毎月最終金曜日のお約束
今月は8月26日
暑い。しかも今年は雲が変だ。暴力的でさえある。青空がにわかに雲で覆いつくされ、灼熱だけが地表に充満していると、フライパンで蒸し焼きにされているかのごとき錯覚に陥る。
さて、どうでもいいことのようではあるが、私は、トルコの民俗舞踊のひとつである「チフテテリ」について、なぜか専門の方々の中に「シフテテリ」と呼ぶ方がけっこうおられるのに長いこと違和感を抱き続けてきた。たとえば、インドに造詣の深い方ならは、いまだにマスコミで使われる「ヒンズー語」なる呼称に不快な思いをされる方も多いであろう。おれ、インドもトルコも関係ねえよ、というあなた、じゃあ「東京ジズニーランド」はどうですか。「デエブイデエをみたんだがね」と爺さんに言われたら馬鹿にするのではありませんか。
で、あんまり「シフテテリ」派が多いものだから、気になって少し調べてみた。が、シフテテリなる呼称をいまだ発見できていない。
元来この踊りはキョチェックと呼ばれる旅」芸人によりオスマン宮廷をはじめとしてトルコ各地に広まったもので、後にベリーダンスの演目にも取り入れられたといわれる。隣国ギリシャでもまた、かつて500年間オスマン帝国領だったためこの踊りが伝わっている。というか発祥は古代ギリシャの宗教舞踊とも言われるが、いずれにせよやはり「チフテテリ」または「ツィフテテリ」と呼ぶようである。ちなみにつづりはトルコではÇiftetelli、ギリシャ語表記は不明だが、あえてアルファベット表記にすれば「Tsifteteli」であろうか。もともとトルコ語で一組の金糸(銀糸)の意味だが、語源は定かでない。たぶんトルコ語のÇiftetelliがギリシャ語に入ったのだろうと推測するが、その逆かもしれない。今のところ定かでない。たとえはトルコのアジア側の領土である「アナトリア」をトルコでは「アナドル」(母の懐)と呼ぶので、これが語源だろうと思っていたら、古代ギリシャですでに「日が昇るところ」の意味で『アナトリア』と呼ばれていたらしい。とすればこちらが語源ということになる。古代ギリシャを受け継いだビザンチンをさらに受け継いだトルコの地名に、イスタンブルをはじめギリシャ名をもとにしたものが大変多いことを踏まえると、チフテテリ、もその類かも知れぬ。いずれにせよ、「シフテテリ」という呼び名はいまのところ、発見されていないし、すくなくともこの舞踊の発祥の地であるトルコとギリシャで「シフテテリ」という呼称は使われていないのである。
「カルシラマ」についても、トルコ語では「Karşılama」であり、日本語で表記するならば、「カルシュラマ」が適当であろう。ギリシャではあるいはカルシラマと呼ぶ可能性を否定しないが、むしろトルコ語特有の表記である「ı」を「イ」と誤って発音してしまったためではなかろうか。これはアルファベットにもある「i」とは異なる音で、あえて日本語表記するならば「ウ」であろう。したがって『カルシュラマ』となる。その意味は歓迎、出迎え、もてなし、などの意味で、ルメリ地方で特に盛んな舞踊である。カルシュラマ=9拍子という誤解もあるが、たしかに9拍子の曲が多いものの、4拍子のメルズイフォンカルシュラマスや、9拍子といっても2+3+2+2のギレスンカルシュラマスなどもあり、かならずしも特定のリズムに限られるわけではない。要するに踊りのジャンルなので、9拍子のリズムということでならばアクサック(不具者の意)が適当であろう。しかしこれとても「つまずくような感覚」を意味するので、いわゆる業界で比較的おなじみの2+2+2+3が主であるとはいえ、2+3+3の8拍子などもアクサックと呼ぶ。エーゲ海地方の民謡ゼイベッキは大変ゆっくりした9拍子だが、これをアクサックと呼ぶのか、定かでない。いずれにせよ、踊りの感覚と深く結びついたものと考える。
どうですか。すこし涼しくなってきましたかな。
タール砂漠の砂が眠りから覚めて起き上がったように、要塞都市ジャイサルメールは昔と変わらぬ優美な姿で国境線を見下ろしていた。しかし町の中は24年前となにもかもが変わっていた。龍二が当時投宿していたゲストハウス『ラムラム』の支配人のガンガーはラジャスタン解放軍の兵士となって、西部地区駐屯地にいたし、キャメルサファリのガイドとして龍二を砂漠の村に案内してくれたアマルディンは、ムスリム連合軍の指揮官の一人だった。土産物屋で、この地方特有の文様をあしらったベルトを商っていたローヒットは半年前にインド軍に入隊し、旅行代理店のアザドはパキスタン軍のスパイとなっていた。住民は四つの勢力に分かれ、誰が敵か味方かわからぬ疑心暗鬼の中で息をひそめながら、早晩起こるであろう破壊のときを待っているように思えた。
カムラサペラは龍二の訪れを予期していたように、オレンジのペチコートと青のロングスカートのいでたちで手提げかばんを持ち、玄関に立っていた。あでやかな衣装に比べた肉体の印象の薄さは相変わらずであった。龍二は以前どこかで同じ光景を見たような気がした。
「昨日来たわ、ジャイプールから鳩が」
「カーン老人の指示でね。君に会う必要ができた」
「前に見たことのある光景だなんて思わないで。すべては新しい体験なのだから」
カムラは龍二の心を見透かしたように言った。
「行きましょう。夫は今いない。国境でパキスタン軍と戦闘中よ。去年国境警備隊」に入ったの」
「かまわない。ここを出よう。すべてはあの老人の指示通り。ジャイプールに帰るのだ」
「カーンはひとつだけあなたに話してないことがある、と書いてたわ。この町はもうすぐ内戦になるって」
人ごみを掻き分け、シルクロードの時代に立てられた隊商宿にたどり着いた。従業員は誰もいなかった。
「もうすぐここにインド軍が進駐してくる。少しの間だけ、体を休めたい。この24年いろんなことがありすぎたから」
窓の割れた部屋にはむき出しの木のベッドがひとつあるだけで、強烈な午後の太陽がさえぎるものもなくふたりを刺した。
「不思議だ。まるで印象の薄い君に磁石のように吸い付けられていくのはなぜだ」
「あなたはわたしなの。わかった?24年前のあなたは見えるものしか見えなかった。自分に起こっている感覚にふたをして、作り上げた幻想にひきこもっていただけなの。ラジキという幻想に」
「ラジキ、、、、君の姉でサペラ随一の踊り子だったラジキ」
「そう、あなたは私たち姉妹にプレゼントをくれた。姉にはセイコーのブレスレット式の金時計を、わたしには犬のぬいぐるみを」
「君はまだ子供だったからね」
。わたしはあのとき隣村の男に嫁がされることになってたのよ。ある事件がきっかけでね。あったこともない二十歳も年上の男のもとに」
沈黙の中で二人は接触し、息と熱が絡まりあった。
「この湿度はなぜ懐かしいのだろう」
「だめよあなた、目を閉じて。耳をふさぐの。ラジキ=女の幻想と縁を切るために」
龍二はカムラの用意したアイマスクと耳栓をつけた。彼の視聴覚は停止し、女の皮膚の下の柔らかな細胞の息遣いまでがたちまち触覚に伝染してゆくのが感じられた。そこに器官があることさえ忘れられ、全身の細胞膜がもうひとつの細胞膜に入り込もうとした。突然カムラが龍二を突き飛ばした。耳栓が取れた。
「どうしたんだ、カムラ、いったい」
アイマスクをはずして龍二が叫んだ。
「どうしたんだろう、やっぱりだめなんだ、わたし」
「だめって、なにが」
「ゆがんでるの、わたしも。あなたとは違う症状だけどね。わたしにはあれが必要なの。リュウジ、ここじゃだめ。砂漠につれてってちょうだい」
庭先で大きな物音がした。百人ほどのインド連邦軍が乱入しようとしていた。どうやら敵対勢力の隠れ家だったらしい。ほぼ同時に、町全体に空襲を知らせるスルナイの音がけたたましく響いた。パキスタン空軍の戦闘機が目の上を飛んでいた。龍二はとっさにカムラの上におおいかぶさった。
つづく
その沈黙はなにか
タバコをすっても小便をしても処罰されるこの国で
1円の罰金も科せられることはない
恒常的な海への排熱など無視したまま
すべての原因は二酸化炭素にあると言い募ってきた者たち
子供を守る、、、、にわかにはじまる子供見守り運動のよびかけ
だが、何から守るというのか。
光化学スモッグ注意報や紫外線対策がいまさらどうしたといのか
もっと緊急に防御すべき物質があふれているだろう
すでに近くのスーパーから宮城県登米郡産の米が消えている
金持ちどもはこの日を見越して
宇宙への逃亡を企てているというのか
その沈黙は何か
たとえば あなたの。
ピルスルタンアブダルならば何を言ったろう
何を歌に託したろう
バーラマのピックは原爆をしのぐ力を持っている
と言い残して死んだユルマズギュネイならば
そのピックで何をかき鳴らしたろう
不可視の世界でこの瞬間にも激烈に行われている人体内の内戦により
かろうじて保たれている細胞の荒野を知ってか知らずか
「何の影響もありません」と断言する「専門家」は
にやけたコメントの後で何を食ったのか
あなたに子はいないのか、孫はいないのか
それとも家族ともども宇宙逃亡用のパスポートを保障されているのか
もうじき人の住めなくなる星に無駄に金をつぎ込むことはない
どうせ死んでいくやつらのためになぞ。
信じがたい無策がそんな世界の支配者からの闇の指令によるものだとは、
思いたくはない
その沈黙はなにか
たとえばあなたの。
言葉を重くさせているものは。
8月6日(土)
ジプシーフィエスタ!@アンデパンダン
*ジプシーポップデュオ iora とGipsy Grooveの企画に出演します。
場所:銀座アンデパンダン
東京都中央区銀座6-7-18 デイム銀座2F
時間:開場18:00 開演19:30
チケット:2,000円(ドリンク・フード要オーダー)
出演:
Gipsy Groove
Iora
藤井教授/アフメット伊藤&ユルドゥズ
ご予約はこちら
TEL 03-4500-6700 (カフェ・アンデパンダン銀座)
8月17日(水)さわやかトランス 明るく発狂 近未来のエコライフ
オリーブと月桂樹のイスタンブルマジック
FUJI(サズ うた 解説)
名曲喫茶ヴィオロン
杉並区阿佐ヶ谷北2-9-5
JR阿佐ヶ谷駅北口徒歩7分
1000円(1ドリンクつき)
03-3336-6414(ヴィオロン)
http://www.geocities.jp/violon_plikkkeenoo/
8月18日(木) ISUTANBUL STYLE ダンスの後で
Ikuyo(べリーダンス)アフメット伊藤とザスルタンキングス
アフメット伊藤(パーカッション)FUJI(サズ)テディ熊谷(サクセロ、フルート)
18時半開演 19時半 20時45分 22時の3ステージ各30分
2600円(チャージ+おつまみ)3300円(チャージ+料理)
ラテンの店ノチェーロ
港区六本木6-7-8 川本ビルB1
地下鉄六本木駅徒歩3分
要予約 03-3401-6801 yo@nochero.com
8月21日(日)
東京カーニバル
コンセプトはお祭り気分で明るく
楽しくがテーマで皆を元気にさせる事。
物と情報があふれかえる現代都市「東京」。情報で結ばれたバーチャルな関係から、
実感で結びつくリアルな関係への回復を求めて
人、家、街、自然への つながりを取り戻す為に。
詳しくは下記ブログをご覧ください。
8月25日(木)熱砂の祈り 真夏のベリーダンス革命
Yoshie &チームYoshie(Aiha Miyuki)ベリーダンス
音の香辛料 BAHARAT
星衛(チェロ) FUJI(サズ) 立岩潤三(パーカッション)
投げ銭
Café Muriwui
世田谷区祖師谷4-1-22-3F
小田急線祖師ヶ谷大蔵駅より北口商店街を徒歩5分 きなしサイクルのすぐ近く
03-5429-2033
http://www.ne.jp/asahi/cafe/muriwui/
8月26日(金)立川の夜 それはもう凄いんです
毎月最終金曜日のお約束
E-chan(ベリーダンス)アフメット伊藤(パーカッション) FUJI(サズ)
テディ熊谷(サクセロ フルート)
19時半 21時(2ステージ)
チャージなし
インド料理マユール
立川市曙町2-14-11ダイヤビル1F
JR立川駅北口徒歩2分
よい席を確保されるためぜひご予約ください
042-523-0410
9月1日(木) 夜の向こう側 ISUTANBUL STYLE
Inami(べリーダンス)Dance Arabesque
FUJI(サズ)伊藤結美(パーカッション)
18時半開演 19時半 20時45分 22時の3ステージ各30分
2600円(チャージ+おつまみ)3300円(チャージ+料理)
ラテンの店ノチェーロ
港区六本木6-7-8 川本ビルB1
地下鉄六本木駅徒歩3分
要予約 03-3401-6801 yo@nochero.com
SAZ LESSON
神秘と野性の調和した不思議な音色があなたの心身を癒します
生活に潤いを求める方からプロのステージを目指す方まで
フレット24の長めのサズ(調弦は上からソレラまたはドソレ)胴体はヤプラック(張り合わせ)タイプ 細かな装飾へのこだわりにイスラム文化特有の美学が感じられる
レッスン形式 個人レッスン
(時間応相談)
レッスン料 4000円(90分くらい)
入会金はありません
体験レッスンは無料です。お問い合わせください。
場所 STUDIO F(JR羽村駅西口徒歩10分車送迎あり) 羽村市羽東3-6-11
出張レッスンご相談に応じます。また、グループでのレッスンも検討中です。お気軽にお問い合わせください。
講師 FUJI
常時募集しております。特にまったく初めての方にお勧めいたします。楽譜は読めなくても支障ありません。サズはレッスン時にはスタジオの楽器をお貸ししますので、持ってこなくてもかまいません。しかしご自分の練習のため、ぜひどこかで購入されると良いでしょう。特に楽器の斡旋はしておりませんがご相談に応じます。
お問い合わせ
STUDIO F
090-2911-6092
fev3kalaaptal@gmail.com
せっかくこの世に生まれてKIYOKOのライブを見ないまま死んでゆく???それってちょっと野暮じゃあありません?生きてる充実感を手に入れたいあなたなら、千の会話より、今すぐKIYOKO。
7月13日(水)夜の詩人たち
愛の確率変数は相を変えることにより異なった値を示すだけでなく、、、、
KIYOKO(ベリーダンス) FUJI(サズ) 立岩潤三(パーカッション)
18時半開場19時半/20時45分/22時の3ステージ(入れ替えなし)
2600円(おつまみ+チャージ)または3300円(料理+チャージ)ドリンク別
ラテンの店ノチェーロ
港区六本木6-7-9
川本ビルB1 地下鉄六本木駅徒歩3分
メールまたは電話でご予約ください
03-3401-6801
yo@nochero.com
http://www.nochero.com/
KIYOKOを見ずして愛を語る人は、料理を作ったことのない調理師のようなものである。(ムスタファ ドミンゴ)
皆様いかがお過ごしでしょうか。サズ奏者の藤井です。このたび日本屈指のブズーキ奏者十日谷淳さんと2年ぶりの共演が実現しました。しかも新進気鋭のダルブカ奏者アブダッラーさんと初共演です。ベリーダンサーは今をときめく万里亜さん、そして、サマンヨルのNashwaさんとの初共演です。イスタンブル、ピレウスというかつてのオスマン帝国時代の栄光の都に咲いたトルコ=ギリシャ音楽のきらめきの中で、トプカプ宮殿の踊り子を髣髴とさせる二人の美女の神秘にして生命力あふれる踊りに、どなたも釘付けにならずにはいられないでしょう。いまなら、まだ、若干のお席がございます。さあ、お電話の準備はできましたでしょうか。人生は短く、奇跡が訪れるのは一瞬です。今が、そのときなのかもしれません。
7月10日(日)イスタンブールの波止場 ピレウスの街角で
万里亜 Nashwa(Samanyolu)ベリーダンス
十日谷淳(ブズーキ) FUJI(サズ)アブダッラー(ダルブカ)
18時開場 19時開演 予約3500円 当日4000円(1ドリンクつき)
Cafebar BLOOMOON
武蔵野市吉祥寺本町1-30-16
加藤ビル2FB号
0422-22-6171
http://www.bloomoon.net/