前回主な登場人物と人間関係を紹介しました。で、感想を書くにはあらすじがいるなぁ~、と思いましたがこれがパクるにしてもどうにもまとまらず難航の末やっと書けました。

確認すると「奥州安達原」は五段構成で、起=一段目、承=二段目&三段目、転=四段目、結=五段目、になると思います。
今回上演の三段目と四段目に先立つ一段目と二段目はこんな感じらしいです。
今回上演の三段目と四段目に先立つ一段目と二段目はこんな感じらしいです。
【一段目】…起 ①八幡太郎義家が献上の鶴に金札を付けて放す。→二段目&三段目 ②皇弟・環の宮が匣(クシゲ)の内侍と供に誘拐される。→三段目&四段目 ③傾城恋絹(父親が敵の安倍頼時と判明)と生駒之助が追放される。→四段目 ④桂中納言則氏(公卿の遺児に化けた安倍貞任)が環の宮誘拐事件の責を義家に問う。→三段目 【二段目】…承 善知鳥文治安方と女房・お谷の子供清童(実は安倍貞任の子)が病重く高価な薬が必要。鶴殺しの犯人を見つければ賞金が入ることを知る。 文治は女房のお谷(文盲)に鶴殺しの犯人を書いた訴状(文治が犯人と書いてある)を代官所へ届けて褒美の金を貰ってこさせ、入手した「鶴の金札」を借金取り南兵衛(実は安倍宗任)に手形として渡す。 しかし文治が捕らえられるのを目撃した清童はショックで死んでしまい、何もかもが無駄に…。 そこに南兵衛が鶴殺しは実は自分だと名乗り出て、八幡太郎を討つ為に都にへ引かれて行く。そして、ここからいよいよ今回の上演部分になります。
【三段目】…承
平傔仗直方の娘袖萩は、ある浪人(実は安倍貞任)と恋に落ち父には勘当さたたれ、夫とは別れ別れになり悲しみのあまり盲目となり、今は娘のお君と(三味線を弾き歌を歌って)物乞いをしているが、あることから父の危機を知る。
傔仗は環の宮事件の責任を追求され切腹を迫られている。八幡太郎義家は、二段目で鶴殺しの犯人として捕らえられた南兵衛を怪しみ、挑発して正体を暴こうとする。一方朝廷からは桂中納言則氏(実は安倍貞任)がやってきて、(義家をも追い込まんと)傔仗に切腹を迫る。
袖萩は見えぬ目で娘のお君に手を引かれてやってくる。傔仗もその妻浜夕も気付くが、勘当した娘、さらにその娘の夫が安倍貞任と知り、傔仗は切腹を決意する。また忍んできた南兵衛(実は安倍宗任)は袖萩に父傔仗を殺せと短刀を渡す。そして門の内と外で同時に父と娘が自害し、全ての策略が知れ、正体も明らかとなった貞任&宗任に義家の情け(本当かよッ!)で、袖萩は夫と父に最後の別れ、お君も父と対面し、後日戦場にて勝負をつけると約束する。
平傔仗直方の娘袖萩は、ある浪人(実は安倍貞任)と恋に落ち父には勘当さたたれ、夫とは別れ別れになり悲しみのあまり盲目となり、今は娘のお君と(三味線を弾き歌を歌って)物乞いをしているが、あることから父の危機を知る。
傔仗は環の宮事件の責任を追求され切腹を迫られている。八幡太郎義家は、二段目で鶴殺しの犯人として捕らえられた南兵衛を怪しみ、挑発して正体を暴こうとする。一方朝廷からは桂中納言則氏(実は安倍貞任)がやってきて、(義家をも追い込まんと)傔仗に切腹を迫る。
袖萩は見えぬ目で娘のお君に手を引かれてやってくる。傔仗もその妻浜夕も気付くが、勘当した娘、さらにその娘の夫が安倍貞任と知り、傔仗は切腹を決意する。また忍んできた南兵衛(実は安倍宗任)は袖萩に父傔仗を殺せと短刀を渡す。そして門の内と外で同時に父と娘が自害し、全ての策略が知れ、正体も明らかとなった貞任&宗任に義家の情け(本当かよッ!)で、袖萩は夫と父に最後の別れ、お君も父と対面し、後日戦場にて勝負をつけると約束する。
この袖萩が哀れで哀れで、また娘のお君がいじらしいのなんの…。泣けて泣けて涙が止まりませんでした。雪の降りしきる中、門の外で立ちすくむ母子。母が持病の癪で苦しんでいるとお君は母を心配して自らの着物を脱いで母にかけて暖めようとする。そこに浜夕がこっそりやってきて、せめて打ちかけを渡そうと、「さっきから皆聞いてゐる、ままならぬ世ぢゃな、町人の身の上ならば、若い者ぢゃもの淫奔もせいぢゃ、そんなよい孫産んだ娘、ヤレでかしたと呼び入れて、婿よ舅よと云ふべきに、抱きたうてならぬ初孫の顔もろくに得見ぬは、武士に連れ添ふ浅ましさと諦めて去んでくれ、ヨ、ヨ」に、当時、文楽を楽しんだ町人たちも泣き、武士じゃなくて良かった、と思ったのかもしれません。
しかし、出てくる女性の名前が魅力的です。庶民は「お■■」ですが…。
袖萩(ソデハギ)・敷妙(シキタエ)・浜夕(ハマユウ)・恋絹(コイギヌ)・岩手(イワテ)!
袖萩(ソデハギ)・敷妙(シキタエ)・浜夕(ハマユウ)・恋絹(コイギヌ)・岩手(イワテ)!
【四段目】…転
安倍頼時の妻岩手は安達原で、誘拐した環の宮と匣の内待を匿っており、通りかかる旅人を殺しては軍資金の為に金品を奪っている。そこへ環の宮を捜しつつ旅をしてきた生駒之助と臨月の恋絹が登場。
環の宮の口がきけない病(ウソ)の治療の為に胎児の血を必要としていた岩手は、生駒之助を騙して連れ出した後、陣痛に苦しむ恋絹を殺害。
戻ってきた生駒之助が奥の間に踏み込むと、十二単で正装した岩手が正体を明かすが、殺した恋絹が自分の実の娘であり、環の宮も匣の内待も実は八幡太郎義家が遣わしたニセモノと判明、憤りのうちに自刃し、谷底に身を投げる。
谷底に安倍貞任&宗任が登場、三段目で義家に命を助けられた恩返しに盗んだ宝剣を返却、岩手の死骸を抱き上げ戦場での再会を約束して去る。
安倍頼時の妻岩手は安達原で、誘拐した環の宮と匣の内待を匿っており、通りかかる旅人を殺しては軍資金の為に金品を奪っている。そこへ環の宮を捜しつつ旅をしてきた生駒之助と臨月の恋絹が登場。
環の宮の口がきけない病(ウソ)の治療の為に胎児の血を必要としていた岩手は、生駒之助を騙して連れ出した後、陣痛に苦しむ恋絹を殺害。
戻ってきた生駒之助が奥の間に踏み込むと、十二単で正装した岩手が正体を明かすが、殺した恋絹が自分の実の娘であり、環の宮も匣の内待も実は八幡太郎義家が遣わしたニセモノと判明、憤りのうちに自刃し、谷底に身を投げる。
谷底に安倍貞任&宗任が登場、三段目で義家に命を助けられた恩返しに盗んだ宝剣を返却、岩手の死骸を抱き上げ戦場での再会を約束して去る。
この「岩手」が実に凄いのですが、旅人を殺すところなんか「よろめく旅人を打ち倒し、乗っかかって喉笛へほうど喰ひ付き喰ひ付き喰ひ殺す、老女の業ぞ恐ろしき」と実写だったら血がドピュッと飛び散る本当に凄惨な場面なのですが、ガブッガブガブガブっと喉笛に喰い付き動く様が(クッキーモンスターがクッキーを食べるみたいな感じで)ちょっと笑えて、人形ゆえに救われます。(それにしたって喰い殺すのがスゴイ…。)
しかし大義の為とは言っても非道を尽くした結果は哀れきわまりない…。
哀れとは言え、覚悟の上の非道と自害、あっぱれこの岩手を烈女と言わずしてなんとする、って感じで冷静に見られました。でもさぁ~、八幡太郎義家が全部を見越して手を打ってた訳でしょ、軍師としては当然かもしれないけれど、死なせなくたって良い人々がいたのに、ヤな奴って感じです。まあ、それを言ってはお話にならないんですけれど…。
いや~、文楽って、ホント~にオモシロイですね!
(次回も観に行きたい~!)
しかし大義の為とは言っても非道を尽くした結果は哀れきわまりない…。
「これまでなり」と白刃の切先、腹に突き立てどっかと座り「とても叶はぬわが運命、かゝる方便のありとも知らず、夫の敵、国の仇、子供に討たして高名させんと我慢に凝って邪(ヨコシマ)非道、人を人とも思はぬ天罰、忽ち報ふて血を分けし娘を親がなぶり殺し、さぞや苦しかりつらん、地獄畜生餓鬼修羅道、その苦しみを身一つに受けし因果を断ち切って、冥途の旅で言ひ訳せん、娘よ孫よ暫く待て」と突っ込む剣を口にくはへ縁先より真逆様、落ちてはかなくなりにけるしかし、袖萩の死ほどは泣けませんでした。
哀れとは言え、覚悟の上の非道と自害、あっぱれこの岩手を烈女と言わずしてなんとする、って感じで冷静に見られました。でもさぁ~、八幡太郎義家が全部を見越して手を打ってた訳でしょ、軍師としては当然かもしれないけれど、死なせなくたって良い人々がいたのに、ヤな奴って感じです。まあ、それを言ってはお話にならないんですけれど…。
いや~、文楽って、ホント~にオモシロイですね!
(次回も観に行きたい~!)