンクロを行っていたことになる。ハッピーエンドを求めようもない無慈悲な顛末に、筆者も当初、茫然自失となった。
発覚した場面が実に印象深い。第7話で、依人は失踪した茉莉を探し当てたのだが、あろうことか茉莉をガラスの破片で刺してしまう。「一体なんでこんなことに!?」と筆者も驚いたが、冷静になってみれば、茉莉への嫉妬から、蒼乃が人形のコントロールを回復させたまでであって、不可解でも何でもないことであったのだ。
- 第10話では、茉莉が仕返しとばかりに依人を剣で貫く。「その痛みは本当のことを知るためには必要だから!」云々。剣が貫通後、依人の腕は崩壊。紙となり、パラパラと剥がれ落ちるのであった(図参照)。徐倫顔負けのストーンフリー状態である。
- 図.依人くんの手 (出典:sola 10話)
- ◇本当に可哀想なのは蒼乃だった
- 何故、そんな事態になったのか。せっかちな読者のために手短かに言うと、下記のようになる。
1.遠い昔、蒼乃は夜禍への生贄でした。
2.夜禍(茉莉)と姉弟共々、仲良くなりましたが、弟は災害で死にました。
3.蒼乃は世を儚んで自殺しましたが、茉莉に夜禍にされたので死ねませんでした。
4.それならばと、姉は夜禍の能力で弟を作りました。
- もうお分かりだろうか。結局、すべての元凶は、一時の慈悲の感情をもって、蒼乃を夜禍にしてしまった茉莉にあるのである。この不自然な状況を解消するため、茉莉は自分の命を犠牲に、蒼乃を元通りの少女へと戻した(最終話)。普通の少女に戻れば、勿論、依人もただの紙切れに戻る。まこと不憫なのは蒼乃である。蒼乃ラブ。
- 蒼乃が夜禍だったことは、序盤でうっすらと感づくウォッチャーも多かったと思う。後天的な夜禍のくせに劇中では途方もなく強い。所詮、ファンタジーものであるのだが、蒼乃のバトルシーンはなかなかどうして見ものである。対・茉莉戦においては、紙を巻きつけた5m程度の鉄パイプ数本を速射するなど、人外の能力をいかんなく発揮していた。
◇考えるべからず、風味を楽しむべし
- solaは、言ってしまえば先ほどのトリック1つが売りである。そこまで内容も詰めたものではないと筆者は思う。
- まず、過去の時代設定があいまいである。ようするに「夜禍は昔からいました―」というところで設定が終了しており、それ以上の深みは見えてこない。台詞の一部に、数百年前~400年前等の言及もあったが、一体それは日本史でいうと何年にあたるのか。過去遡及アニメの先輩である「Air」にはあった、明瞭な過去を本作は有していない。さらに、一体、茉莉はいつ発生したモノなのか。数百年生きて、なぜ繭子と蒼乃だけ夜禍にしたのか。蒼乃を元に戻したのはいいが、繭子や他の後天的な夜禍はどうすればいいのか。まったく見えてこない。
- 能力モノとしても不完全だらけだ。夜禍の祖たる茉莉の能力は、「触れた物体を灰にする・腐らせる能力(に見える)」のみなのだが、蒼乃は「紙の遠隔操作・硬質化可能。1枚1枚に人間1人を上回る力がある。さまざまな物体に変化させることが出来、疑似的な人格を付与できる」と、能力のオンパレードで、内容にまるで統一性・統一条件がない。同じなのは光に弱い点だけである。夜禍になるだけで、そのような強化がされるのであれば、繭子にひげダンディのような御付きは必要ないのではないか?
- よって、本作を見るにあたっては、突っ込みや疑問を持つような斜に構えた態度では決して見てはいけない。ひとつひとつのシーンや流れを「考える」のではなく、「感じて」観るのが、正しいsolaの鑑賞スタイルである。そもそもsolaを考察すること自体が大間違いなのだ。一陣の風のように過ぎ去っていく幻の残り香のような後味を楽しむアニメなのだ。風流人がみれば、それでよしである。