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"ほくたちは、どんな時でも へこたれないことにしよう。へこたれるということは二重に負けたことになるのだ 負けた上に へこたれたらだめだ。僕たちは二重に負ける いくじなしであってはならない"(『次代を担う少年少女たちへ』南洋一郎)
これは、僕の恩師が戦後、児童向け雑誌の編集長をしていた時、廃刊となる最終号に掲載された詩です。
その雑誌には上記の南洋一郎をはじめ、海野十三、野村胡堂、山岡荘八など、戦前からの人気作家が書き下ろし、樺山勝一、小松崎茂がイラストを描きました。
漫画家の手塚治虫は「何か特別な情熱みたいなものを感じた」と、掲載を願ったといいます。
さらに、恩師の"子どもたちに勇気を!正義の心を!"という情熱に動かされた西条八十、横溝正史の新連載も決まり、まさに順風満帆にみえました。
しかし、時は戦後の混乱期。GHQによるドッジラインでデフレ不況が始まり、ことごとく中小企業は苦境に追い込まれました。
Joseph Dodge
加えて、戦前からの大手出版社による雑誌の創刊・復刊が続き、出版物は生産過剰に陥ったのです。
結局、1949年12月をもって休刊。恩師21歳、わずか7ヵ月あまりの青年編集長。少年期からの夢は途絶え、人生最初の挫折を味わうことになりました。
しかし、"負けた上に へこたれたらだめだ"…恩師は、この時、一人密かに再起を誓ったそうです。
因果倶時
その後、紆余曲折を経た1972年。恩師の出版社の雑誌に、手塚治虫の『ブッダ』は連載されることになりました。
『ブッダ』は、2004及び05年にはアメリカで漫画のアカデミー賞といわれる『アイズナー賞』最優秀国際部門賞を受賞、2011年には映画も公開されました。
恩師は文筆家として『ブッダ』を書きました。それは手塚治虫との共鳴のようです
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