連続テレビ小説「オードリー」の再放送 ⑫ | 満天の星Lovelyのブログ

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60周年をあれほどに輝かせながら61周年へと繋げていかれた舟木さん、本当にお見事でした!
2023年もこれからもずっと、素晴らしい夢時間を頂けますように・・・。

         連続テレビ小説   再放送 

 

 

          山鹿では、明日の灯籠祭りの準備が進められていた。

 

                                                    椿屋にて

    「花尾先生のお客様と雪の一番のお客様は私だけでお迎えするから」と、大事な

     お客様の特別な頼み事には椿屋主人として最大限の計らいをする滝乃。

    

                                                  TELが鳴った。

     山鹿の駐在所から掛けている、愛子からの長距離電話だった。

 

     受話器の側で(滝乃には見えないのに)、「すいませんでした」と頭を下げる

     君ちゃんとばあちゃん。

 

         美月の声が聴きたいので早く電話を代わってくれるよう、

                愛子を急かせる滝乃。

 

    昨夜突然に養女の話を持ち出したことを美月に謝り、自分の命がなくなっても

    いいくらいに心配して、神様やご先祖様に無事をお願いしたことを伝える滝乃

    だが、美月はうなずくだけなので、滝乃には美月の声が伝わらない。

 

    「君ちゃんもそこにいるのなら、もうお母ちゃまは怒ってないから一緒に京都に

           帰って来てほしい」と滝乃が言ったとき、やっと美月が口を開いた。

 

           「お母ちゃま、、君ちゃんは帰らへん。おばあちゃんと一緒にここで暮らすん

              や。」

               「すんません」「奥様、すんません」となお深く頭を下げるばあちゃん。

               「お母ちゃまも山鹿に来て。すぐ来て」と頼む美月に、「大事なお客様をお

                迎えしなければならない椿屋の仕事があるから、すぐには動かれへんことは、

                美月ちゃんが一番よう知ってるやろ」と滝乃は美月の頼みに応じなかった。

 

      

                「お母ちゃまは椿屋が一番大事なんや。あたしより、椿屋のお客様が、、」

                と乱暴に受話機を置いた美月。滝乃はこれにはかなりショックを受け、「あ

                の子、私を試しているんや。」「山鹿て、熊本の何処?」「熊本まで何時間

                ?」と狼狽は隠せなかった。

 

         駐在所からの帰り、懐中電灯を持ったばあちゃんは君ちゃんの背に負ぶわれて

     夜道を照らし、何だか少し嬉しそう。

  

           美月は「お母ちゃまを試すつもりなんてなかった。何であんなこと言うたんや

           ろ。」と自分を整理できず、愛子とともに複雑な気持ちで暗い道を歩いて帰っ

           た。

 

             君ちゃんの実家で、ばあちゃんの作った「だご汁」の夕食。茄子も美味しい。

 

    「美月ちゃんは、英語も出来るんやで。茄子は英語でなんて言うんだった?」     「 eggplant  」「~~凄いやろ?パパさんは半分アメリカ人、うまさん(お

     よめさんの意味?)かて、外人さんみたいにスタイルはええし、別嬪さん

     やろ、なぁ。」と君ちゃんが奉公先の美月お嬢様と家族の自慢をする。

 

                再び、椿屋では

    テーブルに二人分の食事の用意がしてあり、黒田社長が勝新太郎と市川雷蔵の

    来訪を待っている。

               「遅おすなぁ、勝先生。」

 

      

    「気まぐれやからなぁ。けど夏にヒレ酒とは恐れ入ったな。お滝、困らせよう

     ちゅう魂胆や。何なと言うてみぃ。もう帰ると言い出すで、絶対。」

    「 ” てっちり ” 言われたらどないしよう思うてましたけど、ヒレ酒なら何とか

               、、。」

 

 

           「さすがお滝や。頼むで。何を言い出しよるか分からんからなぁ、あの男は。

              あんたが頼りや。」

 

                  話しながらも滝乃の頭からは、美月の言葉が離れない。

                         「お母ちゃま、山鹿に来て。すぐ来て。」

       「お母ちゃまは、椿屋のお客様が一番大事なんや、私より、、。」

 

               勝新太郎と雷蔵は来たようだが、       

            「どないしよう。お客様はほっとかれへん。」

 

   「オードリーはあんたを試すような子ではないし、無事見つかって、愛子もいる

    ことだから」と春夫はなだめるが、このままだったら美月はもう椿屋にも京都

    にも戻って来ないのではないかと滝乃の心配は尽きない。

 

                柱時計が10時を打つ頃、 

   「勝先生も雷様も、いつまで居はるやろ。明日も忙しいし、どないしたらええん

   やろ。」と言いながら、夜食のおにぎりを作る滝乃。

 

               

 

        「お母ちゃまは、私より椿屋のお客様が大事なんや」という美月の声が聞こえる。

          ぼ~ッと夜汽車の汽笛が聞こえている。

 

               山鹿の君ちゃんちでは、

           11歳ではまだまだ抱えきれない思いをいっぱい胸に収めている我が子を思い、

 

             外に出た美月の髪をそっと撫でる愛子。

 

                 

            君ちゃんは、ばあちゃんに 「これからはずっと一緒にここで暮らそう、うちは

    もう京都には戻らない」と告げる。

    「こらえてはいよ。すまんかったねぇ。」「昔んこつは、もうよかけん。」

            「こらえてはいよ。こらえてはいよ。」

 

              並んで寝る美月と愛子。

    美月はママが迎えに来ただけではダメなのか、ママと一緒に京都に帰っては

    くれないのかと訊いて、また美月を追いつめてしまったと自分を責める愛子。

 

           翌日、君ちゃんの誕生日でもある灯籠祭りの朝。

 

    「あ~たがいつか帰ってくる思うち、縫うとったったい、誕生日おめでとう。

     今晩、これば着て踊んなっせ。」

       いつかこの日のためにと仕立てていた浴衣を、ばあちゃんはやっと渡すこ

               とが出来た。

 

           「おおきに、ばあちゃん。美月ちゃんの物語とおんなじや。」と喜ぶ君ちゃん。

              「ほんまや、よかった、君ちゃん。」

    ”美月の物語”を知らないママには、「今晩、灯籠祭りがあんねん。それ見て京

    都に帰る。」と伝え、「ほんと?」と弾む声のママ。

 

             外で、車の止まる音がした。

     

             転がるように滝乃が車から降りてきて、

 

           側に、梓を負ぶった春夫が立っていた。

 

    美月と愛子が家から出てきて、君ちゃんとばあちゃんは「すんませんでした」

    「奥様、ほんま、すんませんでした」と土下座する。滝乃は少し厳しい顔で、

    「出ていけ言うたんは私や。けど、美月ちゃんを連れていけとは言わへんかっ

    たえ。」「すんませんでした。」

 

    「おおきに、君ちゃん。美月ちゃんが無事やったのは、あんたのお蔭や。おお

     きに。おばあちゃんに孝行して暮らし。もちろん、椿屋に戻って来とうなっ

       たら、いつでも歓迎や。」

 

              お母ちゃまのところへ走っていきたかった。 けど、ママのことを思うと

     、、。