つまらない話 | サズ奏者 FUJIのブログ

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暑い。しかも今年は雲が変だ。暴力的でさえある。青空がにわかに雲で覆いつくされ、灼熱だけが地表に充満していると、フライパンで蒸し焼きにされているかのごとき錯覚に陥る。


さて、どうでもいいことのようではあるが、私は、トルコの民俗舞踊のひとつである「チフテテリ」について、なぜか専門の方々の中に「シフテテリ」と呼ぶ方がけっこうおられるのに長いこと違和感を抱き続けてきた。たとえば、インドに造詣の深い方ならは、いまだにマスコミで使われる「ヒンズー語」なる呼称に不快な思いをされる方も多いであろう。おれ、インドもトルコも関係ねえよ、というあなた、じゃあ「東京ジズニーランド」はどうですか。「デエブイデエをみたんだがね」と爺さんに言われたら馬鹿にするのではありませんか。

で、あんまり「シフテテリ」派が多いものだから、気になって少し調べてみた。が、シフテテリなる呼称をいまだ発見できていない。


 元来この踊りはキョチェックと呼ばれる旅」芸人によりオスマン宮廷をはじめとしてトルコ各地に広まったもので、後にベリーダンスの演目にも取り入れられたといわれる。隣国ギリシャでもまた、かつて500年間オスマン帝国領だったためこの踊りが伝わっている。というか発祥は古代ギリシャの宗教舞踊とも言われるが、いずれにせよやはり「チフテテリ」または「ツィフテテリ」と呼ぶようである。ちなみにつづりはトルコではÇiftetelli、ギリシャ語表記は不明だが、あえてアルファベット表記にすれば「Tsifteteli」であろうか。もともとトルコ語で一組の金糸(銀糸)の意味だが、語源は定かでない。たぶんトルコ語のÇiftetelliがギリシャ語に入ったのだろうと推測するが、その逆かもしれない。今のところ定かでない。たとえはトルコのアジア側の領土である「アナトリア」をトルコでは「アナドル」(母の懐)と呼ぶので、これが語源だろうと思っていたら、古代ギリシャですでに「日が昇るところ」の意味で『アナトリア』と呼ばれていたらしい。とすればこちらが語源ということになる。古代ギリシャを受け継いだビザンチンをさらに受け継いだトルコの地名に、イスタンブルをはじめギリシャ名をもとにしたものが大変多いことを踏まえると、チフテテリ、もその類かも知れぬ。いずれにせよ、「シフテテリ」という呼び名はいまのところ、発見されていないし、すくなくともこの舞踊の発祥の地であるトルコとギリシャで「シフテテリ」という呼称は使われていないのである。


「カルシラマ」についても、トルコ語では「Karşılama」であり、日本語で表記するならば、「カルシュラマ」が適当であろう。ギリシャではあるいはカルシラマと呼ぶ可能性を否定しないが、むしろトルコ語特有の表記である「ı」を「イ」と誤って発音してしまったためではなかろうか。これはアルファベットにもある「i」とは異なる音で、あえて日本語表記するならば「ウ」であろう。したがって『カルシュラマ』となる。その意味は歓迎、出迎え、もてなし、などの意味で、ルメリ地方で特に盛んな舞踊である。カルシュラマ=9拍子という誤解もあるが、たしかに9拍子の曲が多いものの、4拍子のメルズイフォンカルシュラマスや、9拍子といっても2+3+2+2のギレスンカルシュラマスなどもあり、かならずしも特定のリズムに限られるわけではない。要するに踊りのジャンルなので、9拍子のリズムということでならばアクサック(不具者の意)が適当であろう。しかしこれとても「つまずくような感覚」を意味するので、いわゆる業界で比較的おなじみの2+2+2+3が主であるとはいえ、2+3+3の8拍子などもアクサックと呼ぶ。エーゲ海地方の民謡ゼイベッキは大変ゆっくりした9拍子だが、これをアクサックと呼ぶのか、定かでない。いずれにせよ、踊りの感覚と深く結びついたものと考える。


どうですか。すこし涼しくなってきましたかな。