第3回は独自基準によって、solaの評価をする。点数は下記の通り。


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1.ストーリー(18点):

展開/無理のなさ=D

世界観/設定=C

意外性/新規性=B

メリハリ=C

感情移入/揺さぶり=C


2.キャラクター(16点):

主人公=B

茉莉=C

蒼乃=B

準メイン群=C

脇役/その他:D


3.作画(10点):

人物=C

背景=B

独創性=C


4.動画(7点):

人物=C

背景=B


5.演出(10点):

シーン構築/流れ=B

心理描写=C

音声/背景効果等:C


6.OP/ED(7点):

曲=C

動画=B


【総合点】68点

昨夜に引き続き、solaの紹介をしていこう。本作の中核となるトリックとはなにか―。悪役不在のsolaの世界において、元凶はなんであったのか―。本当の被害者はだれか―。そして、視聴者はsolaをどう観るべきなのか―。シリーズ第2回、考察編。


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◇主人公はただの紙きれ

 ネタバレするとsolaの面白さが半減してしまうのだが、感動したので、本作の一番のカラクリを先に書く。主人公の依人は、姉である折り紙使い、蒼乃の作り物だ。つまり、10話まで違和感を感じながらもシンパシーを感じていた哀れなる視聴者は、単なる紙人形にシンクロを行っていたことになる。ハッピーエンドを求めようもない無慈悲な顛末に、筆者も当初、茫然自失となった。

 発覚した場面が実に印象深い。第7話で、依人は失踪した茉莉を探し当てたのだが、あろうことか茉莉をガラスの破片で刺してしまう。「一体なんでこんなことに!?」と筆者も驚いたが、冷静になってみれば、茉莉への嫉妬から、蒼乃が人形のコントロールを回復させたまでであって、不可解でも何でもないことであったのだ。

 第10話では、茉莉が仕返しとばかりに依人を剣で貫く。「その痛みは本当のことを知るためには必要だから!」云々。剣が貫通後、依人の腕は崩壊。紙となり、パラパラと剥がれ落ちるのであった(図参照)。徐倫顔負けのストーンフリー状態である。

図.依人くんの手 (出典:sola 10話)
マンガについて思うこと-paper hand

◇本当に可哀想なのは蒼乃だった

 何故、そんな事態になったのか。せっかちな読者のために手短かに言うと、下記のようになる。

1.遠い昔、蒼乃は夜禍への生贄でした。
2.夜禍(茉莉)と姉弟共々、仲良くなりましたが、弟は災害で死にました。
3.蒼乃は世を儚んで自殺しましたが、茉莉に夜禍にされたので死ねませんでした。
4.それならばと、姉は夜禍の能力で弟を作りました。

 もうお分かりだろうか。結局、すべての元凶は、一時の慈悲の感情をもって、蒼乃を夜禍にしてしまった茉莉にあるのである。この不自然な状況を解消するため、茉莉は自分の命を犠牲に、蒼乃を元通りの少女へと戻した(最終話)。普通の少女に戻れば、勿論、依人もただの紙切れに戻る。まこと不憫なのは蒼乃である。蒼乃ラブ。

 蒼乃が夜禍だったことは、序盤でうっすらと感づくウォッチャーも多かったと思う。後天的な夜禍のくせに劇中では途方もなく強い。所詮、ファンタジーものであるのだが、蒼乃のバトルシーンはなかなかどうして見ものである。対・茉莉戦においては、紙を巻きつけた5m程度の鉄パイプ数本を速射するなど、人外の能力をいかんなく発揮していた。

◇考えるべからず、風味を楽しむべし

 solaは、言ってしまえば先ほどのトリック1つが売りである。そこまで内容も詰めたものではないと筆者は思う。

 まず、過去の時代設定があいまいである。ようするに「夜禍は昔からいました―」というところで設定が終了しており、それ以上の深みは見えてこない。台詞の一部に、数百年前~400年前等の言及もあったが、一体それは日本史でいうと何年にあたるのか。過去遡及アニメの先輩である「Air」にはあった、明瞭な過去を本作は有していない。さらに、一体、茉莉はいつ発生したモノなのか。数百年生きて、なぜ繭子と蒼乃だけ夜禍にしたのか。蒼乃を元に戻したのはいいが、繭子や他の後天的な夜禍はどうすればいいのか。まったく見えてこない。

 能力モノとしても不完全だらけだ。夜禍の祖たる茉莉の能力は、「触れた物体を灰にする・腐らせる能力(に見える)」のみなのだが、蒼乃は「紙の遠隔操作・硬質化可能。1枚1枚に人間1人を上回る力がある。さまざまな物体に変化させることが出来、疑似的な人格を付与できる」と、能力のオンパレードで、内容にまるで統一性・統一条件がない。同じなのは光に弱い点だけである。夜禍になるだけで、そのような強化がされるのであれば、繭子にひげダンディのような御付きは必要ないのではないか?

 よって、本作を見るにあたっては、突っ込みや疑問を持つような斜に構えた態度では決して見てはいけない。ひとつひとつのシーンや流れを「考える」のではなく、「感じて」観るのが、正しいsolaの鑑賞スタイルである。そもそもsolaを考察すること自体が大間違いなのだ。一陣の風のように過ぎ去っていく幻の残り香のような後味を楽しむアニメなのだ。風流人がみれば、それでよしである。

筆者は心配である。あなたが見る世界は、毎日、毎日、かわり映えしない景色。今日も退屈でがっかりしてないだろうか。知らず知らずのうちに、非日常性を追い求めていないだろうか。一般的に、人はそれを渇望し、休暇となれば繰り返す日々から逃げるように旅行に出かけていく。つまり、非日常性を得るためには、(1)日々、過ごしていない空間への移動、(2)日々、体験することはないであろう事象の発生、といった要素が必要となってくる。その2つを満たすアニメ、「sola」を、3回にわたって紹介しよう。旅行に行かずとも得られる「非日常」もある。問おう、なぜあなたは旅をするのか―、と。


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◇不老不死のヒロイン、「夜禍」の物語

 solaは、主人公•森宮依人(もりみや よりと)が、以前紹介したエルフェンリートと同様、特殊性をもつ女の子との出会いがストーリーの主軸となる物語だ。アニメとしては07年春に放送されたが、漫画・小説などの媒体も持ち、どれがオリジナルだという位置づけはしていない。よって、メディアミックス作品として取り上げられることが多い。

 主軸となる要素としては、依人と同世代であるヒロイン・四方茉莉(しほうまつり)が、「夜禍」と呼ばれる吸血鬼のような種族の祖であり、不老不死であるという点が挙げられる。 この2人に加えて、茉莉に後天的に夜禍にされた神河繭子(かみかわまゆこ)や、茉莉との因縁を感じさせる主人公の姉•森宮蒼乃(あおの)を中心に据え、物語は展開されていく。

◇空と闇/青と黒のコントラスト


 タイトルにもある通り、本作のキーワードは「空」だ。依人は空を撮影することを趣味としている。青空、朝焼け、夕焼けと、実に多様な表情をみせる空や雲をスナップすることに生きがいを感じる変な高校生だ。ある日の未明に、いつものように海岸で朝焼けを撮ろうとした依人は、自動販売機を蹴飛ばす少女・茉莉に出会う。

 エロゲーよろしく、2人は急接近する。茉莉に、空の素晴らしさを語る依人。しかし、茉莉は闇の中でしか生きられない夜禍であり、陽の下に出れば、焼かれ死んでしまう。 陽の下に生きる「青い」依人と、夜の中を彷徨う「黒い」茉莉。このコントラストがsolaの物悲しさ、悲哀を一層、際立たせる。

◇ファンタジーな都市空間、長崎

 空、海、町と、ストーリーと妙に調和している本作の舞台は、長崎県長崎市だ。長崎は今更いうまでもないが、西洋文化の潮流を永らく受けている。グラバー園に代表される欧州的な建造物・街並みと、高低の激しい日本の地形が絡み合うことにより、長崎はある種、ファンタジーのような都市空間を構成する。日本中、いや、世界を見渡しても特異な景観が彼の地にはある。そうした景色を見ているだけでも、感じるものが少なからずあるだろう。

 同地に赴いた視聴者であれば、「そこ行ったわ!」と思うシーンがsolaにはいくつかあるはずだ。知らぬ間に聖地を巡礼していた方には一度検証してみてもらいたい。(了)