舟木一夫 特別公演 通し狂言 『 忠臣蔵 』
2017.12.2(土)~12.24(日) 新橋演舞場
後編 雪の巻
まとめ(8)
<第四場> 南部坂浅野家
「雪の別れ」 (元禄十五年十二月十四日。雪)
B 表 (続く時刻。雪)
C 再び、仏間 (夜更け)
後編 雪の巻 まとめ(7) 3/18
幕 前
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/b9/6f/j/o0222015414482510183.jpg?caw=800)
浅野 内匠頭 : 尾上 松也
檜 川 : 尾上 徳松 ![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/c0/87/j/o0145018014482510193.jpg?caw=800)
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/c0/87/j/o0145018014482510193.jpg?caw=800)
花道にて
(内匠頭) 檜川様。 お手数ながら、お控えくだされ。
(檜 川) はは。
(内匠頭) 風さそふ 花よりもなを われはまた
(檜 川) われはまた
(内匠頭) 風さそふ 花よりもなを われはまた
春の名残(なごり)を いかにとかせむ
(檜 川) 春の名残(なごり)を いかにとかせむ
確かに、お控え致しました。
(内匠頭) この辞世と、私が腹を切った後の9寸5分を、赤穂におる大石内蔵助
という国家老にお渡し下され。 ![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/45/7d/j/o0060010514482510197.jpg?caw=800)
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/45/7d/j/o0060010514482510197.jpg?caw=800)
(檜 川) 大石内蔵助様でございますか。
(内匠頭) そうじゃ。
(檜 川) 承り申した。
如何あそばされました。
(内匠頭) 吉良は? 吉良殿の傷は、、。
(檜 川) 命に別状あるまじと、もれ伺うております。
(内匠頭) 命に別状なしと、、、。
いざ~
内匠頭、 切腹に向かうため、うつむいて花道を下がっていく。
A 仏間 (午後)
キャスト
瑤泉 院 : 長谷川 かずき
戸田の局 : 長谷川 稀世
桔梗: 川上 彌生
(赤穂のわらべ歌)
手まり つくかや ひいふうみいよう 今年ゃ 数えで五つとよ
![イメージ 4](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/dd/a2/j/o0150011214482510202.jpg?caw=800)
赤子むずがる はやはや帰ろ
やさし 母(かか)様 夕仕度
浜の潮風 そよろとおいで
![イメージ 5](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/64/4a/j/o0163022514482510209.jpg?caw=800)
(瑤泉院) 気をまぎらそうとして、口をついて出るのは赤穂の
わらべ歌ばかり。
かえって、里心がついてなりませぬ。
戸田はよいのう。
(戸田局) 何故でござります?
(瑤泉院) 私の代わりに赤穂のしょうふく寺へ参った折、山科
へも行ったのであろう?
![イメージ 6](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/75/c9/j/o0173020914482510216.jpg?caw=800)
(戸田局) あれはもう、1年も前のことでござります。
山科では、りく様とお子様にはお目に掛かり
ましたが、内蔵助様には残念ながら、、、。
(瑤泉院) あれから1年半、、。 昨日と同じ今日、、、今日と
変わらぬ明日、、、まるで、時が止まったようじゃ。
(戸田局) また、そのようなことを、、。
今日は殿の月命日。
殿がお好きであったように、賑やかに笑うて過ごしましょう。
そう仰られたのは、お方様でございますよ。
(瑤泉院) そう、、そうであったな。
賑やかに笑うて、殿のお帰りをお待ちいたしまする。
お帰りになられましたら、二人、たんと口げんかを致しましょう。
(桔 梗) お方様、ご家老の大石様がおいででございます。 ![イメージ 7](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/7e/1a/j/o0184025314482510222.jpg?caw=800)
![イメージ 7](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/7e/1a/j/o0184025314482510222.jpg?caw=800)
(瑤泉院) まぁ、内蔵助が、、、?
戸田、どうしましょう。
(戸田局) どうすると申されましても、今日は殿の月命日。
ともかく、殿のお位牌の前でお手をお合わせになって。
(瑤泉院) これでよいか?
(戸田局) そのようにニコニコなされましては。
もう少し、淋しげに。 もう少し、、。
はい、そのように。
(内蔵助) 長のご無沙汰、申し訳もござりませぬ。
(瑤泉院) 内蔵助、待ちかねましたぞ。
構わぬ。 近う。
(内蔵助) ご尊顔を拝し、恭悦至極に存じ奉りまする。
(瑤泉院) 私も嬉しいぞ。
どうじゃ、達者で暮らしておるか。 ![イメージ 9](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/24/62/j/o0106009214482510229.jpg?caw=800)
![イメージ 9](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/24/62/j/o0106009214482510229.jpg?caw=800)
(内蔵助) は。 (桔梗がお茶を運んでくる)
はて、見ぬ顔じゃな。
(桔 梗) はい、この夏より、お側にお仕えしております。
(内蔵助) 名は?
(桔 梗) 桔梗と申します。
![イメージ 8](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/c7/89/j/o0606045814482510236.jpg?caw=800)
宮仕えと相なり、本日はお暇乞いに参上仕りました。
(戸田局) え? 暇乞い?
お待ち下され。
殿のご恩をお忘れか、仕官の口などと。
(内蔵助) お言葉ではございますが、内蔵助も人の子。
たつきが立たねば、心ならずも再度の宮仕えとなりましょう。
![イメージ 10](https://stat.ameba.jp/user_images/20190627/11/mantennohosilovely/1f/11/j/o0262035914482510243.jpg?caw=800)
(内蔵助) 面目次第もござりませぬ。
(戸田局) 何ということじゃ、他家に宮仕えとは。
久し振りに顔を見せたと思うたら、一体どこの藩へ、、、
え? え?
(内蔵助) そのようにきつく問われましても、、、。
さる西国の藩とのみ、お伝えしておきましょう。
(続 く)