<<<はじめに>>>

区分所有法の改正要綱案がまとめられ、政府は1月26日の通常国会に提出する見込みです。
新しい法案が成立すると20年ぶりの大改正となります。



<<<内容>>>

現行の法では所在者不明の場合、反対票として扱っておりました。そのため建替や修繕に必要な賛成票が集まりにくく、過半数の確保が難しい状況です。

新しい法案では出席者のみで決議を取れるように改正する予定で所在不明や興味がない方は「除外」という形になります。
また、より合意が難しい建替についても現行法では区分所有者の5分の4以上の賛成がない場合、建替を行えませんでしたが、改正案では所在不明を除く4分の3の賛成で可能となりました。(耐震性・防火性・外壁・給排水設備・バリアフリーのいずれかに客観的な問題がある場合)

(日本経済新聞より引用)




<<<現状>>>


全国のタワーマンションはこれまで1400棟近く建設されてきましたが、そのうち400棟は竣工から20年以上経過しております。一般的に鉄筋コンクリートのマンションの寿命は60年と言われ、今後数十年経つと社会的な問題になり得るかもしれません。


加えて、湾岸タワーマンションなどの所有者は3割近くが海外の方と言われております。
所有者の方と連絡がつかない場合、現行法では修繕・建替もできないためこの先を考えると今回の法改正は大きな進展と言えるのではないでしょうか。



<<<デベロッパーの動き>>>

都心マンション価格は新築・中古ともに高騰しておりますが、その理由の一つにマンション用地が限られてきたことがあげられます。
用地がなくなってきたからこそ、今後は建替事業が増えることが見込まれます。
現に野村不動産のプラウドタワー渋谷、旭化成不動産のアトラス麻布台、阪神阪急不動産のジオグランデ白金台など多くのデベロッパーが建替事業に力を入れ始めております。

以前にもお伝えいたしましたが、新築マンション供給数は減ってきています。その流れは今後も大きくは変わらないことが予想されます。
2024年以降も都心の超一等地に超高級マンションは供給され続けると思いますが、坪1000万円以上は当たり前の世界になると思います。
このように一定数、新築マンションは供給されていくもののそれでも用地には限りがあります。そのため、今回の改正要綱案が新しく成立した場合、デベロッパーにとってメリットが大きいです。莫大な金額で土地を取得するのではなく建替事業で規制緩和を受けながら大規模マンションに建て替え、相場と乖離しない価格で新しく住戸を販売していくというスタイルができるからです。