元裁判所職員の走り書き -2ページ目

裁判所職員の度重なる不祥事

https://www.fnn.jp/posts/00420565CX/201907101204_CX_CX
https://mainichi.jp/articles/20190711/k00/00m/040/232000c
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47352860U9A710C1CZ8000/

駅での盗撮、裁判所内トイレでの盗撮、民家の盗撮と、立て続けに裁判所職員による不祥事が報道されました。
松山地裁の件は、逮捕が今月ですが、犯行自体は5月23日のことだったようです。
最高裁の秘書課の職員が、同時期に2人も盗撮で逮捕されたのは、もはや異常自体です。
特に、伸び縮み棒で女性の自宅を盗撮した職員に至っては、直前に、同じ秘書課の職員の逮捕の報道がされた後ですし、知らずにやったなんてことは考えにくく、おそらく精神的に問題があったのではないかと思います。

裁判所の職員は全国に25,000人近くいますし、時々、不祥事が起こることはありますが、ちょっと頻度が高いです。
ネット上では、盗撮サークルでもあるんじゃないかと言われているようですし、裁判所に対する信頼が揺らぎかねない問題だと思います。

秘書課で連発していることについては、最高裁もいろいろ考えさせられるところでしょうか。
しかし、勤務時間外の行動について、裁判所で管理することは困難です。
ましては、表に現れない性的な嗜好について把握することは、個人のプライバシーの観点からも不相当だと思いますし。

おそらく、これを機に、裁判所内では、注意喚起が行われたり、さまざまな研修の機会を捉えて指導等を行うことになるとは思いますが、その効果がどこまであるかは疑問です。
また、精神的に参ってしまって、正常な判断能力が欠けてしまっている状況になっている人がそんな指導を受けたところで意味はないでしょう。

しかし、最高裁は激務だと言われることも多いです。
彼らが現実にどの程度の繁忙状況にあったのかはわかりませんが、過労の状況にあったとすれば、最高裁にもその責任があると言われても仕方がないかもしれません。

働き方改革が叫ばれる時代ですので、適切な労務管理がなされていることを切に願います。

最高裁人事(令和元年6月11日付け)

依願退官(広島高裁岡山支部長)松本清隆
広島高裁岡山支部長(広島高裁岡山支部部総括)橋本一
広島高裁岡山支部部総括(千葉地家裁松戸支部部総括)塩田直也
千葉地家裁松戸支部部総括(東京高裁判事)齋木利夫

最高裁判事の任命予想

最高裁の山﨑敏充判事の定年退官が令和元年830日と、あと2か月ちょっとに迫っています。

そこで、公認の最高裁判事の予想を含め、いろいろ分析してみたいと思います。


まず、最高裁判事は長官を含め15人いますが、そのうち裁判官出身者枠が6、検察官出身者枠が2、弁護士出身者枠が4、学者出身者枠が1、行政官出身者枠が2というのが、ここ数十年固定されています。


山﨑判事は裁判官出身ですので、後任も裁判官出身者になることが確実。(もちろん、任命権者である内閣で思惑があれば、そうじゃなくなることもありうるかと。)


裁判官出身者は、ほぼ高裁長官から最高裁判事になっています。例外は、戦後、最高裁判所が創設された当初を除けば、数名だけ、最高裁事務総長や地裁所長、高裁部総括から任命された人がいます。

高裁長官といっても、東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松の8庁がありますが、このうち、札幌、高松高裁長官からは、直接最高裁判事になった人はいません。東京が25人、大阪が21人、名古屋が3人、広島が1人、福岡が4人、仙台が2人です。


次に、最高裁判事になる人の主なキャリアですが、よく言われるのが、最高裁事務総長、司法研修所長、最高裁首席調査官の3つのポストの経験者がなりやすいと言われています。

たとえば、2000年以降に最高裁判事に任命されたのは、全部で町田顕元長官から深山卓也判事までの20人いますが、事務総長経験者が7人、司法研修所長経験者が3人、最高裁首席調査官経験者が3人、いずれも経験がない人が6人となっています。

いずれの経験もない6人については、事務総局の局長経験者が3人、法務省民事局長経験者が2人、それらの経験がない人が1人となっています。


そこで、これらの経歴的な分析から、まずは現在の高裁長官について見ましょう。

1)東京高裁・林道晴長官(34期)(退官予定日:令和4830日)

民事・行政局長、経理局長、静岡地裁所長、最高裁首席調査官を歴任しており、最有力候補と言えます。在任期間も1年半ほどですので、問題ありません。


2)大阪高裁・安浪亮介長官(35期)(退官予定日:令和4418日)

人事局長、静岡地裁所長、東京地裁所長を歴任しています。上記3ポストの経歴はありませんが、東京地裁所長の経験もあり、経歴的には十分ですが、まだ半年ほどの在任期間のため、少し早い気がします。


3)名古屋高裁・綿引万里子長官(32期)(退官予定日:令和251日)

最高裁上席調査官、宇都宮地裁所長、横浜家裁所長、札幌高裁長官を歴任しています。経歴的には、やや弱いところもあるのですが、この人がなるとしたら、裁判官出身者枠で、女性初という肩書きです。今年の初めまでは、女性判事が小法廷ごとに3人いたのが、次々と定年を迎え、女性が1人しか残っていないことから、女性判事を増やしたいという思惑が働くのであれば、この人しかいませんので、高裁の林長官のかなり有力な対抗馬(失礼ですかね?)と言えるでしょう。


4)広島高裁・大門匡長官(34期)(退官予定日:令和21018日)

千葉家裁、横浜家裁、東京家裁を歴任していますが、3ポストや最高裁事務総局の局長経験がなく、家庭局の課長経験しかないことがネックです。在任期間は、もう少しで1年なので、ギリギリセーフでしょうか。


5)福岡高裁・小林昭彦長官(33期)(退官予定日:令和224日)

東京地裁の民事の所長代行、仙台地裁の所長を歴任していますが、大門長官同様、3ポストや局長経験がありません。内閣官房や法務省の出向歴がありますので、そちらでややカバーされるかといったところでしょうか。安倍内閣の好きなお友だち人事であれば、内閣官房時代が、第1次安倍政権と被っているので、その辺で接点があるとチャンスがあるかもしれませんね、邪推ですが。


6)仙台高裁・秋吉淳一郎長官(34期)(退官予定日:令和2918日)

最高裁上席調査官、仙台地裁所長を歴任しています。この方も、大門長官、小林長官同様に3ポスト等の経験がありませんが、最高裁調査官や司法研修所教官が長いので、可能性はなきにしもあらず。


7)札幌高裁・植村稔長官(34期)(退官予定日:令和2719日)

刑事局長、甲府地家裁所長、横浜地裁所長を歴任していますが、3ポスト経験はありません。しかし、そこは問題ないでしょう。これまで札幌からの最高裁判事の任命がないことに加え、在任期間がまだ1年に達しないので、可能性の低い候補となるでしょう。さらに、定年まで1年ほどしかなく、そこでさらにもう1ポスト高裁長官をやるのも難しいでしょう。


8)高松高裁・秋葉康弘長官(33期)(退官予定日:令和2111日)

福島地裁所長の経歴を除けば、最高裁判事候補として有力な経歴は少ないと思います。司研教官や高裁事務局長くらいですね。また、高松高裁は、かなり小さい高裁で、これまでも最高裁判事に直接なられた方がいない(間接的にもなられた方はいないと思います。)ので、可能性はかなり低いと思います。定年まであと半年ちょっとですし。


次に、近年の傾向では可能性が低いですが、3ポストの現職を分析してみます。

9)最高裁・今崎幸彦事務総長(35期)(退官予定日:令和4119日)

経理局長、水戸地裁を歴任しています。


10)司法研修所・永野厚郎所長(35期)(退官予定日:令和347日)

民事・行政局長、前橋地裁所長を歴任しています。


11)最高裁・尾島明首席調査官(37期)(退官予定日:令和5831日)

最高裁上席調査官、静岡地裁所長を歴任しています。それに加えて、小林長官同様、第1次安倍政権時代に、内閣法制局勤務があります。



ここからは、完全に予想の話になりますが、山﨑判事の後任候補は、高裁の林長官と名古屋高裁の綿引長官の一騎打ちというところではないでしょうか。裁判官としての経歴だけでいえば、十中八九、林長官なのですが、女性初というラベルはかなりの付加価値だと思うことと、林長官は長官の中では若いので、次のチャンスもあると言えることなどから、64で綿引長官が有利かな、と。

実は、女性初は、ここを逃すの、候補になりそうな人も限られているというのがありまして。

それと、山﨑判事の次に定年を迎えるのは、小池判事の令和372日、大谷長官の令和4622日、菅野判事の令和472日となっていて、難しい問題なのが、綿引長官が後任となった場合、林長官と安浪長官以外は完全にチャンスがなく、林長官が先になれば、安浪長官もないということになります。その辺の先の玉突き人事を考慮すると、高裁長官が滞留しないためには、綿引長官ではなく、林長官という選択肢になる可能性もあると思います。


などと、完全に個人的な分析でした。

裁判官の依願退官(令和元年6月10日付け)

依願退官(神戸地家裁姫路支部判事)村上泰彦


本日付けで退官されました。
記事を見てもらえばわかりますが、当事者のトラブルを仲裁しようとして、当事者らを突き飛ばしてしまい、最終的には罰金10万円の略式命令を受けた方です。

報道だけでは、村上裁判官に落ち度があったのかわかりませんが、少なくとも裁判所の庁舎内でのトラブルなので、本来は、法廷警察権か庁舎管理権に関わる問題かと。

警備の経験上は、要警備案件なのか振り分けて適切に準備する必要があったこと、それが出来ていないときにトラブルが発生したときには、当該庁で定める危機管理マニュアル等の手順に従って、適切に対応する必要があったと思います。

そういうことをせずに、直接手を出して止めようとしたことは問題だと思いますが、子どもが間にいて、子どもへの危険を感じたのであれば、やむを得ないことだったような気もします。

しかし、今回は略式で暴行罪の成立を争わなかったようなので、ご本人は自らが正しくなかったと思っているのかもしれませんね。

ただ、組織としては、このような方を守ってあげられないのかと、ちょっと残念にも思います。

いずれにしても、裁判所が組織として、裁判官を含む職員に対して、危機管理対策をきちんと教え込んでいないことは問題だと思いますので、当局は、改めて危機管理の重要性を職員に徹底しておくこと、さまざまな事案に対応できる予行演習のようなことを実施していくことが必要だと思います。

最高裁人事(令和元年6月7日付け)

静岡地家裁沼津支部判事補(岡山地家裁判事補)青木勇人