「淋しい町」 | 満天の星Lovelyのブログ

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60周年をあれほどに輝かせながら61周年へと繋げていかれた舟木さん、本当にお見事でした!
2023年もこれからもずっと、素晴らしい夢時間を頂けますように・・・。

                         「 淋しい町 」
 
 
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       作詞: 丘 灯至夫         
       作曲: 遠藤 実                                1963年(昭和38年)8月                            「修学旅行」B面として発売
 
                                          ♪ ひとりぼっちの旅の子にゃ
        淋しい町だな この町は~ 
 
 
     ♪ どこか妹に よく似てる
        声をかけよか お下げの子 
 
 
     ♪ スーツケース に入れてきた
        夢も散り散り 夢も散り散り
                 夜が更ける

 
     舟木一夫のデビュー曲「高校三年生」は大ヒット!
     当面は学園ソングで行こうと方針が決まったのだろう、この曲と次の9月発売「学園広場」
     まで、高校生活を題材にした曲が立て続けに発売された。
     何だか、この3曲が同時期に一塊になって  ヒットしていたような記憶がある。
 
 
     テレビの歌番組では、この3曲が何時も流れており、修学旅行の汽車の車窓を眺めながら 
     口ずさんだり、遠足のバスの中でも歌ったような、、。
 
     現実の中学生活にこれほど夢があったり、花が咲き乱れるような学園広場があったわけで
     はない。  修学旅行に行っても、小鳥の群れが後を追ってくるような湖畔の宿があったわけ
           ではない。
 
     ただ、 こんな学園生活があれば楽しいだろうなぁと、 学生服の清潔で誠実そうなちょっと
           兄貴分の青年に夢と憧れを託していた、といえるだろう。
     田舎の少女は彼の学生服に、一瞬にして高校生活への夢と憧れを抱き、瞬く間に舟木一
           夫の虜になった。
   
 
     さて、その兄貴分の舟木さんが、スーツケースを下げて町に降り立つ。
     どこか遠くへ行こう、とただそれだけで旅に出たのだろうか?
     何とくなく惹かれるものを感じて途中下車でもしてみたのか。
 
     でも、見知らぬ町には見知らぬ人ばかり
     妹に似ているお下げの子が一人、、、。
 
     この曲を聴いていた頃、何も思わずに聴いていたが、今はちょっと疑問が湧いてくる。
     何故、妹に似ている子に目が留まり、あの娘の面影を持つ子は探せなかったのか。
     きっとまだ、面影を求めて探すほど好きな娘がいなかったのだろうけど。
 
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   デビューしたての舟木一夫が歌っていた学園ソングの、      
   その主人公は、君たちであり僕たち、そして仲間   
   たちであった。”水色の人”も”夕月の丘に立って
   野ばらの歌を歌っていた乙女”も、名も知らぬままに、   
   面影を偲ぶだけだった。
 
   39年1月に出た「叱られたんだね」は長い睫毛の
   えくぼの愛らしい少女に向けて歌った曲だが、
   ヒットしなかった。                                                                              昭和39年1月発売
   ”僕らの仲間舟木一夫”に、特定の彼女を歌わせる          
     ことはまだ早かったのか。                        イメージ 3
   彼はまたしても「あゝ青春の胸の血は」で青春賛歌を歌い、
   「涙の敗戦投手」で同世代の共感を得る。
   「君たちがいて僕がいた」 でも、向き合うのは「君たち」 と「僕」
   である。
   
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                                              昭和39年1月発売                    昭和39年3月発売                  
 
 
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                                    昭和39年3月発売
 
 
   やっと「まだ見ぬ君を恋うる歌」で、やがてこれから出会う
   であろう女性への思慕を募らせる。  イメージ 6                                                                                         昭和39年6月発売
   それでもまだ女性の具体的な像は結ばれていない。 
 
 
   「花咲く乙女たち」では、もうその憧れは散ってしまう
   ことさえも知っている。それでもなお憧れる。
 
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       昭和39年9月発売                       昭和40年3月発売
 
 
    舟木一夫が実体を持った特定の女性に会うのは「北国の街」
    の志野雪子の登場まで待たねばならない。             
    デビュー以来1年9ヶ月。丘灯至夫先生も舟木一夫の恋人を
    受け入れるファンの成長を、じっくり待って下さったのかも知れない。                                                 
                                              
                                                            
    だから「淋しい町」では妹は登場しても、まだ ” あの娘 ” は登場してこない。 
    登場できないのだ。
                 
    ♪ スーツケースに詰めてきた 夢も散り散り 夢も散り散り  夜が更ける~ 
    の状況はどう考えてもはっきり判らなかったけれど、
    ” ~夢も散り散り ~ ” がその頃、どういうわけか気に入ってしまった。
    そして、夜更けて暗い見知らぬ街を歩く彼に、”終電に乗り遅れたら、今晩のホテルは
         大丈夫なの? ” と心配していたことまで、はっきりと思い出した。
   
 
    今さらとも思うが、自分の中の舟木さんのデビュー時B面曲を辿ってからでなければ、
        「WHITE」まで行き着けない気がした。
 
    デビューから2年近く、ファンは舟木さんが淡い恋心を抱いた名も知らぬ女性のみを
         受け入れてきたのであって、” 恋人 ” は受け入れなかった。
    初めて 「 志野雪子 」 が受け入れられたということは、ファンもそれなりに成長し、又 
         「 小島海彦 」 を恋する 「 志野雪子 」 がそれほどに素晴らしい女性だったからだろう。
 
    それゆえ、「淋しい町」 はどこまでも 「淋しい町」 でしかあり得なかった。